2018/10/23

「当たり前だと思っていたことがそうでない」〜チコちゃんと勝負する1   知識



 
 先週、10月19日(金)のNHK「チコちゃんに叱られる」は、普段とは違った意味でびっくりさせられる回でした。
 ひとつは私が、三つの設問すべてについて答えを知っていたことです。自慢するほどのことはありません。その「知っていかた」に複雑なものがあるからです。


【設問1〜なぜそれが問題となるのが分からない】
 設問の第一は「マンガなどで、静かな場面を『シーン』と表現するのはなぜ?」でした。しかし私にはこの設問自体が理解できません。なぜなら実際に静かな場所では「シーン」という音がいつも聞こえているからです。普通はそうですよね、と言いたいくらい。

 実際、今もかなり静かな部屋でキーボードに向かいながら、私はコンピュータのファンの音とともに、「キーン」に近い「シーン」を聞きいています。

 それをチコちゃんがもっともらしく「実際に、『シーン』という音がしているから」と答え、出演者が一様に驚いて首を傾げるのを見ると、私の方も驚いてしまいます。世の中に「シーン」をまったく意識せずに生きてきた人がたくさんいることを初めて知ったからです。

 番組では後の方でスタジオの空調も止め、「全国一斉『シーン』実験」とかいってしばらく無音を聞き合いましたが、その中で出演者たちが「聞こえるような、聞こえないような」「『シーン』というよりは『キーン』だな」といっていたのが私の知っているそれです。

 VTRの解説によると“耳の中で音を探して絶えず動ている『外有毛細胞』の振動する音だ”ということになりますが、私の感じ方では生物的な音というよりはかなり高い電子音で、耳ではなく頭の中で響いている感じです。
 また、私は耳の良い方ではなく、特に左耳は子どもの頃の中耳炎のために高音部がほとんど聞こえず、右耳も加齢によって次第に左耳に近づきつつあります。つまり高周波はほとんど聞こえていないなので、そうなると私の「シーン」は外有毛細胞の音ではなく、もしかしたら恒常的な耳鳴りかもしれません。
 さらによく考えると大きな音、例えば音楽を聴くと「シーン」も一緒に大きくなりますから耳鳴りとも違うのかもしれない――と、謎はさらに深まっていきます。
 いったいあれは何なのでしょう?


【設問2〜これは普通に知っていた】
 第二の設問は「なぜカメは、長生き?」で答えは「心拍数が少ないから」でした。しかし同じことが二十数年前のベストセラー、本川達雄著「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」 (中公新書)の中で話題になっていたように思います。取り上げられていたのはゾウとネズミの心拍数のでしたが、それは生きる年数にほぼ逆比例するといった話があって感心したことを覚えています。
 
 しかし「チコちゃん〜」で紹介していた、“カメの心拍がかなり不規則でしかも1分間に8回しかない(ネズミは600〜700回)”ことや、“カメが首や手足をひっこめる時、肺を空にしてそこを押しつぶす形で甲羅の中に余裕をつくり、そこに収納する”といった話は初めてで、その点ではとても勉強になりました。

 そして設問の三番目、「なぜ鏡は左右逆に映るのか」。これが一番問題です。


【設問3〜知っていたけど答えが違う】
 この難問についてはすでに7年前にもこのブログで扱っています。その時の答えは「それが一番便利なので、脳は映像をそのように書き換える」でした。

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 上のようなレンズの構造から考えると、目は、自分が捉えた映像を網膜に上下左右すべて逆に焼き付けているはずです。しかしそのままを意識したのでは生活できないので、脳が解釈し、上下や左右を反転させるのです。

 このことを証明したのはアメリカのストラットンという学者で、そのすこぶる面白い研究については「逆さめがねの世界」(2011/7/4)で書きましたので是非読んでほしいところです。
 そのおしまいの方で私は「鏡に映った顔は左右が反転しているのに上下が反転しないのは、その方が便利だから」と改めてまとめ、
 左右反転しないと、たぶん女性は口紅を引くのにも難渋するはずです。
と記しました。

 今回それを確認するために一つの実験をしてみることにしました。ビデオカメラで撮った生の画像を見ながら、口紅を引く仕草をしてみるということです。
 さっそくスマホを取り出して自撮りモードにして中を覗き込んだのですが――そこで私は今まで全く考えてもいなかったことに気づくのです。

 その考えが恐ろしく馬鹿げていることは、おそらくスマホを鏡代わりに使ったことのある人ならすぐに分かったはずです。スマホの自撮りモードは普通のビデオカメラとは違って、鏡と同じように反転して画面上に出るのです。そしてシャッターを押した瞬間、画像は左右反転して左下に現れます。その左下の画像こが客観的な私の顔、普通にカメラで撮影されたのと同じ顔で、記録されるのもそちらです。

 番組でやったように右手を上げて撮影すると、鏡と同じように画面の私は左手を上げていますができ上った写真(左下に現れる画像)は正しく右手を上げて映っているのです。これでは実験になりません。
 考えてみれば鏡のように映ってくれないと、対象(自分たち)をきちんとフレームに納めることすら難しくなりますから、スマホはそこまで考えてよくできているということです。
 
 しかしそうなるとテレビスタジオの床に置いてあって出演者の方に向いているモニタ、あれには左右反転の画像が出ているのでしょうか? そうではなくて普通の画像だったら、自分がテレビカメラに向かって右側に歩いていくとモニターの中の自分は左に歩いていくわけで、それではやりにくくはないか、いや鏡像が出て、一緒に右に歩いていく方がよほどやりにくいのかもしれない――そんなふうに考え始めたら訳が分からなくなりました。

 しかし本当の問題はそこではありません。実は「なぜ鏡は左右逆に映るのか」について、先週のチコちゃんの出した答えは私のとは違っていたのです。
 その周辺にもなかなか面白い話があったので、これについては明日改めて書きます。

                             (この稿、続く)



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