このところ朝に夕に「鳥インフルエンザ」のキーワードでニュース検索をしている。
いろいろ、あちこち、養鶏場で発生が続いている。
気になる。
全国の新聞のWEB版やテレビのニュースがずらずらと出てくる。
「・・・・ また県によると、農林水産省疫学調査チームの現地調査で、発生農場の鶏舎にネズミが通れる程度の穴が見つかった。県が今月7日に行った立ち入り検査では異状は見られなかった。・・・」
和歌山の12万羽のところの記事。
WEB版のニュースは本当に短い。
そういう性質の情報だから仕方のないことなのか、字ずらだけ追っていると、変なニュースだ。
養鶏場にネズミが通れる程度の穴なんか、あるに決まっている。
今回のこのウィルスによる感染症の発生でどの養鶏場もその穴をふさごうと躍起になっている。
ところがなにしろ体育館サイズの建物のネズミサイズの穴。簡単にやりきれるものではない。
疫学的に発生を検証したら、野鳥の侵入ではない、飲み水からでもない、消去法で考えるとネズミの可能性が残り、改めて調べたらネズミが通ることが可能なサイズの穴がありました。ってのが疫学チームの見解。
これを書いた記者は何が言いたいのだろう?「疫学チーム」の発表をそのまま流してどうするんだろう?
完全に穴塞げると思っているのかな?
そんな机の上の理論の話じゃないだろ?この事態は。
研究室のフラスコの中の話と、地球規模の鳥や自然の話しと、新型ヒトインフルエンザに変化したら衛生レベルが低い途上国で起こるかって話と、養鶏場のオヤジの憂鬱って話がごっちゃになってるんだろ。
いくら字数に制限があったって、それを魔法のようにさばいてまとめて、くるくるポンって活字にするのが、記者の仕事じゃないのかよ。
「 国内の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの感染が相次いでいる問題を受け、県が1月31日から今月15日まで県内の家禽(かきん)農場に対して行った一斉立ち入り点検の結果、208農場(飼育100羽以上)のうち約25%にあたる53農場で、防鳥ネット破損などの問題点が見つかり、県の指導を受けていたことが17日、わかった。32農場は、立ち入り点検の場で改善されたが、県は残る21農場について、今月末までに再度、点検を行って改善状況を確認する。
指導内容の内訳は、防鳥ネット破損が35農場、ネズミ駆除など野生動物の侵入対策の不備が10農場、靴底を消毒する「踏み込み槽」の未設置など消毒体制の不備が27農場だった。
県は改めて、異常を確認した際の家畜保健衛生所への報告徹底を呼びかけるとともに、感染源として疑われている渡り鳥が、北方に戻る5月頃まで警戒を続ける方針という。」
これはまた別の県の記事。
これもそのまま垂れ流し。読み手をどこに連れて行きたい?
完全に外界と遮断され、完全に消毒された養鶏場だけが「正義」なのだろうか?
独立した経営の農場なのだから、形態は多様であって当たり前なのではないのか?
なぜここまで一律な対応をとらなければならないのか?
そうさせる鳥インフルエンザとは何なのか?
なぜこのウィルスに対してワクチンを使うことが禁止されているのか?
書くことはいくらでもある。
昨日午後、家畜保健所の立ち入り検査があった。
宇宙服のような完全防備の若い技術者二人とゆっくり話す。
話していて気づいたことがある。
なんとなく「春になれば。春までがんばれば。」と思っていたけれど、本当にそうだろうか?
ハヤブサ、フクロウからも陽性反応が出ている。
もうこれは、日本に常在しているウィルスということではないのだろうか?
雪が残るぬかるんだ現場で技術者とお百姓がため息をつく。
ため息をつき、ぐちをこぼし、冗談を言い、何とか現実的な対処法をさぐる。
これが「現場」だと思う。