2018/10/29

「この国が負けるわけがない」〜「日本はだめだ」という話は調べてみる価値がある1  教育・学校・教師


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(マイルズ・バーケット・フォスター 「羊飼い」)
 
 若いころの私はかなりのコスモポリタンで世界平和ためなら日本一国滅びても構わないとさえ思っていたのですが、長じて世間をよく知るようになってからはその反動で、しばしばギンギンの民族主義者のような考え方をするようになっています。
 マスメディアやネットの中に「だから日本はダメなんだ」とか「これほど日本は劣っている」といった記事を発見すると反射的に調べて、年中噛みついているのです(莫大なネット社会の片隅で)。


【「日本はだめだ」と言われたら調べてみる価値がある】
 ほんの10年くらい前まではあっちでもこっちでも、新聞でもテレビでも、自国を揶揄するのが知識人の仕事でしたから私も噛みつきがいがあったのですが、2011年の東日本大震災以来、風向きはすっかり変わって「日本のここが素晴らしい」「世界が愛する日本」みたいな礼賛ばかりで、私もすっかり出番を失った感じでした。
 もっとも礼賛も外国人旅行客にマイクを向け「日本のどこが素晴らしいですか」と訊ねたり、わざわざ海外まで行って外国人を連れてきて「日本のここがすごい」と言わせたりするのを見ると、「世界一不躾な(メディアを持っている)国、日本」みたいでそれはそれで噛みつく必要もあるのですが、そんな中でも稀に、巧みに隠して「日本人はダメだ」みたいに言っている報道があると、やはり血がたぎって一応調べなければ気が済まなくなります。

 先週気になったは、ニューズウィーク日本版にあった「子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する」という記事です。


【子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する】
 これは本来、日本を悪く言うような内容ではなく、かいつまんでお話しすると、
31か国、16万人を対象に行われた調査で、16歳の時に家に本が何冊あったかが、大人になってからの読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルの高さに比例することが明らかになった
というものです。

 調査を行ったのは、オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちで、
 16歳の時に自宅に何冊本があったか、と参加者に質問。その後、読み書き能力、数字、情報通信技術(ICT)のテストを受けてもらった。
とあります。

 その結果、本がほぼない家庭で育った場合、読み書きや算数の能力が平均より低かった。自宅にあった本の数とテストの結果は比例し、テストが平均的な点数になるのは自宅に80冊ほどあった場合だった。ただし350冊以上になると、本の数とテスト結果に大きな関係性はみられなくなったという。

 80冊だとか350冊といった具体的な数は別にして、家の蔵書と子どもの知性に相関関係あるだろうということは経験から予想できることですし、何千冊もあればそれだけ知性の高まるというものではないだろうことも容易に想像できます。
 しかしそうした研究成果を紹介した上で最後の方に――、
 この調査では16歳の時にどれだけ書籍が自宅にあったかを国別のランキングも出している。
(中略)
 日本は平均102冊で、世界全体の平均を含む18カ国・地域のランキングで14位だった。世界全体の平均は115冊。
 ここで私はイラっとするのです。

 自宅にあった本の数とテストの結果は比例し
と記しておいて、
 日本は平均102冊で、世界全体の平均を含む18カ国・地域のランキングで14位だった。世界全体の平均は115冊。
と並べると、日本人の知性(ここでは読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルの高さに)は平均以下と言っているのと同じじゃないか、そう感じるのです。ですよね?

 たしかに日本人の読書離れが言われて久しく実際に蔵書数も減っていることと思いますが(102冊でも多すぎるくらい)、それにしても日本人の知性が世界平均より劣り、アメリカの後塵を拝するなんてことがあっていいはずがありません。
 別にアメリカ人がバカだというつもりではありませんが、多民族国家で貧富の差も大きく、国語(英語)ですら満足にしゃべれない人を大量に抱えている国が、日本より読み書き計算、IT能力が上であるはずはないのです。

 そこでふと気になったのが、31の国と地域で、25〜65歳の16万人を対象に行われたという調査規模の大きさです。16万人のアンケートを取った上でテストまでしてしてもらうわけですから尋常な手間と資金ではありません。一流とはいえたった二つの大学で可能なものではないはずです。

                               (この稿、続く)


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