暮れも押し迫った静かな農場で、出荷の準備する午前中。
軽トラで誰かがやって来た。
あれ?窯八さんじゃん。「おはようございます。」
近所で登り窯というスタイルの窯をやっている窯八(屋号)のご主人だ。
陶芸家というより古典落語に出てくる大店の若旦那っていう風情のすらっとしたつるっとした風貌の人。
にやにやしながら懐から何か取り出す。
「あのぉー・・これ。」
アハ!何と焼き物のタマゴ=I
少し前に窯焚きをしていたのは知っていたけど、わざわざ作ってそんときに焼いてくださった。
「へえぇー、アリガト!俺こんなの大好き!」
一つは窯八得意の手法で緑がかった色は薪の赤松の松ヤニが自然の釉薬になったもの。一つは磁器の土で白くタマゴにしてくれた。
えへへ・・うれしいなぁ・・こんなタマゴ持ってる農場、うちだけだぜぇ・・
農場にお越しいただくお客様や友人とこの時期、話をしているとお休み≠フ話になる。
「お休みは・・・ない・・ですよね。」
「ですね。一応出荷は多分ないので少し時間を追われませんけどね。」
エサやりとエサやりの合間をぬって、屋台をのぞいたり、挨拶回りをしたり。
そうこうするうちにまた、出荷が始まる、ってのがこの二十数年のならわし。
ハレもケも、日常も非日常も、あったもんじゃない。
ずっと全部が日常だから、全部非日常のような気にもなってくる。
連続した時間の中にいることだけはわかる。
このあたりの感覚は、以前書いてもらったこの記事がわかりやすい。
こんなにカッコよくは、実は、ないのだけれど。
http://4b.yahoo.co.jp/contents/0803/document/page1/
全部が日常だから、こんな日常に色をつけてくれる出来事やオブジェがうれしいんだな。
日常の中で出会い・驚き・思いをめぐらす。
フツーの日常でそれをやり続けるには、どうするか?
毎日の何でもない作業や何でもない会話をどう充実させるか、だ。
冬至から一週間。もうずいぶん日が延びた(ハズ)。
新しい年は始まっている。
あわただしいですが、皆さまご自愛下さいませ。