2016/11/16

「家族葬という形式」B〜冠婚葬祭の経済学  政治・社会・文化


 披露宴をきちんとやる方が楽、金もかからない、という先輩の忠告は四半世紀を経てシーナの結婚式の際にも確認しました。結婚式・披露宴の費用というのは招待客の人数に比例しないのです。
 人数が増えるほど請求額も支払も増えますが主催者の懐の痛み具合は変わりない、と言うか、もしかしたら増えるほど楽になります。なぜなら招待客の飲み食い・引き出物の代金は、本人が持ってきてくれるからです。

 例えば1万5千円の料理を出して1万円分の引き出物を用意すると招待客一人につき2万5千円かかることになります。しかし普通持ってくる祝儀が3万円未満ということはありません。ですから一人につき5千円の収入が出ることになります。人数が増えれば増えるほど収入が増えます。
 さらに、来ていただける方が叔父や叔母となると10万円単位で持ってきますから、それだけでも大変な収入です。今はだめですが、私たちの世代では伯父伯母の人数が半端でありませんから(私の場合は父が4人兄弟、母が5人兄弟ですから来賓は7組14人の伯父と伯母)、収入も半端ではありませんでした。

 注意しなければならないのは若い夫婦で、彼らは3万円持ってきて1万5千円の料理を二人で食べ、1万円の引き出物を持って帰りますからその分こちらの持ち出しになります。ですからそういう人は呼びません(もちろん冗談です)。
 結局、両家で払わなければならないのは結婚式そのものの費用、衣装代、ウェディングケーキなどの諸々ということになります。切り詰められない費用ではありません。

 よく「お金がなくて結婚式ができないので・・・」とか言う人の話を聞きますが、そんなことはありません。
 30年近く昔の私の場合は、式は新婚旅行ついでのハワイで挙げ(*)、披露宴は一種の報告会ですから衣装・ケーキ・キャンドルサービス等はなし、紹介とあいさつが終わったらあとは飲めや歌えやの大パーティでずいぶん楽しんでもらいました。余計な支出はないので、政治家が開く資金作りパーティみたいなものです。それで旅行費用のほぼ全額が補てんされました。
 つまり0円で挙式・披露宴・新婚旅行ができたのです。
 *ハワイでの結婚式の費用は総額5万円程度。
 衣装代が二人で1万5千円くらい(ただし写真でバレない程度のお粗末なもの、裾部分は仮縫い状態)、挙式費用は3万5千円程度(牧師・オルガニスト・歌手各1名、写真数枚、法的効力のない証明書1枚、送迎リムジン付き)でした。


 横道を歩いた時間が長すぎました。葬儀の話です。

 昔から「結婚式は儲からないが、葬式は儲かる」と言われるように、結婚と違い、衣装だのケーキだの音響だのといった部分がない分、葬儀はあまり金のかからないものです。
*結婚式場の案内を見ても「基本ウェディングセット300万円〜」とあるのに対して、葬儀の方は「40万円〜」といった程度です。

 さらに葬儀のお返しは“半返し”が基本ですから、理屈上は持ってきていただいた香典の半分が収入となります。そこから会場費やお棺やらの固定費(どんな葬儀の形であってもかかる費用)と僧侶・神父・牧師等へのお礼を出せばいいのです。

 ちなみに5年前の父(実父)の葬儀の際は、仏壇を買って初めて赤字になりました。葬儀の固定費とお礼の部分は、故人とその妻(つまり私の母)の兄弟姉妹が持ってきた香典で軽くまかなえたのです(何しろ姉妹兄弟の人数が多いのです)。
 当時は私も現職だったので学校関係の参列者も多く、公務員の弟はひとり千円ただし返礼なしという香典だけの参列者が私の3倍もあって、それがいちいち葬儀費用に回りました。

 家族葬にすると、その分がなくなります。つまり安上がりを考えるなら、家族葬が不利な場合だってあるということです。

                              (この稿、続く)

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