これも何回目かの話。・・・ま、いっか。
午後のいい時間。八ヶ岳で花を生産している先輩が農場にやって来た。
不用にになったビニール袋を届けに来てくれた。
これがうちでは鶏糞を入れる袋になる。
いい時間帯だから引き止めて雑談。
メキシコにいた時は、カーネーションを作っていたから、俺も少しは花のことがわかるんだ。
今回は、輸入の切花の輸送技術の話と産地の話。
カーネーションも各地から輸入されていて、コロンビアなんてのは昔から産地だったけど、ケニアからの輸入があるのは知らなかった。結構な量みたい。
それから。
いよいよ雑談、ヨモヤマ話になって、日本の花の消費の話になった。
「欧米とは花についての感覚が違う。」
なんて話。
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メキシコにいる時、休日に会社で働いているメキシコ人ドライバーの家を訪ねた事がある。
ティオティワカンの遺跡に行く途中の小さな村のレンガ積みの小さな家だったけど、小奇麗にしてあった。
突然の訪問だったけど、奥さんもニコニコ迎えてくれたのを憶えている。
応接間なんかない。リビング兼キッチンみたいなところでおしゃべりしたんだけれど、テーブルに花瓶と花があった。
別の日、週末珍しく会社にいて、花を市場に売りに行く仕事を仰せ付かった。
なんでもない下町、どっちかっていうと低所得層の街のメルカード(市場)で売っていると、フツーの人がフツーに買って行った。
花束にしてプレゼント、なんてのじゃない、フツーに3本5本10本と買っていった。
「まかんないの?まけてよ。」(スペイン語ね。)
「だめ〜、まかんない〜。」(一応俺もスペイン語。)
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テーブルに花を飾る。
そういうことに、こういう感覚の違いがある。
この先輩もずっと花一筋で、海外の花事情・花文化にも明るいから、このあたりの話は、会うとよくする。
花ってのがホントに日常の中にあって、裕福であろうがなかろうがテーブルに花を飾るっていう文化は、世界を見回すと非常に多い。
俺もたまには花を買う。
俺なんかが買える花を売ってるのは、この辺じゃホームセンターになっちゃうんだけど。
俺も何かのときにたまに買う。(前いた番犬の命日とかにね。)
そんなチープな花だから、すぐダメになっちゃうんだけど、それでもたまに、買って帰る。
オヤジだけど花を持って帰る。
いつか。
花を気軽に買って帰る国に、この国はなるんだろうか?
(オヤジたちが、ノルマを気にしてギチギチ残業しなくてもいいような環境が整って「花でも買ってみるか。」なんて気分になれるような状況を作れるか?って意味までも含めてね。)
チープな花でも、オヤジでも誰でも、誰かが花を買って帰りテーブルに飾る国になれれば、この国はもっと先進の国になれるのに・・・・。
この国のこの気質の人たちが、「仕事の帰りに、ちょっと小さな花束を買って帰る。」そんな感じの、貴族趣味的じゃない、花の愛で方(めでかた)出来るようになれば、未来が見えてくるハズ。
「なかなか日本は花の消費が伸びない。」
と嘆く。
ああ。 きっとこの人も 未来への想いで 花を作っているんだな。
(農場のまわりはまだこんな花がやっと咲いたところ。まだまだ毎朝氷です。)