2011/12/2

アスペルガーの家族A  教育・学校・教師


 ネット上で「アスペルガー 配偶者」と検索すると相当数出てくるのが“夫の広汎性発達障害に苦労する妻”のブログです。逆の“妻の発達障害に苦労する夫”という例はありません。

 もちろんこれは広汎性発達障害が4:1もしくは4・5:1と言われるように圧倒的に男性に発現するからですが、それにしてもアスペルガーの妻がゼロということはないだろうと思いながら更に調べていくと、書籍の方に『僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活』(新潮文庫)というのがあります。ところがこの本は仕掛けが込んでいて、実は高機能自閉(広汎性発達障害やアスペルガーに同じ)の妻が、夫の視点で自分を描いたものなのです。どこまでいっても女性たちです。

 さて、ここまで進むとまた新たなことに気づきます。

 それは広汎性発達障害の妻たちがたくさんのブログを立ち上げているのと同じように、自身が広汎性発達障害を持つ女性たちも、実に多くのことを語っているということです。

 この世界では古典的ともいえる『自閉症だったわたしへ』『我、自閉症に生まれて』も著者は女性です(ドナ・ウィリアムズ、テンプル・グランディン )。『ずっと「普通」になりたかった』( グニラ・ガーランド)、『アスペルガー的人生』(リアン・ホリデー ウィリー)など、名の知れた著作は、みな女性です。

 日本でも『俺ルール!―自閉は急に止まれない』をはじめとしてたくさんの著書のあるニキ・リンコ、『アスペルガー症候群だっていいじゃない』の“しーた”、『アスペルガーですが、 妻で母で社長です』のアズ直子など、女性が非常に多くの著書を出しています。
もちろん男性もないわけではないのですが、女性の8〜9倍もいるはずの広汎性発達障害の男性たちは、ほとんど語っていません。

 なぜ広汎性発達障害の女性は自分たちのことを説明したがり、事実あんなにうまく説明できるのか。逆に言うとなぜ男たちは分析もしなければ語りもしないのか、これも考えてみる必要のあることかと思います。

クリックすると元のサイズで表示します





0

2011/12/1

アスペルガーの家族@  教育・学校・教師


 このところ、アスペルガーの家族(主として配偶者の一方が広汎性発達障害)について調べています。私の身近で立て続けに2件、そういうお話があったからです。

 これまで私は何となく「自閉圏の人々は結婚しない」と思い込んでいたので、そうした視点から考えてみることありませんでした。しかしそれはまったく迂闊な話で、児童生徒の保護者としてこれまでもそうしたカップルはたくさん見てきました。それなのに気が回らなかったのです。

 さて、そういうことで取りあえずネットで「アスペルガー 配偶者」とか「発達障害 配偶者」と検索したところ、これが驚くほどのヒットします。特にアスペルガーの配偶者を持つ妻のブログといったものが多く引っかかってくるのです。しかもこぞって面白い。

 不謹慎な言い方ですが、これらは現実を生きる“フーテンの寅さん”や“釣りバカの浜ちゃん”や“野田恵”の物語ですから面白くないわけがないのです。また書き手もブログを維持できるほどの文章上手ですから、その意味でも面白い。ただし一瞬でも当事者に身を寄せて考えると、そこには残酷なほどに苦しい世界が広がっています。

 広汎性発達障害は遺伝しませんがその形質は同じですから、夫がアスペルガーで子どものうちの何人かも発達障害という例も少なくありません。そうなると妻が一人で一家を支えなくてはなりません。しかもとなりにいるのが“ただの役に立たない夫”ならまだしも、しばしば“邪魔する夫”だったりします。妻が時間をかけてせっかく積み上げたものを、何のためらいもなく簡単に壊したりできます。夫の尻拭いをするその先で尻拭いのタネをつくり続けます。その上で多少引け目を感じてくれれば可愛いものの、こちらがひとこと言えば尊大で我がままで失敗ばかりしているくせに上からものを言う、ほんとうにかなわない人たちなのです。

 どうしてこんな人たちと結婚したのか。

 ネットで閲覧できる限りで言うと、自閉圏の男性と結婚する女性の中には三つのタイプが含まれていることが分かります(妻たちを3グループに分けられるというのではなく、自閉圏の妻たちの中に小さな三つのかたまりが確認できるという意味です)。

 ひとつは結婚すること自体に意義があり、相手を余り吟味しなかったケースです。これはありがちなことです。私も似たようなものでしたから。

 もうひとつはその男性の、ちょっと風変わりな性格や高い能力を積極的に愛したり、少なくとも好ましく思っていたケースです。

 そして三番目が機能不全の家庭に育った一群です。アルコール依存症の父親のもとで育ったとか、虐待を受けて育ったとかいった場合です。

 第3の点にについて言うと、20年ほど以前、「アダルト・チルドレン」という言葉が流行りました。これは「Adult Children of Alcoholics(アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人々)」が始まりで、アルコール依存症で治療に来る患者の妻たちがこぞって似た感じで、調べてみるといずれも父親がアルコール依存症だったという発見から積みあがってきた概念です(現在この言葉を使うことは稀で、「機能不全家族」といった概念から話をすすめることが多いようです)。

 それと同じように、自閉圏の男性の尊大で傲慢な態度に、進んで惹かれていった女性たちがいる、そんな感じなのです。(この稿、続く)


0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ