2014/8/27

「全国学力テストの行方」A  教育・学校・教師


 全国学力学習状況調査で成績を挙げることにどういう意味があるか、というお話をしました。
 上位を取ることのメリットも下位であるディメリットも、よく分からないのです。「秋田や福井から東大生が続々と出現したらそれで地方自治体は潤うのでしょうか?(中略)みんな都会に出て、帰ってこないのがオチです」と書きましたが、東大京大への進学率に限ると福井は23位、秋田に至っては40位とまったく奮わないのです(2010年 大学進学率は福井11位、秋田33位)。これだけをみると秋田・福井の子どもたちの学力は、高校に進学してからガタガタになったように感じられますが、実はそうではありません。全国学テで問われる学力は大学入試で通用する学力とまったく異なっているからです。それどころか学テは通常の授業からも浮いていて、普通の勉強をしていたのでは成績が上がらないことになっているのです。

 PISA(OECD生徒の学習到達度調査)を手本とする全国学テは、独創力や推理力、表現力などを問うところに特質があるといわれています。実際に問題を見てみると生活に根差した問題、学校では決して学ばなかった問題が数多く出されており、出題方法も、大量のイラストや表・グラフが用意されてそれをつなげて考えたり、長大な設問を理解して答えがひとつだったりとかなり変則的です。これは普段受けているテストや高校・大学入試とは全く異なったものです。

 普通の学校の教育は、
「各学校においては,(略)児童の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び児童の心身の発達の段階や特性を十分考慮して,(略)これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする」(学習指導要領総則)
といったふうで、独創性や個性といった特殊な能力をつけることを目的にしてはいません。全国学テを受けるにはそれなりの準備をしなくてはならないのです。

 そのことは今回躍進した静岡・沖縄の取り組みからもうかがえます。彼らは何をしたのかというと過去問や類似問題に取り組んだのです。通常の漢字練習や計算練習もしたかもしれませんが、成績を伸ばした最大の要因はテスト対策です。
私自身も2007年に赴任した学校で第一回学テの成績が市内最下位、それもダントツの低成績で市教委の猛烈なバッシングを受け、それを一年で市内2位にまで引き上げた経験があります(惜しかった、あと一歩で1位だったのに)。その時やったのも類似問題への取り組みです。

 担当の先生のその時の言葉は、今も忘れられません。
「先生、このテスト(全国学テ)、試験対策によく馴染むのです。そんなに練習しなくてもすぐにできるようになります」
 要するに「解き方に慣れればいい」「慣れるのは難しくない」という意味です。以来私は全国学テに対する真面目な関心を失いました。

 もちろん全国学テはすでに定着しつつあるものです。しかも競争に巻き込まれている都道府県も少なくありません。今更ボヤいてもしかたないことですから少し前向きに考えましょう。

 何といっても低学力の子に学力のつくのは悪いことではありません。非行少年の95%以上は低学力ですから、勘違いした学力向上が非行問題を減らす力を持っているのかもしれません。もちろん扱いを間違えると、この全国学テの狂乱が学校教育を間違った方向に向けてしまう可能性もないわけではありませんが。



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