「ヘルパーさん頼んだって、やっぱ一週間前から準備しなくっちゃなんねえから、出かけるときにはもう疲れちゃってんだよなぁ・・。」
もう何年も前のことだけど、群馬で乳牛飼ってる友人ナカザワが家族で遊びに来たときに、そんな話で盛り上がった。
酪農が盛んな地域では、組合を作り人を雇い、乳搾りやエサやりの作業を頼み、農家は順番に休日を作る。
それでも、その一日の休みのために、作業を頼む人(ヘルパーさん)が作業出来るように、エサを作ったり道具を用意したり、一週間ぐらい前から準備をする。それで、いざ出かけるときには疲れてしまい、もうめんどくさくなっちゃっている。
まったくね。牛飼いや豚飼いや鶏飼いはどうしょうもないよね。
その鶏飼いが銀座へ出かけてって一日タマゴを売ることになった。
家族への負担は出来るだけ減らしたいから、朝のエサやりをやってから出かける。
まだまだ暗いうち、いつもより早くエサやって、出発する。
予定より遅れて到着。
急いで「お店」を開く準備をする。
豆本やタマゴの説明をするPOPやタマゴやクリームパンやらをテーブルの上にならべていると、声がかかる。
「平飼いたまごのクリームパン?おいしそう!一個おいくら?」
「あっ、あ、はい。いらっしゃいませ!」
もう20年ほどタマゴを納めている西葛西の自然食品店サンピュアのご主人が夫婦お揃いでお越しくださった。
「もっと東京に来ればいいんじゃない。」
「来ましたー。」
東京の親戚親子は家族全員分のクリームパンをお買いあげ。
それから。
これから取り引きが始まるオーガニック「ロケ弁」屋さん。「はじめまして。」
クッキングコーディネーター H さんのわざわざのお越しにちょっと緊張。
うちの自作の冊子「たまごブック」を売っていただいている渋谷の本屋クックコープさんも来て下さった。「たまごブック、追加の注文、行ってますよね。」
普段タマゴをご購入いただいている東京のお客様も立ち寄ってくださった。
で、結局、クリームパンは小一時間で、タマゴもお昼を過ぎたあたり、同じテントでタマゴ料理を出してくれた諏訪のイタメシ屋「ダンロ」さんのお料理も午後一時をまわったあたりで売り切り。
「しまったなぁ。持ってくる数少なすぎたな・・」「ですね。」
ダンロのマツモトさんと早々と反省会。
「しょうがない。閉店の時間まで元気に大声で、ゴメンナサイ!売り切れました!って言い続けるしかないナ。」「アハハ。」
ホントに持っていったものは全部売り切れ。
この日に向けて作った農場を紹介する「豆本」も好評で持っていった分、全部なくなった。
何もないテントで「すみません。売り切れでして・・」と言い続け、夕方「そろそろ時間です。」のスタッフの声に少しホッとする。
最後までフォローしてくれた J さん、ヨシムラさん。主催者側のスタッフのみなさん、お越しいただいたお客様に感謝しながら後片付け。
車を停めてあった築地本願寺横の駐車場まで、熱をさましながら少し歩く。ふぅー。
エサやりとエサやりの間に、街で自分ちのタマゴを売った。
タマゴを使ってもらってるレストランのシェフと並んで、タマゴとパンとタマゴ料理を売った。
それもうちの「仕事」なのだな、とあらためて思う。
それから高速に乗って家に向かう。
明日の朝、またいつものエサやりだ。