ひどい雪だった。
すっかりとけて、消えてなくなったけど。
被害にあった人にだけ傷跡を残してね。
その大雪の前。
県内にある小中一貫の私立学校の小学校の子供たちが農場にやって来た。
6年生から低学年まで、縦割りのグループで、今日のテーマは農場見学。
鶏小屋に入って、産みたてのあたたかい卵にさわって。
それから、質問タイム。
「小屋を自分で作ろうと思ったのはなぜですか?」 おもしろそうだったから。
「小屋を作った時こだわったことや苦労したことはどんなことですか?」 こだわりは天井の高さと床を土間にしたこと。苦労した事は、全部かな?山で木を切り倒すところから自分でやったからね。
「鶏を敵から守るためにどんなことに気をつけていますか?」 テキって何だろ?敵かどうかわかんないけどキツネとかが鶏にちょっかい出しに来るから犬飼ってるんだ。
「卵はどこに出荷しているんですか? 一個いくらですか? セールスポイントは何ですか?」
ええっと〜・・・
「どんな種類の鶏がいますか?どうしてその種類を選んだのですか?」
「動き回る鶏の中から卵が産めなくなった鶏はどう見分けていますか?」
「卵を産まなくなった鶏はどうなりますか?」
「エサによって黄身の色が変わるのなら、緑や青の黄身も出来ますか?」
「水にもこだわりはありますか?」
それは〜・・・
「この仕事をしようと思ったきっかけはどんなことですか?」
「何歳ですか?」
「奥さんはいますか?」
「休みの日はあるんですか?」
「ニワトリと話ができますか?」
「好きな卵料理はなんですか?」
アハハハ・・・
鶏小屋の前でこんなやり取りをしていると、時間なんてすぐどっかにいっちゃうね。
出来るだけゆっくり時間を取ったけど、それでも時間がなくなった。
みんなも最後まで良く集中してた。楽しかったね。
事前に担当の先生と電話二本のやりとりだけで決まったプログラムだったけど。
まあまあ上手くいったんじゃないかな?
本当なら、うちなんかじゃなくて、学校の給食で使っているケージ飼いのたまごの農場へ行くべきだろうから、最初の電話でそう提案した。
「この際なんだから、学校の授業ですって言ってケージの農場の見学に行ったほうがいいですよ。こんな機会がなければケージの養鶏場なんて一生行かないでしょ?」
先生も賛同して、あちこちあたってみたけれど、鳥インフルエンザを理由に断られたんそうだ。
それではと、県の畜産試験場への問い合わせを薦めたら、そこもダメだったんだって。
で、そういう経緯で。
結局うちにやって来た。
(病原菌やウィルスを農場に持ち込まないように)完全防備の子供たちが、農場見学も出来ない世の中なんだよね。
畜産現場が日常からどんどん遠ざかる。
一生のうち、いったいいつ、肉や卵や牛乳の、現実感を身につけるんだろう?
誰もが忙しいのは、大人だからわかるつもりだ。
けれど「仕事」って、「稼ぎ」だけじゃないと思っている。
仕事って、社会に対しての「務め」でもある、なんてたまに新聞とかにも書いてあるもんね。
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大雪に関して、たくさんのご心配と激励をいただきましたこと重ねてお礼申し上げます。
やはり長引きまして、以前どおりの作業が出来るようになったのはつい数日前です。
遅れた作業が追いつくように、これからもがんばります。
いろいろと連絡などが遅れていたり・・すみません。よろしくお願いします。
