2005/12/16

「成長の潮」  教育・学校・教師


 以前、「子どもの成長は不揃いの階段を登るようなものだ」とお話したことがありますが、ちょっと訂正しておきます。
 学力や運動能力、というものは確かにその通りなのですが、人格的なもの(生き方だとか身の処し方だとかいったもの)はある日突然、階段を一段上るように成長するものではありません。また、子どもの「能力」が(早い遅いはあるものの)基本的に上りつづけるのに対し、人格的なものはプラス方向にもマイナス方向にもぶれます。それはたぶん潮の満ち干きのように、目に見えないほどゆっくりとした、しかし確実な動きなのです。

 昨日、ある保護者から相談があり、私はその子が良い方向に動いていると感じていたのに、保護者が逆に考えていた、という事実に驚かされました。
 話を聞いてみると、確かに心配するような事実がないわけではありません。しかしそれらは実に瑣末なのです。瑣末なことを馬鹿にしてはいけませんが、それにしても神経質に過ぎます。で、フト気がついたのですが、実はこのお母さん、潮ではなく波に目を奪われているのですね。今の波が向こうの方に行ってしまったことに怯えているのです。

 不登校や非行のような問題を抱えると保護者は子の一挙手一投足に、それこそ一喜一憂します。しかしそんな細かなことにいちいち舞いあがったり落ち込んでいたりしたら、とてもではありませんが身が持ちません。大切なことは全体として良い方向に向かっているのか、悪い方向に引いているかということです。そうした大きな潮のことを考えれば、波の動きなどどうということはないのです。

 私たちはそうした目に見えないほどゆっくりとした動きを捉え、満ち潮ならば良し、引き潮なら着実に手を打っていかねばなりません。それがプロというものです。

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2005/12/15

「緊急事態」  教育・学校・教師


 県は昨日より当分の間、県内のすべての小中養護学校の登下校時に1〜2名の警察官を配備することにしました。その数およそ600〜1200人。本県の警察官は約3000人余り、そのうち昼間の勤務は2500人程度でしょうから、警察官のおよそ半数を朝晩4〜5時間、児童生徒のために当てることになります。

 もともと本県は警察官ひとりあたりの人口が650人余と、全国でも特に多い県です。全国平均が527人ですから、ひとりの警察官が受け持つ人数は120人あまりも多いのです。その人数で、これも全国有数の面積をカバーしてきたのですから本県警は非常に優秀だと言えましょう。その半数を学校に投入するというのですから、その意気込みも知れます。もはや非常事態と言っていいような状況です。

 懇談会の席でも学校の対応について問われるかもしれませんので、昨日の職員会のプリントにもう1度目を通しておいてください。また集団登下校についての要望・質問も出るかもしれませんが、いまのところ学校では予定がないので、その方向でお話下さい。理由は以下の通りです。

@現在の段階では子どもの安全に関して、集団登下校が有利かどうか分からない。広島・栃木で起こったような誘拐殺人また地震・豪雪のような天災に関しては有効だが、道路凍結による車のスリップ事故・無差別殺人的通り魔事件については、むしろ児童はばらけていたほうが有利と考えられる。したがって現在の状況では「まとまって帰りなさい」という程度で、それ以上踏み込んだ指導はできない。

AC市内あるいはそれを取り巻く地域で特に異常な事態のない現在、本校だけが集団登下校を始める以上は緊急対策ではなく恒常的な活動となる。その場合は登下校班の班長を決め、それぞれの経路、習い事のある日、その送り迎えなど詳細な計画が必要になり、PTA校外指導部を始め保護者に応分の負担を求めなければならないしかし今の状況では必ずしも理解が得られそうにない。

B緊急事態があれば、もちろん集団で登下校させる。

C防犯ボランティアなど、集団登下校に代わる安全対策を現在計画中である。また警察官・教職員による巡回も始まったばかり。もう少し様子を見てほしい。

 以上です。



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2005/12/14

「下校指導をお願いします」  教育・学校・教師


 昨夜はN地区の「子どもの安全を守る緊急安全対策会議」でした。ウッカリしていましたがこの安全対策会議、昨日が立ち上げで今後定期的に開かれるようです。なかなか大変です。

 昨日はH中学を含めて4校出席の会でしたので、互いの安全対策が比較されてややシンドイ面がありました。本校は4月に「子どもを守る安心の家」の訪問をしていたり、安全ボランティアの予定を発表したりということで、ハラハラする場面はありませんでしたが、他校はやや突き上げを食らった感じもありました。

 さて、
 誰がどの程度の恐怖感をもって暮らしているのかは分かりませんが、毎日死ぬほど心配をしいる保護者がいることは確かです。そこで、

1、下校時刻は容赦なく絶対に守ってください。交通事故のことを考えると余裕をもって帰宅させるのも大切ですので、教室から玄関へ走っていくようなことも止めてください。帰りの会を時間どおりに終えればいいだけのことです(それが大変なことは百も承知ですが)。

2、道草をせず、集団で、まっすぐ帰宅するよう指導してください。親や地域の人々はキリキリしているのに、子どもはいたって呑気です。本来はそれでいいのですが、今は困ります。昨日は4時35分に、Tモータースの横断歩道の先で、地面に転がってふざけている女の子がいました。

3、昨日の日報に書いたような不審者対策を、もう一度クラスで話してください。1学期に警察の方を招いておこなった不審者対策のロールプレイを思い出させるようお願いします。

4、昨年の奈良の事件も今年の広島の事件も、1年生の女の子はいとも簡単に犯人について行っています。低学年の児童には、「知らない人」というのは「はじめて顔を見る人」ではなく、親戚や古くからのご近所、友達のお母さんやお父さんなど、絶対安全だと分っている人・・・以外の人だということを、もっとうまい言い方で伝えてください。「ここのところしょっちゅう顔を見るお兄ちゃん」は、「知っている人」というよりは「もっとも怪しい人」です。

以上、思いついたところを書きました。

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2005/12/13

「人の目と自己防衛能力」  教育・学校・教師


 このところ新聞紙上では「不審者対策の決め手はスクールバスだ」とか「通学路や校門へ防犯カメラを設置するなどの対策を協議する」(小坂文科大臣)とか、およそ実現性のない不審者対策が賑やかです。
 なぜ実現性がないかと言うと、スクールバスを導入するとなれば本校だけで5〜6台。C市全体で80台以上も必要になるからです。バスだけなら借金をしても買えますが、朝夕だけのパートタイムで働いてくれ、しかも大型2種免許を持った人を80人揃えるのは不可能でしょう。また、先日の音楽祭ではH中はバス10台を学校に入れるだけで大変だったといいますが、郊外ですらそうです。市街地のE小中の付近に、バスが30台もウロウロするのは考えるだに恐ろしいことです(しかも毎日)

 監視カメラについては、知事が各校4台として8億4000万円という試算を出していますが(共同通信)、本校の広い学区にカメラ4台では話になりません。また仮に100台ほどを設置したとしても、誰がそれをチェックするのか(私はゴメンです)。
 そうなると実行性のある不審者対策は何か、ということになるのですが、私はそれは人の目と自己防衛能力だけではないかと思っています。

 一般的に言ってこれまでの誘拐事件で、暴れる被害者を無理やり車に乗せたり家に引きずり込んだりといったことはほとんどなかったと思います。大部分は被害者がすんなりと騙され、自分から加害者に近づいています。広島の事件では加害者の携帯に出ていた女の子(加害者の娘)の写真に引き寄せられ、被害者はアパートの階段を上っています。昨年の奈良の事件では、親がGPS付きの携帯電話を持たせるなど日頃から警戒していたにも関わらず、目撃者によると被害者はあっという間に犯人の車に乗り込んでいます。そこに間違いがあります。

 自己防衛能力といっても大したことをするわけではありません。
 車から声をかけられたら慌てずに答えればいいのです。道を聞かれたら親切に教えなくてはなりません。そういうことのできる子でなくてはならないはずです。ただし、運転席から必要な距離は保たなくてはなりません。その人が車から降りたら、一歩うしろに下がる必要もあるでしょう。「その場所まで一緒に行ってよ」と言われたらきっぱりと断らなければなりません。「車には乗れません。ダメだと言われています」。それ以上しつこいようなら、これは怪しいですから走ってでも逃げなくてはなりません。
 お菓子をやるとかおもちゃを見せるとかいうのも全部ダメです。今の時代、きちんとした大人は見ず知らずの子にそんな言い方をしたりしません。また「お母さんに頼まれて迎えにきた」というのもありえないことです。お母さんは、キミの知らない人にキミのことを頼むような人ではないからです。

 こうしたことこそが不審者対策の決め手です。
 ただし、子どもは小さくて非力ですから万が一、ということもあります。そこで周囲の人が見張るのです。監視はあくまでも補助的手段です。監視だけで犯罪を防ぐことは到底できません。

 今夜はN地区の「子どもの安全を守る緊急安全会議」です。「冷静に対処しましょう」とは、とても言える雰囲気ではないでしょう。しかし、そういう立場で会議に臨みたいと思っています。
 
 
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2005/12/12

「K地区「子どもの安全を守る緊急安全会議」(12/9金)」  教育・学校・教師


に行ってきました。参加の範囲は区長会・学校・PTA・民生児童委員・子ども会育成会・少年育成会・消防団・家庭応援ネットワーク等々、子どもと地域に関わるすべての団体です。

 予想より遥かに多くの要望・提案が出されましたが、私の一番の感想は「地域は学校のことを本当に知らないんだな」「私たちにとって当然なことが、驚くほど知られていないんだな」ということです。

 例えば、
「高学年と低学年の下校をあわせることはできませんか?」・・・低学年が4時間、高学年が6時間という日もある。合わせるとなれば高学年の2時間カットになるが、それでもいいのか。

「子どもが一番危険になるのはひとりになるところ。学校はそうした場所の危険箇所情報をきちんと把握しているのか。そうした箇所を重点的に見まわるなどの対策ができているのか」・・・ひとりになるところが危険箇所というのは事実だが、その定義だと児童数280ほどの本校は危険箇所が280以上あるということになる。これを見張ることは不可能。

「子どもの下校の様子を見ているとみんなバラバラ。昔はガキ大将がみんなをまとめて動いたもの。先生たちはそういうことをなぜ教えないのか」・・・教えていないのではない。年齢を越えて面倒を見合う大切さはいつも教えているがとても難しい。地域における子どもの行動半径が200mくらいしかなかった昔とは違い、今は自転車や親の車で好きな者同士がいつでも付き合える時代。イヤな上級生とも我慢して行動するなんてことはなかなかしてくれない。

「子どもがひとりになる場所をはっきりさせ、地域のみんなで共有したら」・・・どこで子どもがひとりになるか、という情報は「ここで襲えば大丈夫」という情報にも転化する。とても出せるものではない。

 知られていないということは、むしろ知らせていない私たちの方の罪です。今回の緊急安全会議、一番の収穫はそうしたことを知らせる絶好の機会になったということだと思いました。
 なお、この場で出された内容の具体的なものは、連絡会で報告いたします。
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2005/12/8

「UFOと不審者」  教育・学校・教師


 UFOは未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)の頭文字を並べたものです。ですからそれが後に風船だと分かるまで、あるいは奇妙な雲だと知れるまで、空中に浮かぶ未確認の物体はすべてUFOです。その意味では私は何度もUFOを見たことがあります。
 ただし、実際には「UFO」は「空飛ぶ円盤」だとか「宇宙人の乗り物」だという意味で使われていて、「UFOを見た」といえば一応は「ホントかよ〜」というところから会話が始まります。「ふ〜ん。で、それは本当はなんだったの?」ということにはなりません。

「不審者」という言葉はもともとは「疑わしい人」という意味です。それがあとで「本当の市役所職員だった」とか「単に道に迷っているだけの人だった」と知れるまで、その人は「不審者」のままです。ただしあくまでも「何か疑わしい人」というそれだけのことです。その「不審者」が今や本来の意味を失い、「不審者=何をしでかすか分からない人、猟奇的殺人傾向を持った人」と重なろうとしています。

 今週はほとんど毎日何らかの対外的な会議が入っていて、その大部分が、審者対策とS地区の行方不明事件対応です。そうした会での雰囲気は、まさに今、その「猟奇的殺人傾向を持った人」が数名このC市内に入りこもうとしている、といったもので、もはや「冷静な対応を」と言ったりしたものなら白眼視されかねない感じなのです。
 みんなが疑心暗鬼で学校も行政も隣人も信じません。

 S地方の行方不明事件では土曜日に一旦氏名付きでボランティアが捜査を始めたところ、県教委やI教育事務所が入った途端に匿名に変更され、以後長く氏名や特徴が伏せられたままの捜査になってしまいました
 。二三日以内に解決する事件だと考えれば、その子の将来を考え、匿名とするのは当然だと私も思います。しかし一般には、これは県教委と教育事務所による事実隠しだと本気で考えられているのです。学校や行政は、放っておくと何でも隠してしまう、そういった疑いは思いのほか強いのです。

 さて、今夜はわが地区の「子どもの安全を考える会」。13日の月曜日はN塩地区で同じ会が行われます。
 「猟奇的殺人傾向を持つ人」は、性犯罪の犯行暦を持つ人間をマークすることでかなりコントロールできる時代が必ず来ます。しかし不審者は元の意味が「疑わしい人」ですから、100年たってもそのままです。50年でも100年でも続けられるような方法を考えるとともに、多少私も、口を慎みたいと思っています。


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