2014/1/22

「ノロ考A」  教育・学校・教師


 パンによるノロウィルスの拡散はこれまでも事例があり、テレビのニュースでは8年ほど前の秋田で集団食中毒について紹介していました。しかし多くは素手でパンを扱っており、今回のような厳密な管理下での事件は例がないみたいです(そもそも生ガキを除くと原因が特定されること自体が少ないようですが)。

 同じく8年ほど前、東京のホテルで患者がカーペットに落とした嘔吐物が清掃・消毒後もわずかに残って乾燥し、人の歩くたびに舞い上がって吸い込んだ人を発症させるという事例がありました。そのときの罹患者は400名以上です。乾燥させてもダメなのです。

 浜松のパン工場ではトイレの出口に消毒液があってそれで手を洗う仕組みになっていました。けれどご存知の通り、アルコール系の消毒液ではノロウィルスは死にません。塩素系消毒液を使うか、水道水で物理的に流してしまうしかないのです。
 しかしここまでくると、ノロの防御は本当に可能なのだろうかといった気になってきます。

 実は私も学校におけるノロの集団感染を2回経験しています。しかも2年続きです。
 一回目の感染経路は分かりません。ある朝突然、各クラス2〜3割の子が胃腸炎で欠席し、そこから大騒ぎになったのです。いくつかのクラスを学級閉鎖にして、一度閉鎖したクラスが再開後また閉鎖といったことを繰り返しながら、結局、終息宣言を出すまでに20日以上かかりました。そのとき覚えたのは、以下の諸点です。

@症状は38℃以上の高熱・悪寒、激しい胃の痛みと嘔吐・下痢、2〜3日で症状は治まるが、便からは一か月以上ウィルスが検出される場合があるので感染リスクは減らない。
A症状が激しい割に予後は良く、嘔吐物をのどに詰まらせての窒息、誤嚥下による肺炎などを除くと死亡例はほとんどない。
B感染は、接触感染、(粉末化したものも含めて)飛沫感染、そして食物からの感染。潜伏期間は1〜2日。
C検査には1〜2日の日数と1万円程度の費用が掛かり、しかし結果の出るころには症状も納まってしまうために患者が再び病院に来るケースがすくない。したがって医師が検体を出すことは稀で、流行しているかどうかという周囲の状況と患者の症状をみてノロ感染と診断することがほとんど。
D学校で集団感染が起こると保健所の指導が入る。また、浜松市くらい大きな行政区だと対応できるが、感染が市町村の枠を超えて広がるケースもあり、そのため指示が県から直接出されることが多くなる。市町村立学校としては稀だが、「報告−指示」は県が中心となり、市への報告は従属的になる。
E 校内で集団感染が明らかになったとき、最大の目標はウィルスを給食室に入れないこと。給食室に入ってそこから再配分されることのないよう、教室及び給食室の拭き取り(殺菌)はこまめに行う。また、給食室と教室の間に一種の緩衝地帯(4〜5m)をつくり、その部分は栄養士が一人で給食を移動させる(栄養士は調理室に入らない)。
F 家庭でも同様の対応をしていただくよう、繰り返し呼び掛ける。等々。

 報告書はたくさん出さなければなりませんし給食室は神経をすり減らします。しかしいつまで頑張ったら終わりになるのか、見通しの立たないことが一番大変でした。
 二回目の集団感染は一つのクラスがイベントに行ってほぼ全員がもらってきたもの。ただしこの時は前年の経験もありましたし、経路もはっきりしていたので対処は少し楽でした。。その2回目で覚えたこと――ノロウィルスに対する免疫(抵抗力)は半年しかもたない。
 気の毒に、2年続きで感染した先生がおられました。


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