まあね、そりゃね。
気付けば農場の周りが、全部放棄地になってたってわけで。
田んぼ、栗林、桑畑、家の風呂を沸かす薪を切り出していた雑木林。
農場を囲んでいたそれらが、やる人がいなくなって、荒れ放題になっている。
そりゃサルだって、遠くから覗き込んで、何回か偵察に来て、様子が分かれば、後は枝からトンと降りてサササッと走れば獲物をゲット出来ちゃうわけだから。
まだ、本格的に盗られてはいないけど、この村がダメになっていく結果としてのサル害だから、精神的ダメージが大きい。
移住先として人気があるこの場所も、村の機能、農村の機能は再生されないだろう。
若い頃、農事組合法人を作って地元のオジサン達と村おこしをしようとしたんだけどね。
さてと、そう嘆いても、また明日の作業が迫るのが農業。
鶏小屋の産卵箱の中は絶対に渡さない。
トンッサササッのサササッの距離を伸ばすために、他所ん家の土地の草を刈る。
勝手に。
