「鶏卵輸出量が過去最高 18年は5割増」 なんて新聞記事があって。
へ?そうなの?と思ったんだけど。
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鶏卵の輸出量が過去最高を更新した。財務省の貿易統計によると2018年の殻付き卵の輸出量は5887トン。過去最高だった昨年に比べて5割増加した。
訪日客の増加や海外で和食料理店が人気を集めるようになり、鶏卵の生食文化が広まってきた。
輸出先で最も多いのは香港で5859トンと全体の9割超を占める。昨年10月には台湾と米国が解禁となった。今後、欧州連合(EU)にも輸出が解禁される見込みで新市場解禁が今後の輸出量の増加に拍車をかけそうだ。
すき焼きに用いる生卵やラーメンのトッピングの半熟卵などが海外でも食べられるようになり需要が急増。農林水産省によると、日本食レストランの海外の店舗数は17年に約11.8万店と4年間で倍以上になった。
日本の鶏卵は世界的に見ても衛生基準が厳しく、生や半熟で食することができる。一方、海外の卵はしっかり加熱しなければサルモネラ菌などによる食中毒のリスクが高く加熱処理を前提とするのが一般的だ。 (2月5日 日本経済新聞)
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なるほどそういう事。
クールジャパンとか言っちゃって、政府が日本食レストランの海外進出を後押ししてるってのもあんだろうね。
ジャパンクオリティーを輸出するぜ、って事ね。
だけどサ・・・
アメリカの畑で取れたトウモロコシで、日本でニワトリを飼って、そのニワトリが産んだ卵をヨーロッパまで運ぶの?
それぞれの業者が、それぞれの分野で、利益が出て、ビジネスとして成立するから、やるんだろうけど。
ちょっと喜劇的だな。
この場合、サルモネラ菌による食中毒のリスクが低いから売れる、というわけで。
売れているのは農産物じゃなくて“安全性”というソフトだよね?
日本に居ると解らないけれど、知る限りの海外の農場と比較すると日本の畜産現場の衛生レベルは高い。
それはひとえに畜産現場の人たちの意識の高さにささえられている。
(今の政治家の態度を見てると、それを見て育つ子供たちの世代のモラルが不安だけれど、今のところそうことが言えると思う。)
だからこれも成り立つ。
ただ。
ケージ飼いの養鶏は、無菌ハウスの中で水耕栽培される無農薬野菜のようなものだから、資本が投資されれば、消費地の近くに生産設備を一式セットで置けばいいだけ。(餌はそもそもアメリカ産だし)
日本の気候に根ざした特産品の輸出とは、違う話。
以前、たまに取り引きがある軽井沢のケータリングサービスの会社(軽井沢の別荘のお客さん相手に食材や料理やその場での調理をサービスする会社)から
「常連のお客さまから平飼いの卵がどうしても欲しいと注文されので30個送ってもらえないか。」
と頼まれたけど、断った。
今は運賃も高く、数をまとめてもらわないとペイ出来ない、と伝えると
「そちらの最小ロット分の代金は払うから、30個送ってくれないか。」
と粘られたけど、それも断った。
うちは農家で、鶏が産んでくれた卵・実物に値段を付けて売って暮らしているからね。
卵の箱の、その空いたところに“ホスピタリティー”詰めて売るのに、抵抗がある。
・・・だからうちはダメなのか?
この国で畜産をやるとなると、販売価格を抑えるために、価格の安い、遠い国から運ばれてくる穀物が餌のメインになってしまうけれど。
そこでその土地でしか出来ない畜産物を生産出来ればと思ってやっているし、そういう農家、が増えていく方向にしていかないと、国土が荒れると思うけど。
どうもそっちの方には事が進まないねぇ。。。
なかなか“クール”になれないジャパン。
(なかなかクールになれない俺。)