2019/3/1

「昭和の教師、熱く語る――はずだった」〜ハノイの金正恩を、子どもにどう説明したらいいのか2  教育・学校・教師


 米朝首脳会談、実質的決裂
 大いに語るつもりだった私も頓挫

 結局、いつの時代もトランプ・カードは読み切れないということか
 翻弄される近隣諸国と私――

という話。

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【昔の教師は授業がいい加減だった】
 2月12日の本ブログ記事『「新北斎展を観に行った」〜文化史をこんなふうに教えておけばよかった2』に関して、あるSNSで、

 ああ、こんなことなら教員時代、
「化政文化、代表は葛飾北斎の『富嶽三十六景』と歌川広重の『東海道五十三次』、覚えておけよ―」
 なんてアホなことを言っていないで、3時間くらい熱く、北斎を語っておけばよかった!
(そんなことしていたら授業、全く進まんけど)


と書いたらさっそく元教え子(今は40代半ば)から返信があって、

 北斎の話はなかったかもしれませんが、熱い時事ネタトークで授業が全く進まなかったことはよくありました❗笑
 その時話してくださったイラクの湾岸戦争の話は未だによく覚えています😅
 テスト直前の授業は、テスト範囲を終わらせるためにすごいハイペースになってましたよ💦笑
  でも、教科書に書いてあることをそのまま教えてもらうより、雑談の方が断然面白く、先生の授業は楽しい授業だった記憶があります✨


 あまり褒められた話ではありません。テスト範囲を終わらせるためにすごいハイペースですから。

 ただし言い訳をすれば、当時は
「社会科は『学び方』を学ぶ教科。ものの見方――地理的、歴史的、政治・経済的見方――をきちんと押さえておけば教科書の内容なんてあっという間に身につく」
という指導法上の考え方があって、私自身は半信半疑だったのですが、教師の間には“毎時間毎時間授業をきちんと進めて全領域バランスよくきちんと終わらせる”ということにあまり重きを置かない雰囲気があったのです。
 その雰囲気にまんまと乗せられてというか、むしろ自分から乗っかって、時事問題に脱線することがたびたびありました。当時はそれを“雑談”と言いましたが、価値ある雑談でもありました(そして生徒が覚えているのはたいていがこちらの方)。

 現代の教師はそれに比べたらはるかにきちんとしていて、テスト範囲を終わらせるためにすごいハイペースになどということはまずありません。私はそれが正しい道だと思っています。実践しようとすればとても難しいことですが、学力をきちんとつけるというのは至上命題です。


【昭和の教師、平成の最後も熱く語る――】
 さて、すでに時代が変わったという意味でも、もう社会科の教科担任でもないという意味でも、生徒の前で熱い時事ネタトークを語るということはないのですが、それでも米朝首脳会談は結果次第で東アジアの地政学を根本から変えてしまいかねない歴史的事件ですから、自分が教科担任に戻ったつもりで、ブログ上で“熱く”語ろう、と昨日まで思っていたのです。
 ところが会談は事実上の決裂だそうで、とんだ拍子抜けです。

 事前にはトランプ大統領が功名欲しさに安易な妥協をするのではないかと心配されていただけに、“決裂”は悪いことではありません。しかし国のトップが出て行って何も決まらないなどということは通常考えられませんから私の方にも準備がなく、古いギャグで言えば「目がテン」状態です。
 何を、熱く語ったらいいのやら・・・。


【やっぱり何をするか分からない、トランプ・マジック】
 思い返せばトランプ大統領は繰り返し、「私は非核化を急ぐつもりはない」と言っていました。ニュース解説はこれを「完全な非核化は求めない(不完全でもいい)」といった意味だと解釈・説明していましたが、もしかしたら「ゆっくりやっていればそのうち経済的に首が締まるさ」という意味だったのかもしれません。

 国連による経済制裁も丸一年以上過ぎ、北朝鮮国民という緩衝材もそろそろ衝撃を吸収しきれなくなって、いよいよ特権階級の生活が脅かされるようになってきたと言います。このまま数カ月も放っておけば金正恩体制の屋台骨がぐらつき始める――そういった読みがあるのかもしれません。

 また専門家たちは「現在の合衆国の国内政治を考えると、トランプ大統領は何の成果も持たずに帰ることはできない」と解説していましたが、これも考えてみると白を黒と言いくるめるインチキ・トランプ大統領ですから“会談のちゃぶだいをひっくり返して啖呵を切って帰ってきた”、みたいな演出をすれば中途半端な合意よりはるかにウケがいいと踏んだのかもしれません。


【他の国々と私】
 合衆国以外について言えば、
 拉致問題は話題にもできなかったでしょうからその点で安倍総理は失望しているかもしれませんが、大量の中距離核ミサイルを残したまま“メデタシ、メデタシ”にされるよりはよほどマシです。したがって日本にとってはまずは及第点。

 引き続き北朝鮮に対する影響力を残せるので中国もOK。トランプ大統領は“北朝鮮をベトナムにする”みたいなことを言っていましたが、中越関係を考えると中国にとって“北朝鮮がベトナムに”なっていいことは何もありません。現状維持でけっこうでしょう。

 悪化する国内経済も日韓関係も放置して北朝鮮にのめり込んでいた文政権は困るはずです。金委員長が仕切り直すまで、ほったらかしにしておいた諸問題にしばらく専念するといったところでしょうか。

 そして私は――、昨日の授業で「熱く語る」と(無言のうちに)予告した私は、授業の冒頭で、
「マア、様子を見るっつうもんだな」
とお茶を濁して、今日やるべき学習をきちんと行う、それしかないと思います。


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