「半径20キロ以内にとどまっている人がいる。」
とテレビで言っている。
何の畜種だろう?
酪農?肉牛?豚?鶏?
「避難しないのかな?飼ってても(生産物が)売れないだろうし・・。」
と思われる人もいるだろう。
うん。避難しませんね。家畜がいるとね。
理由は二つぐらいかな?
一つは、家畜で生計をたてているわけだから、それなりの数の家畜が畜舎にいるわけで、それを放置して畜舎内で餓死させるとなると後が大変。
かといって、処理場も稼動していないだろうし、稼動していたとしてもそこまで運べない。
だからしょうがなくて居続けて、エサをやる。
もう一つ。
畜産て、命そのものや生産物を「売り買い」する仕事だから、できるだけこっち(人間)の都合のいいように増やしたり太らせたり搾ったりする。
で、最終的に殺すことになる。
ま、命が商品。
ところが。
こっちが下手で病気や事故で上手く育てられなかった時は、悪かったな、と思う。
家畜飼いにはそういう感情がある。
そんなんだから、今度のような事態で、餓死させてしまうのは、不本意すぎる。抵抗がある。
で、居られるうちは、出来るだけ居る。
うん。多分そんなところ。そんなに間違ってないと思うよ。
この国のお百姓はとても情緒的なんだ。
ときどき書くことだけど自然を「超越者」ととらえて、四季のゆりかごに揺られて種をまく。
明治以降、畜産やるようになってもそうでね。
畜産が機械化されるようになっても「こっちの(メーカーの)機械の方が牛にやさしい感じがするんサ。」なんて言って給餌機や搾乳機を選ぶ、そんなお百姓のそんな国。
ただ、残念ながら、どうやらこの国の企業風土ってやつもその瑞穂の国のお百姓の延長上にあるようで。
原子力なんて悪魔的な物理の現象の危機管理も、どこか神頼みのところがあって。
「自分が完全に押さえ込む」っていうガッツがなかったんだねー。
(だったら原子力なんかに手出しちゃいけねーよな。)
きっちきちの危機管理が必要だったんだ。自己責任のね。
外資系企業の人から見ると、危機管理が「完全に大甘・おおあま」だったみたいだな。
そうだなぁ・・・
ここから20キロ以内に原発があって、避難勧告が出たとしても。
まぁ、特別何もしないな。俺はここに居ると思う。
エサもしばらくはあるしなぁ。
電気はなくなるかもしれないけど、水は用水路が流れてるし。
宅急便も来ないし、もちろんそんなんじゃ売れないから、タマゴはどんどん倉庫にたまって、いっぱいになって古くなったら裏にスコップで穴掘って捨てるんだろうけど。
女房と子供は犬つれてどっか行っちゃてるだろう。
森から枝引っ張り出してきて、鶏小屋で火をたいて、お湯沸かして食事作って。
エサなくなってきたら軽トラで走れるところまで行ってニワトリが食べられるもの探して混ぜて食べさせるんだろナ。
・・・・・・。
ふん。
何か。
今とあんまり変わんないような気もする。