少し前だけど、ネットでブロイラー(肉用ニワトリ)の話が出回っていた。
「大手フライドチキンチェーン店のニワトリは・・・
肉に加工しやすいように開発された毛が無い品種を使っている・・・
それには遺伝子組み換え技術が使われて・・・
恐ろしい・・・」
ご丁寧に、それらしいニワトリや店の看板をコラージュした画像がついていた。
しばらくたつと、このネタに「イスラエルの科学者」が加わったりして、エスカレートしていった。
まったくもっともらしい話で、オーガニック業界の関係者もこのネタをシェアしちゃったりしてたから、知り合いにはガセネタ・ウソ話ですよとお知らせした。
ニワトリの品種改良に遺伝子組み換え技術が使われる事はない。
肉でも卵でも、交配による品種改良や飼育技術、飼育設備の研究で、すでに限界まで生産効率は上がっている。
採卵鶏はほぼ1日1個産卵し、肉用鶏の増体率(食べた餌に対する体重の増加率)は生き物として限界に近い。
これ以上は無理、というところまですでに効率は追求されつくされている。
だから、非常に高価な(コストがかかる)遺伝子組み換え技術はもうそこには使わない。
ま、わかるけどね。
世界のどこかにマッドな科学者と強欲な経営者がいて悪事を働くなんてのは、娯楽映画の普遍的なテーマだもんね。
むしろ。
こんなに大量に、こんなに当たり前に、こんなに安く肉が流通してる事に、実はみんな何となく不安を感じるから、その不安にこんなストーリーを乗せてしまうのかもしれない。
その感性の方が、健全かもね。
そ!そうなんだ。
そっちの事の方がきっと大事だよ。
こんなろくに畑もない島国にこんなに家畜がいるのかなぁ?
そんなはずないよね?
きっとどこかにウソやトリックやカラクリがあるんじゃない?
そう思うその感性がこんなチープなガセネタを流行らせたのなら、むしろ歓迎すべき事なのかもしれない。
そうだよ。この島国にはそんな畑はどこにもない。
だからちゃんとカラクリがある。
俺は現場にいるから知ってるけどね。
知りたい?
いいよ。いつでもおしえたげる。
自分の五感を信じて自分の身の回りの事を考えれば、そこに必ずあるはずの、いろんなウソやトリックやカラクリが見えてくる。
もっと自分の感性を信じていいよ。
今年、俺が知る限りのエイプリルフールのウソに、あんまり切れ味がなかったのは、でっかいウソが世間に横たわっているからなんじゃない?と思う。
濃縮した放射性物質が
あれほど安全だと言っていたのに
事故で抜け落ちてどこかへ行っちゃって
近づく事さえ出来ないでいても
「アンダーコントロール」なんだと
大人が言い
研究者も政治家も経営者も誰も責任を取らず
その遺伝性毒性もはっきりわからないのに
処分する技術がないゴミの事を切り離して
安価だと言い張り
まだ同じ事を進めようとしている
こんなご時勢に
気の利いたおしゃれなウソなんて
あるわけない。