2010/6/11

言葉の難しさ  言葉


 職員室で、学力の「ほしょう」はなぜ「保障」なのかという話がありました。
「必ず学力をつけます」という意味では「保証」の方がよさそうな気もしたのですが、現実問題として保証しかねる子もいるわけで、ちょっと言葉が強すぎる感じがします。もちろん「補償(損失を償う)」ではかなわないわけで、成績が低い子を出すたびに教員が補償金を払わなければならないようなら、この仕事やっていられません。

 「保障」を辞書で調べると「危険や災害による損害をこうむらないように保護すること」でこれもぴんと来ないのですが、あれこれ調べていたら「障害のないよう保つこと(安全―、社会―)」とありましたので、何となく落着、という感じで「学力保障」になりました。

 こうした微妙な違いというのはある意味そのつど調べるからいいのですが、「小さなウソはばれるが大きなウソはばれない」と同じで、根本から間違えて堂々とした誤りというのはかえって見逃されたりする場合があります。

 たとえば、「汚名挽回」といえばどうってことないような気もしますが、よく見ると「汚名を挽回してどうする」とツッコミを入れたくなるような言葉です。ここは「名誉挽回」「汚名返上」でなくてはなりません。

 似たような誤用に「現状回復」があります。もちろんこれは「原状回復」が正しい用法で、「現状(今の状態)」は回復できないが、「原状(元の状態)」は回復できると考えれば分かりやすいところでしょう。

 他人の過ちをあげつらうのは気持ちの良いものですが、あげつらったつもりが実はこちらが間違えていたということも少なくありません。

 大学に入ったときのオリエンテーションで事務の方が「書類がチョウフクしないように」というのを聞いて、「このひと、重複(ジュウフク)をチョウフクと読むのかヨ」とからかう気分でいたら「チョウフク」が正しい読みでした。

 最近もある講演会で、主催者側の副代表が「本来なら会長がご挨拶を申し上げるところですが、本日はやんごとなき事情があって、こちらには来られませんので代わりに・・・」と挨拶するのを聞いて「『やんごとなき事情』かい、ミヤビようのう。『よんどころなき』の間違いだろう」とからかい気分いたら、これも正しい用法でした。

「十」という漢字には「じゅう」「とう」「じっ」の三つの読み方がありますが「じゅっ」という読みはありません。したがって「十手」は「じって」、「9組」の次のクラスは「じっくみ」。同様に「十戒」は「じっかい」、「十干十二支」は「じっかんじゅうにし」です。NHKのアナウンサーは確実にそう読んでいます・・・と薀蓄を語っていたら、2〜3年前から一斉に「じゅっ」の発音を使い始め、私の自信も瓦解しました。

 現在はどんなベテランアナウンサーも「じゅっちょう」だの「じゅっきゅう」だのと言っていますから、規程(←この字も自信ないなあ。「規定」?)で揃えたのでしょう。

 なかなかやっかいなことです。



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