2014/10/2

「現状」〜体感!日本教育超現在史・最終  教育・学校・教師


 平成不況の下で20倍〜30倍という競争率を勝ち抜いて教員になった人たちはやはり、かなり優秀でした。これは公務員全体に言えることで、地方公務員で10年ほど前40代だった私の弟も、「今、20代の奴らに出世競争で負けてもかまわない」と言っていたほどです。しかし教育界にとって、それは必ずしも幸福なことだったとはいえないのかもしれません。
 彼等はどんな過重な仕事にも十分耐えていけました。しかしもし今後アベノミクスがうまくいって景気が回復し、優秀な人材が民間に流れ、教員は私や弟のような“普通の人々”がなる仕事という時代が来たとき、果たして現在の状況を支えきれるのか――。現在でも普通の教員たちの中には状況についていけない人たちがいるからです。

 心の病で休職中の教員はここのところ5000人を越えて高止まりです。休職にいたらないまでも、年休や療休を細かく食いつぶしながらやっとのことで勤務を続けている人、担任や重要な校務を免除されることでようやく日々を送れている人、そうした教員を加えると困難者は数倍にも膨れ上がることでしょう。この数字は今後も簡単に減りません。

 教員不祥事もなくなりません。
 私は教師の多忙とストレスフルな状況、これと不祥事の因果関係が研究されないことを不思議に思っています。不祥事を起こす教員は50歳前後に異常に多くなっています。もちろん日本全体ではこの世代の母数が一番多いのも事実ですが、分別盛りの人間が、20年〜30年というキャリアを犠牲にし、半端でない退職金を丸ごと捨てて、盗撮だの万引きだのといったつまらない犯罪に走るのです。そこに普通とは異なる原因を考えようとするのは、あまり不自然なことではないでしょう。教師の犯罪は、そうした方面からも考察されるべきです。
 加えて、若い教員の早期退職についても、もっと丁寧に見ていくべきです。

 心の病に不祥事、あっという間に退職してしまう若い教員、もちろんそうした先生にはさっさと辞めてもらえばいいという乱暴な人もいます。しかしことはそう簡単ではありません。多くは年度途中で現場からいなくなってしまうのですが、たとえば中学校の理科の先生が倒れたとき、代わりに入る先生を確保するのは容易ではないのです。
 その時点でまったく職業についていないか今すぐに辞めてかまわない人、しかも中学校理科の免許所有者。雇用期間は数ヶ月限定、住居は当該の中学校に通える範囲または転居ができる人――そんな都合のいい人が(都会ならともかく、私の住むような田舎には)いるはずがないのです(教科を問わない小学校教諭の場合も楽ではありません)。結局は別の教科の教員が無免許で兼務したり、しばらく授業のないまま過ごすしかありません。やっと見つかった講師が数日で辞めてしまうということもあります。

 しかし本当の問題はそうした学校運営の困難ではなく、ほとんど病気の、非常に危うい教員の下で、今日も学んでいる児童生徒がいるということです。

 私は本気で日本の教育の将来を心配しています。
 繰り返し言いますが、現状が悪いからではありません。日本の教育は頂点にあってきちんと支えていないと簡単に転げ落ちてしまいそうだからです。それを政府やマスコミは引きずり落としてしまおうとしています。それが現状なのです。
 何とかしなくてはなりません。


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