埼玉・ふじみ野市に行ってきた。
駅のすぐそばの市民ホールで、取引先の小売店さんがイベントを催したのでそのお手伝い。
お手伝いっていったって、朝の作業を済ませてから農場を出発するから、着くのはお昼過ぎになる。
それでも、まぁ、イベントの規模や内容から察すると、ちょっとお店のスタッフだけでは人手が足りそうになかったから、おせっかいだけれど行ってみた。
(そこのお店にも、何年もご無沙汰していたしね。)
圏央道を降りて16号から川越街道に入る。
そっか、多分この道は学生の時バイトで走った事がある。30年ぶりぐらいになるんだな。
関東平野の街道筋が、なつかしい感じ。
人の営みが軒を連ねる、ぬくもりを感じる街道の形だ。
駐車場を見つけて車を停め、予定より遅れて会場に着く。
やってるやってる。
チンドン屋とキャラクターの着ぐるみがいるからすぐわかる、わかりやすいイベントの形になっている。
物販のコーナーのすみっこに立って会場をながめてみる。
有機農産物の加工品主体のコーナーには加工品の卸業者から人も派遣されていて、手馴れた感じで売り子をやっている。
そうだよなぁ・・・普通、スーパーなんかだとこうだよな。小売店のイベントに業者は人を出す。
自然食品業界(?)も、もう、こうなってるんだね。
ただ・・・さすがに俺も古くなってて、30年近く前のこの業者さんたちの事も知っているから、昔とのギャップが少し不思議な感じもする。(この業者さんが昔、産地探しに躍起になっている頃、うちからもサンプル卵を送ったっけ。)
「ふぅん・・・今はこういう風になってるんだね・・・」
有機農産物の加工業界も成熟したというか大人になったというか。
こういう「形」になったんだ。
しばらく、ぼ〜っとつっ立ていると、ブログに書いたのを読んで、高校時代の同級生(おっさん)が現れた。
「おおぉ〜。」
二人連れで、一人は15年ぶり、もう一人は32年ぶりだってよ。
「なんだよ、卵は売ってねーのか!」
と悪態をつかれて、しょうがないから抜け出してコーヒーを飲みに行く。
二人ともそれなりの大学を出てそれなりの企業に勤めて、通勤に疲れて、子供の心配をし、自然食など興味が無い。
卵を買うのは、接待ゴルフの土産で買うぐらいだ。(ゴルフ場のクラブハウスで近隣の養鶏場の物を売っていて、それがちょうどいいお土産になるんだそうだ。)
まったく、典型的なオヤジの形だな。
何かなぁ・・・人や、物や、組織ってものには。「形」ってものがあるんだな。
俺はどうかな?
ふ〜ん・・・形らしい形は何もないな。
いいのか?こんなんで?
俺が、ちっとも成熟もできないし「形」にならないのは・・・・
生き物や自然っていう、不確定要素の集合体・複雑系を相手にしているからなのかもしれない。
特に平飼い養鶏なんて、わざわざこっちから、家畜を抱えて野生に入っていくような、そんな仕事だもんな。
ケモノや天気、気候風土、家畜の伝染病や餌の遺伝子組み換え技術、抗生物質、添加物。
穀物の輸入、世界の食糧事情、農村、自我。
いちいちそれとどう付き合うか考え考えやっているしなぁ・・・どうでもいいことかもしれないんだけどね・・・
まぁ、まだしばらくは「形なし」でいくしかないな。
時間になって、イベントは終わり、業者も引き上げると、スタッフだけの片付けになる。
ここでは読みが当り、乗っていった軽トラが活躍する。
何度か、備品やゴミを載せて会場とお店を往復し、片づけが終わる。
お店のうちの卵の売り場の写真を撮って、帰ろうとして、パンのコーナーに目をやると、実においしそうなパンを売っている。
聞けばパンメーカーに勤めているパンが大好きな人が、どうしても自分で焼きたくて焼いたものをお店で売っているそうな。
なるほどね。
これがおいしいパンの「形」。
パンにだって形はある。
俺もそのうちどうにかなりますから。それまでどうかご容赦ください。
(このおいしいパンを売ってるのはサン・スマイルさん。
http://www.sunsmile.org/shop.html)