(今回個人情報保護のため一部フィクションです。)
ファームエイド銀座という催し物のマルシェ(青空市)に出店してきた。
会議室で使うような長テーブル2つにたまごとうちのたまごで作っていただいているお店のクリームパン、クッキー、ブリュレを並べて「いらっしゃいませ〜!」なんてやってきた。
なんかね、フツーにやってたけどね、考えてみれば2年ぶりだったな。
普段は、農場にこもりっきりだから、人と会う事はないんだよね。
接する機会の多さでいうと、鶏、犬、キツネ、タヌキ、イタチの順番で、その次が人だからね。
都会の真ん中で、人がいっぱいいて、車が走ってて、ビルの合間で、たまごを売る。
いや、大変。
もうそろそろお昼にさしかかった頃。
「キョーコです。」
って女性が現れた。
「あ・・・・・はじめまして。」
インターネットでお友達だった女性が、この銀座のイベントを知ってわざわざ訪ねて下さった。
この方、数学の研究者で、京都の古い大学で研究をしていた。
今年から、とある関東の大学の先生になり、引っ越してきたばかり。
お友達だからやりとりはしていたけど、会うのは初めてで。
・・・ふぅん・・・ネットじゃわからなかったけれど、「はんなり」とした話し言葉が、優しい感じで美しいなぁ・・・
ぜんぜん違うジャンルのお仕事だから、この際興味本位でいろいろ聞いてしまう。
「やっぱりあれですか、朝、歩いて30分通勤するっておっしゃってましたけど、その間、あれですか、頭の中で(研究課題を)考えてるんですか?」
「いいえ・・・ぼっとしてます。花がきれいだなぁとか・・・」
そうか、やっぱ下衆の勘繰りだったか。学者なんて、何考えてっかわかんねーな!
マルシェに出店して、たまご販売では、利益が出る事はない。
かといって、利益を出す事を目的から外し、平飼いたまごの良さを伝える広報活動と考えるには、不特定多数・通りすがりの人に、露店で声をかけるという方法は向いていない。
露店の前を通りがかった人には、安い早いうまい珍しいが求められる。
でもそれって、うちの農場が得意な事柄じゃないんだよな。
ただ、こうしてわざわざ来てくださって、普段日本のあちこちに点在する「うちのたまごの(を使った)おいしいもの」が一堂に会してめったに会えない人に買ってもらえる、っていうメリットはある。
佐藤ファームの物産展(?)みたいに出来れば、立ち寄っていただいても楽しいから、もっといろんな方に来ていただけるかも?
いろんな人に会えるかも?
(平飼い養鶏の意味・良さを伝えるには別の方法がいいんだと思う。
別の方法、別の機会を考える事にしようっと。)
後片付けを済まして、ちょっとだけ銀ブラ。
表通りの照明はとても明るく、アップルのショールームはiPadに群がる人だかりだった。
そんな街並みをながめていると・・・。
まったく地味な仕事で、経済の繁栄とは縁がなく、とても遠い所にいるような気分になる。
だけど・・・。
人の営みの根源をなす食糧生産や、感情の元になる原風景・原体験を作り出す、そういう現場にいるのだなと、あらためて、思ったりもする。
あそこの店であんパンを3つ買って。
さて。
高速に乗って、帰ろうっと!
(まあ、でも、ホントは、バタバタで、お手伝いして下さったヨシムラさんをはじめ、みなさんのおかげで何とか一日やりきれました。ここでお礼申し上げます。
また、お知り合いご友人にわざわざこのイベント出店の連絡をしてくださったみなさん、お越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。俺は幸せモンです。)