ぎりぎり遠くまで迎えに行っちゃったもんだから、途中のサービスエリアの特産品やお土産を見てる暇もなく、ひた走る。
途中、車の中でおしっこしちゃったのはご愛嬌だったけど(トホホ・・)、野越え山越え丘を越えて、農場に戻ってきた。
ふぃ〜着いた〜〜
で、
最初にすることは6歳になるうちの番犬とのご対面。
「お〜い連れて来たぞ。」
と引き合わせると、少しびびりながら顔を近づけて挨拶。
そりゃそうだよな。自分より倍デカいやつなんて。しかもどうも子犬みたいだし。
デカいんだか?子犬なんだか?どっちなんだよ?って感じだね。
で、新人の方はというと
・・・完全無視
へ?!そうなの?そうなんだぁ。
ふ〜ん・・・
こいつ、自分の事イヌだと思ってない。
室内で飼われていて、人間の家族の中にいたから、そこんちの兄弟のうちの一人だと思ってたな。
だからイヌの挨拶も知らないし、「何このイヌ?」って思ってる。
そっか・・・
しばらくはどんな子なのか探り探りになりそうだ。
そんな風に、遠くから、生後9ヶ月体重23キロの子犬を連れてきた。
ヒヨコだって、人間の子供だって、何だって同じなんだけど、命を預かるのはやっぱり緊張する。
新しいヒヨコが来た時は、殺しちゃなんない・殺しちゃなんない・殺しちゃなんない・・ってまるで呪文のようにつぶやきながら飼うけれど、同じ緊張感。
畜産やイヌや子育てや。
命を育てるのって、時間をかけた分しか成せない事があると思う。
それが30年お百姓をやってきて知った事。
でも、今、社会だと、みんないろいろ縛られて、忙しいから、誰か何かのシステムに委託するんだろうな。
そっちはそっちで、例えば塾とか例えば育成業者とか例えば調教師とか、ビジネスとして成立してるから、時間をかけた分だけしか成せない事があることさえもう忘れられている、ように思える。
イヌや鶏に「心」が・・・ないわけではない。もちろんヒトも。
時間をかけて心を重ねていく感じ。
それから10日。
用水路に落っこちたり、穴っていうもんを掘ってみたり、他のイヌやキツネやサルやタヌキの臭いを嗅いでみたり、いちいちおっかなビックリ大騒ぎ。
この前薄暗い藪から飛び出て来たのはイノシシってやつだよ。キョトンとし過ぎてて反応なかったけど。笑
スパームーンの月明かりの中、車が来ない田んぼ道を
3人?3匹?で道幅いっぱい右に左にうろうろしながら、ゆっくりと散歩する。
「なあ、お前どんなイヌになりたい?」
チラッとこっちを見て、また右に左に、ゆっくり歩く。
明日もいっしょに農場の仕事しような。
https://www.youtube.com/watch?v=2YfWQG5gI4A
