2013/11/5

「大人の学力テスト」  教育・学校・教師


 あまり大きなニュースになりませんでしたが今年の10月8日、OECDが大人を対象にした初めての国際学力テストの結果を発表しました。

 この調査はOECD(経済協力開発機構)が24の国と地域の16歳から65歳までの大人を各国ごとに5000人選んで、「読解力」「数学的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野について、おととしから去年にかけて行ったものです。その結果3分野すべてで、2位のフィンランドを引き離しての1位だったのです。こうした「良き結果」をマスコミは取り上げません。

 いまごろこれを取り上げたのは、この連休中、「JB-Press」というサイトで「大人の学力テストに表れたドイツの隔靴掻痒」という論文を読んだからです。
この論文によると、
@ドイツの大人の成績はトップクラスにはなく、ごく中庸だったということ。これは「一般のドイツ人はさほど学力が高くない」という筆者の日頃の実感にかなっているということ。
Aテストの内容は「温度計が読めるか」とか「その温度から20度下がると何度か」といった小学校レベルのもので、その部分の弱いドイツ人はかなりいる(日本の読者は信じてくれないと思うが、ドイツ人には、負の数字、分数、小数点以下の計算、そして%が分からない人が少なくない)。
Bもちろんドイツでも優秀な人は優秀で、それはノーベル賞受賞者の数を見れば分かる。問題は初等教育なのだ。
Cドイツでは全員が同じ教育を受けるのは小学校4年生までで、それ以上は「大学を目指すギムナジウム」「職人になる子のための基幹学校」「学問はしないが職人にもならない実業学校」に分かれてしまう。しかし職人の仕事が機械にとって代わられる今日、まず基幹学校が崩壊し、それにつれて実業学校のレベルも下がってしまった。
Dおまけに旧西ドイツの「詰め込まない教育」のために、旧西ドイツが旧東ドイツの足を引っ張る形になっている。
E現在の日本の強さは平等主義のおかげであり、下位の者の成績が諸外国に比べて高い。おかげで企業などでは組織の末端まで指示が通り、高い質の仕事が共有できる。例えば世界に類のない緻密な宅配業務はそうした優秀な末端があってこそ成り立つのだ。

と言うことです。
 
 そんなことは実は政府も分かっていて、現在の学力問題の主たるテーマは下位の者の成績アップではありません。今、求められているのは「グローバル社会において、世界で戦える人材」、つまりトップエリートの育成です。極めて象徴的に言えば、「日本にスティーブ・ジョブズを生み出す」ということです。もちろん現在の「下位の者の成績が諸外国に比べて高い」状況を維持したままでジョブズを育てるという目論見なのですが、ただしそんな木に竹を接ぐような真似をして、両方の材が取れるはずもありません。結局、竹ができないまま松も死なせてしまうことになりかねません。

 注意深く見つめていきたいものです。


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