2018/1/16

「もしかしたら現金はなくならないのかもしれない」〜答えのない問い3  教育・学校・教師


 明日は阪神淡路大震災の23回目の祈念日です。亡くなった方々やご家族の皆様に、改めて哀悼の意を表したいと思います。突然の肉親の死は何年たっても癒されないことと思います。
 私も一緒に祈りましょう。
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 さて、阪神淡路大震災についてはさまざまに思うこと考えることがあるのですが、そのひとつは安否確認について、世の中にはほんとうに頭の良い人がいるものだとつくづく感心した思い出です。


【いち早く安否確認をした人々】
 1995年1月17日の地震直後から、私は兵庫県に住む友人に毎日20回以上の電話をかけ続けました。しかしご存知の通り、被災地内部から外への通信はできても逆は全く通じません。回線は完全にパンク状態で、結局連絡ができたのは5日後のことです。おそらくほとんどの人が同じ状態だったのではないでしょうか。
 ところがそんな中にあって、当日、驚くべき手段を使ってわずか数時間で安否確認を果たした人たちがいます。
 何をしたのかというと、電報を打ったのです。

 さすがに被災地のど真ん中は無理にしても、周辺なら即日、直接手渡してくれるのです。しかも「緊急定文電報」(“至急連絡されたし”などの53種の定型文のみの電報)だと料金はたったの340円(税別)。それで折り返し相手から電話がきました

 その日すぐに“電報”に思いが至った人たちの、すばらしい知恵に対して私は深々と頭を下げます。なんであの瞬間に古臭い“電報”を思い出すことができたのか――翻って私。5日間もむなしく電話をかけ続けた自分は、なんと阿呆だったことか――。


【各国の通信事情=リープフロッグ】
 韓国や中国、台湾などと比べた日本のスマートフォン普及率の低さは飛びぬけています(韓・中・台―91%・79%・82%、日本59%)。その他、発展途上の国と比べたってマレーシアは81%、ナイジェリア67%、ベトナム72%と、日本のはるか上を行っています。
 いまだにガラケーが横行しているというだけでなく、固定電話どころかFAXまで使われていて、街を探せば公衆電話ボックスだってあるのです。

 そんなところから「日本は遅れている」という評価がありますが、果たしてそうでしょうか?
 そうではなく、古い通信手段が残っているといことは「多様性がある」というふうには考えられないでしょうか。

 今の日本には携帯がだめなら固定電話あるいは公衆電話、通話ができなければとりあえずFAXあるいはPCメール。それでもダメなら電報、郵便、他に方法がなければ宅配便と、情報を届ける方法はいくらでもあります。
 ところがリープフロッグ(カエル跳び)でいきなり最先端技術の導入から始まった国々は、固定電話どころか郵便制度の拡大すら望めません。電報なんて絶対だめでしょ。
 文書・書類・冊子は、すべて電子化してネット上を飛ばせばいいのですから。

 しかしそれでいいのか。ネットが唯一の通信手段となってそれがつぶれたとき、他に通信の手段が全くなくなってしまう社会は極めて脆弱というしかありません。
 運送だってトラック・鉄道・船舶・航空機といろいろそろっていて、何かあってもひとつは生き残って仕事をするというふうにしてはじめて安定します。
 現金だってただ銀行に預けるだけでなく、貴金属を買ったり土地やマンションにしたり、あるいはそのままタンス預金にしたりもします。
 つまり多様性というのは安全だということなのです。


【もしかしたら現金はなくならないのかもしれない】
 昨日の課題、
 近い将来、電子決済が売買の中心になることが分かっている状況で、計算ができるようになることや現金のやり取りのできることに何の意味があるのか――。
に対する答えのひとつは、もちろん、
「明日そうなるわけではない。そうなるまでのつなぎの期間、やはり現金のやり取りができ、お釣りの計算ができることは必要だろう」
です。

 しかしそもそもこの国に現金のない時代なんて本当に来るのでしょうか? これだけスマホが広がっている中で、なおもガラケーや固定電話や公衆電話や、果てはFAXやら電報まで残っている国です。これほど便利で確実な現金のなくなる日なんて来ないのかもしれない――なんだかそんな気がしてきました。

 私たちは海外旅行に出かける際も、現金とクレジットカードの双方をもっていきますよね。行先によってはドルよりも円の方が便利な国もありますから、円札・ドル札両方を持っていくこともあります。さらにトラベラーズ・チェックが一番都合いいということだってあって、その場合は別に用意します。要するに危険分散です。

 それと同じで、電子決済だけでは私たちは決して安心できません。
 スマホだと電源が落ちただけで使えなくなります。スリにあったり置き忘れたり、あるいは事故で壊してしまったらその段階で身動きが取れなくなります。
 ニューヨーク大停電や東日本大震災のように、店舗の側が停電になるとクレジット・カードも使用できるかわかりません。金の延べ棒やネックレスは買い物には不便でしょう。

 現金は体のあちこちに分けて持てますし、一か所にまとめることもできます。軽くて薄っぺらで持ち運びに便利です。
 高額を持ち歩くことも、少額で済ませることもできます。
 そして何よりも、その日使える金額の上限が常に意識できます。盗まれてもそれが限度です。

 また日本の場合、紙幣も硬貨もたいていは衛生的で、偽物をつかまされる心配もめったにありません。
 現金は極めて便利なのです。

 さらに、最後に頼れるのは現金だという思想ないし信仰も、案外息が長いのかもしれません。


 現金のやり取りを前提とした教育、もうしばらく続けていく必要がある気がしてきました。







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