2013/6/28

「エレホン(Erehwon)」A  教育・学校・教師


 2002年の映画「マイノリティ・リポート」のなかでとても不気味な場面がありました。それは殺人を疑われた主人公のジョン・アンダーソンがショッピングモールを逃げ回る場面です。
 まずその入り口でジョンは機械によって目の虹彩を読まれます。指紋を読まれたと同じです。すると進む先の店舗のショウ・ウインドウから次々とジョン・アンダーソン向けの広告が流れてくるのです。

クリックすると元のサイズで表示します「ストレスですか、ジョン・アンダーソン」

「ジョン、ギネスを一杯どうぞ」

「旅に出ませんか、ジョン・アンダーソン」


 それはすべて彼の嗜好に合うものばかり。さまざまな商品の中からジョン・アンダーソンが選択しそうなものだけを提示してくるのです。ジョン・アンダーソンは完全に捕捉されています。

 似たことがネット上で起きます。私はネット通販のアマゾンのホーム・ページを開くたびに大変な使いやすさと一種の不気味さを感じます。そのページには私の好みそうな本や必要になりそうな物品がずらっと並んでいるのです。間違ってもゴルフ用品や料理のレシピ本、ゲームの攻略本などが出てくることはありません。繰り返し利用することで、私がアマゾンに嗜好や生活の一部を譲り渡しているからです。

 ただし私はアマゾンで食事をしたり野菜を買ったりはしません。またアマゾンは私が年のいった男だとか住所だとかいった登録内容は知っていても、どこをどう動いているのかは知りません。私の情報の一部しか持っていいないのです。

 今私がとても気にしているのは財布の中のレシートです。これを全部集めて解析すれば、私が何人家族でどういう生活を送り、何時何分にどこにいたか、みんな分かってしまうからです。もちろん私の情報収集者(そんな人がいるとして)は、その前に私のレシートを盗むという仕事をしなければならないのでそう簡単に情報を入手できません。しかし私がすべての買い物をクレジット・カードで行うとしたら、すべては一か所に集まっていて、それさえハッキングすればいいことになります。

 その他、私が書き送ったメールや添付した書類、ネット上の書き込み、あるいは(実際にはしませんが)オンライン・ゲーム上での私の方略・・・そうしたものを全部寄せ集め、巨大なコンピュータで解析すれば私以上に私のことを知る存在が地球上に存在することになります。

 私などはもう年寄りですからいいのです。将来、国際舞台で数億ドルの取引をするといった可能性はゼロです。
 しかし現在受験勉強もそっちのけでゲームにいそしんでいる子どもたち、その子たちの攻略法は丁寧に解析され、人物を特定されてどこかに蓄積されているのかもしれません。そして数十年後、その情報は高額で売られ、最も重要な取引の場面で悪用されるかもしれないのです。

「コイツは、こういうやり方をすれば必ず折れる。子どものころからずっとそうだったから」

 現在のところネットの危険性というと架空請求だのネットいじめだのといった話になりますが、それよりももっと大きな危険が潜んでいるのかもしれないのです。

 今は絶版になっていて手に入らないのですが「Erehwon(エレホン)」という反ユートピア小説があるようです(S・バトラー著 1872)。「No where(=ユートピア)」の綴りを逆から書いたものです。中身も知らないのに私は好んでいます。

 しかし子どもたちが将来生きる場が、情報を抜き取られ、常に誰かに利用されるエレホンだったら・・・そう考えると、今教えておかなければならない重要なものがたくさんあると、改めて思うのです。





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2013/6/27

「エレホン(Erehwon)」@  教育・学校・教師


 16世紀初頭、トーマス・モアは架空の国の物語「ユートピア」を書きます。「ユートピア」とはギリシャ語の「ユー=No」と「トピア=where」を合わせた造語で、「理想郷」とも訳されています。

 それとは逆の暗い未来を描いた小説は「反ユートピア(ディストピア)小説」と呼ばれ、H・G・ウェルズの「タイム・マシン」をはじめ、「華氏451°」「時計じかけのオレンジ」などの秀作があります。映画でも特に好まれるテーマで、「ソレント・グリーン」「デス・レース2000」「ブレード・ランナー」「アイランド」、そして「マトリックス」や「バイオ・ハザード」も同じです。しかし反ユートピア小説の嚆矢といえば、やはりオーウェルの「1984年」ということになります。

「1984年」は結核療養中のオーウェルが1948年に書きはじめ、翌年出版した小説です。発売直後から大変評判となった作品ですが題名の「1984年」が近づくとさらに大ブームとなり、私もその年に読みました。

 これは情報を完全に管理された全体主義社会で、その裏側を暴こうとした主人公が結局体制に飲み込まれていく物語です。そこでは「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる指導者への絶対的忠誠が要求され、常に無謬性が語られています。

 当時はソ連や東ヨーロッパの社会主義国を念頭に読まれることが多かったのですが、今だったらさしずめ北朝鮮、そしてもっと上手なやり方でアメリカやイギリスも入ってくるかもしれません。もちろんオバマやキャメロンが絶対的忠誠を要求するわけはありませんが、情報処理と情報操作によって私たちを操作する時代が近いかもしれないのです。
 先週、アメリカ政府が市民の通話記録やメールなど大量のデータを収集・監視していることが明らかになってからその感がさらに深まりました。

 予兆はあったのです。
 4月半ばに起こった「ボストンマラソン爆発事件」で、容疑者兄弟がとんでもない速さで特定されました。これは事件現場各所にあった監視カメラの映像をコンピュータの画像認識プログラムが自動的に解析し、現場に近づき、爆発直後に逃げる兄弟を拾い上げたからだといわれています。何千人という観衆の中から不審な人物を紡ぎだすわけですから、人間の力では何日もかかる仕事です。それをコンピュータはあっという間にやってしまいます。

 この方法はすでに民間でも活用されていて、スーパーマーケットの店内のレイアウトなどに生かされています。店内の監視カメラで移動する客の動きを認識し、その動線からもっとも理想的な商品配置を探ろうというのです。これは楽そうに見えてなかなか大変な作業です。混雑する店内のAというカメラから抜けた個人を、Bのカメラの中に的確につなげるわけですから容易な仕事ではありません。

 そのやり方が街中のカメラと連動させると、特定の人物の行動は完全に捕捉されてしまいます。そしてそうした情報の累積は、その人の行動パターンを教えることになります。さらにその人の買い物や嗜好が情報として盗まれ始めると、個人は誰かに丸ごと捕捉されることになってしまいます。 

                               (この稿、続く)
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2013/6/26

「年金二題」  知識


【第一話】
 下の子が二十歳になったので年金事務所から連絡がありました。学生ですので「学生免除特例制度」といったものもあり、自分で払わせることもできるのですが、学生であるうちはそこまでやってやろうと思い先日手続きに行ってきました。

 所定の書類にいくつか記入し、係の方が「では数日中に書類が発送されますのでそれを待って金融機関等で振り込みをお願いします」と言われて挨拶をし、席を立とうしたら「あ、前納とかしませんよね」

 いや、前納するだろう。一年分すれば3000円以上も得なのですから。

 すると、
「でしたら今ここで書類をつくりますのでしばらくお待ちください」ということでまた15分ほど待たされました。

 家に帰って娘に、「世の中、豪勢なものだ。前納を面倒くさがって平気で3000円を捨てる人がいくらでもいるんだな」と言うと、
「違うよ、お父さん。払えないのよ。若い子の一ヶ月分のお給料と一緒くらいでしょ」
 なるほど。

 私くらいの年齢になれば、若者の一ヶ月分の給料程度の蓄えはなくてはなりません。しかしそれは着々と給料をいただけるサラリーマンだからであって、自営業の人の中にはそうもいかない人が大勢いるのかもしれないのです。

 こんなことだから教師は世間知らずと言われます。


【第二話】
 一昨日の新聞に「国民年金納付率、59.0%=7年ぶり改善―厚労省」というのがありました。間違いではありませんがこの言い方、何とかならないものかいつも思います。

 払うべき人の40%以上が未納の国民年金――。これでは「将来、年金制度は崩壊する」とか「払っても1銭ももらえないかもしれない(=だから払わない方がいい)」といった誤解を助長しかねません。

 日本の国民年金は20歳以上の人が全員入らなければならない強制加入です。ただし私たち教員で、年金の納付のために銀行や郵便局へ現金を持っていった人はほとんどいないはずです(任意部分に加入している人は別ですが)。私たちは共済年金という形で天引き払いしているからです。正確に言えば年金が2階建て状態で、共済年金と国民年金の両方を天引きで払っています。民間企業の方々は同じように厚生年金と国民年金を天引き払いしています。さらにさまざまな事情によって納付が免除または猶予されている人もいます。

 したがって本当に現金を持って納付しなければならないのは、自営業者や農家、アルバイトなどごく少数の人たちだと言えます。年金未納と言われるのはそのうちの40%であって、公的年金全体からすると5%ほどです。残りの95%近くがきちんと納付している年金制度、それが崩壊するはずはありません。

 もちろん支給年齢が上がっていますから「その前に死んだら一銭にもならない」という状況は以前よりも厳しくなっています。また年金は最低を保障する金額ですから自助努力も大切でしょう。しかしそれにしても「払っても一銭ももらえないかもしれない」といったデマに惑わされて納付を怠るのはまったく損です。

 能力にあふれ健康と運に絶対的な自信を持ち、年をとっても健康に毎月数十万円稼ぎ続ける、そういう自信のある人以外は、とりあえず払い続けた方がいいのです。


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2013/6/25

クジャクサボテンの花  オススメ


 自宅の方でクジャクサボテンの花が咲きました。毎年この季節に大輪の花を咲かせます。大きくて立派なのはいいのですが、たいていは24時間程度で萎れてしまうので楽しむ時間の短い花です。クリックすると元のサイズで表示します

 手入れはさほど難しいものではありません。寒さにも比較的強く、本などで読むと「冬は5℃以上の場所に」とありますが、葉が凍らなければそれより寒くても大丈夫なようです。
 水もさほどやらなくても良いみたいです、夏でも表土が乾いてから2〜3日待ち、それから灌水をしてやれば十分です。

 放っておくと葉に葉を継ぐ感じでどんどん伸びて行ってしまいます。そこで60pくらいになったら先端を摘め、それ以上伸びないようにします。

 サボテンといっても砂漠に育つようなものではなく、亜熱帯の雨林の中に生きる植物ですから半日陰を好みます。

 増やすのも簡単で、数の増えすぎた葉は根元から切って一週間ほど日陰干しにし、砂地にさしてやるとすぐに根を伸ばし始めます。それから赤玉土に腐葉土を混ぜた、水はけの良い土をつくって、そこに植え替えてやればいいのです。

 さらに数を増やしたい場合は、葉を小さく切ってしまいます(左下の図)。その状態で1週間ほど日陰干しにすれば、あとは葉一枚を植え替えるのと同じです。
クリックすると元のサイズで表示します ただし上下逆さまに植えると芽も根も出ません。写真で下の方の両端が斜めにカットしてあるのは、それが「下」だという印です。切るときに必ずやっておかなければならない仕事です。


 もしほしい方がおられるようでしたら声をかけてください。いくらでもあります。

 それにしても学校にもって来た方の鉢はさっぱり花芽をつける様子がありません。どうしたことでしょう。

 家に置き放しにした鉢に比べると、手をかけすぎたことは確かですが。




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2013/6/24

「UFOの日」  教育・学校・教師


 今日6月24日は「UFOの日」だそうです。

 1947年の今日、アメリカの実業家が自家用機で飛行中、9機の奇妙な物体を目撃し、「投げた皿か円盤が水面上をスキップするように、凄いスピードで飛んでいた」と報告したことから一気に評判となり、さらにマスコミが「空飛ぶ円盤(Flying Saucer)」と名づけ大々的に報道したところ次々と目撃証言が集まり、一大センセーションとなったようです。

 この物体は1950年代から60年代あたりまで、そのまま「空飛ぶ円盤」と呼ばれていました。しかし円盤状でない目撃情報もあったり言い方が子どもじみていることもあってか、次第にアメリカ空軍の公式用語である「未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)」が使われるようになります。またその頭文字をとって「UFO」と表現されることもあり、日本では「ユーフォ―」と言われたりしています(アメリカでもかつてはそうした用例があったみたいですが、現在は「ユー・エフ・オー」と発音されるようです)。

「未確認飛行物体」は文字通り「未確認」の「飛行」する「物体」です。
空軍ではレーダーなどで探知され、その時点で当局が把握できていない航空機、観測用気球、その他はすべて「未確認飛行物体」であり、「UFO接近中!」という言い方で強く注意を喚起します。不意に到達した敵のミサイルや攻撃機である可能性もあるからです。自国の戦闘機にスクランブルをかけ、厳戒態勢を取らなければならない緊張の時間です。

 また一般的な意味でも、自然現象であれ鳥獣であれ、あるいは何らかの機械・装置であるにしても、確認できない「空飛ぶもの」はすべて「未確認飛行物体」であると言っていいはずです。ですから「UFO」の目撃者というのは相当いるはずですし、かく言う私もこれまで2〜3回目撃しています。なにしろ「何かわからない空飛ぶもの」ですから見るには見ました。しかしそれが宇宙人の乗り物かというと、必ずしもそうは思いません。
 UFOの目撃者はたくさんいても、異星人の乗ってきた宇宙船を見たという人はほとんどいないからです。証拠の品も写真も、信頼できるものとしては一切ありません。そして何より、異星人が地球やってくるということ自体が信じられないからです。

 異星人が生物である以上、どうしても恒星の光を必要とします。恒星の周囲を回る惑星の中にしか、生物は生まれようがないのです。
私たちの太陽系で生物が生存できる星は地球だけです。ですから異星人は太陽以外の恒星の近くにいるはずです。しかし地球からもっとも近い恒星(ケンタウルス座のアルファ恒星系)でさえも、4.3光年も離れているのです。ざっと4兆kmです。

 私たち人間が生み出した最速のものは拳銃の弾でもミサイルでもなく、NASAが1977年に打ち上げた宇宙探査船ボイジャーです。その速度、実に時速6万km(秒速17km)。そのボイジャーをもってしても、アルファ恒星系まで片道1800年もかかってしまうのです。いかに異星人が高度な文明を築いていたとしても、それほどの距離を簡単に行ったり来たりしているとはとても思えません。

 UFOが異星人の宇宙船である可能性は限りなくゼロです。しかしUFOは存在します。なぜならそれは「未確認」の「飛行」する「物体」なのだからです。
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2013/6/21

「夏至」  歴史・歳時・記念日


 今日6月21日は夏至です。ただし夏至は6月21日と覚えてはいけません。4年にいっぺん、「うるう年」の前年だけは6月22日です。さらにこの「夏至は6月21日、ただしうるう年の前年だけは22日」という知識も定着させてはいけません。その法則が当てはまるのは1992年から2019年までの間だけです。
 2020年から2055年までは毎年6月21日が夏至という期間が続き、その翌年の2056年は6月20日が夏至、以後「うるう年だけ6月20日が夏至、それ以外は21日が夏至」という期間が続くようです。理由は分かりません。天文学上そういうことになっているようです。

 夏至は一年で一番昼が長く、夜の短い日です。冬至に比べると昼が4時間50分も長いと言われています。正午の太陽も、一年中で一番高い位置に上がります。

 春分・秋分は休日でお墓参りもし、冬至はゆず湯に入ってカボチャを食べる、それに対して夏至は二十四節気のなかで特に地味で、これといった行事がありません。Wikipediaには「関西地方では稲が十分に根を張るようにとタコを食べ、尾張地方の一部では無花果田楽を食べる」とありますが、全国的な意味ではただ通り過ぎてしまう日です。やはり雨の鬱陶しい時期であり、何となく華やいだ気分にはなれないのでしょう。実際に日照時間も短いのです。ただし冬が長く夏の短い北欧などでは、特別の喜びをもって夏至祭りが行われるそうです。

 一年で一番日の長い日だというのに一年で一番暑い日にならないのはなぜだろう、そういう疑問を持って聞きにくる子がいます。なかなか優秀な子です(もっと優秀な子は自分で調べます)。その子にはこういった説明をしてあげるといいのかもしれません。
「ほら真夏の一番暑い時期、ほんとうに暑いのは太陽が頭のてっぺんにある12時ごろじゃないでしょ。もっと遅くなる。それはね、太陽の日差しが直接空気を温めているわけじゃないからだ。
 太陽の光はまず地面を温める、その温まった地面が空気を温める、そして気温が上がる。だから暑くなるまでには少し時間がかかり、後ろにずれてピークが1時半か2時頃になるのだ。
 同じことは日本全体にも言える。6月の日差しが地面を温め、それが空気を温めるには随分と時間がかかるのだ。しかも日本は海に囲まれている。海は地面と違ってせっかく温めてもすぐにかき混ざってしまうでしょ。だから海が十分に温まらないと気温は上がらない。日本全体を暑くするのはけっこう大変なのだ。5月、6月、7月とたっぷり時間をかけてようやく温まり、そして日本全体を暑くする。海は冷えるのも遅いからだいぶ日の短くなった9月でも暖かい。そしてゆっくりと寒くなっていくのだ」

 そんなふうに言えば、大抵の子は理解した気分になります。

 ちなみに小学校の低学年くらいの子にはもう一つ教えておくべきことがあります。それはカーテンを引くのは夏ではなく、冬だということです。子どもたちの中には、暑い日差しを避けるためにカーテンを引くと信じて疑わない子がいます。人間は体験したから必ず理解するというものではありません。

 夏、カーテンを閉め切ったら暑くてかなわないという現実、実際に確認しておかないと意識からすり抜けてしまいます。


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