一人暮らしの学生時代。
晩飯を作るのがめんどくさいとかなんとか言っちゃって、夕方から賄い付きのバイトを探して、皿洗いとかウェイターとかよくやった。
だから「厨房」のことは少しわかる。
どこのお店の厨房もビルの中とか地下とかで、出入り口は裏側で物がいっぱい置いてあるから狭くて。
オーナーがコックさん雇ってたり、シェフがオーナーだったり。経営もいろいろで。
料理人はおおむね体育会系で縦社会で、中にはすごく親分子分・師匠徒弟気質が色濃く残ってる店があったり。
厨房の中は年中同じような温度で、火を使うから結構暑くて。
とんかつ屋なんて特にそうでね。チーフは真冬でも半袖の厨房着だった。
食材があるからもちろん日なんて当たらないし、外が見えるなんてことは少ない。
日に焼けたコックさんなんていなかった。
コストが厳しい業界だから、よほどのこだわりがあるオーナーシェフか よほどのこだわりがあるオーナーでない限り、食材も高い安いと見た目が物差し。
ま、生意気な学生アルバイトが感じたのはそんなところ。
少し前に、フランス料理のシェフと話す機会があって、シェフの間では「鶏は夏あまり玉子を産まなくて冬は産む」という風に思っている人が意外と多い、という話を聞いた。
う〜〜〜ん。
ま逆じゃん。
どうしてだろう?ってちょっと考えて。
夏少なくて冬多いってのは「需要」の方だよね。
季節感のない厨房にずっといると、玉子を使う季節でどんどん発注してどんどん配達される冬が、何となく産卵期だと思ってしまうのかもね。
鶏は春から夏にかけてが産卵期。
本来はそういう動物。
ちょうどいい大きさの卵をたくさん産むという元々の性質がさらによく現れるように交配を続けて改良して。
余分なカロリー消費につながる運動が出来ないように設計されたカゴに入れて。
窓がない建物の中で、温度と照明をコントロールして。
ぜったい病気にならないように消毒してやると。
真冬でもガンガン産みますけど。
秋冬は産みません。
本来はそういう動物。
シェフのみなさん、ご承知おきください。
あたり前だけど、とんかつ屋で皿洗ってたって、まかないで出るのはカレーライスとかそんなの。
だけど、そのただのまかない飯がおいしくってね。
お世話になりました。
(画像はまかないじゃないです。CafeCafeさんのオムライス。うちの卵だよ!)
