ちょっと前、一人で昼食をすることがあった。
家へ戻り、温めて、さあ食べようとしていると携帯が鳴る。
荷を出している宅配便のドライバーさんからだ。
「サトーさん、お忙しいとこスミマセン。ちょっと近くでトラックが動かなくなっちゃって・・すみませんが手伝ってもらえませんか?」
「あ〜・・そうですか。何か、ロープかワイヤー持ってます?」
「いや、このトラック何もそういうの積んでなくて・・。」
「じゃ、ちょっと待っててね。」
おしえてもらった場所、別荘が並んでる未舗装の狭い道を行ってみると、いたいた、2トンの箱車が動けなくなっている。
「すみませんね。 O さんに連絡したら、サトーさんに頼んでみろって・・」
はは、そうなんだ。
このドライバーさん最近このあたりの担当になった人。上司でもあるベテランの O さんに救援の連絡入れたら、すぐ近くのうちに頼めって。
確かに Oさんが今走ってるだろうあたりからだと20分はかかるわな。いいさ、いいさ。
前から後ろから、何度か軽トラでひっぱって無事脱出。
「後で集荷お願いしますね〜。」
「サトーさん、このごろ割れ(たまごの破損)ないよ!」
お客様が電話口でうれしそう。
このお店への荷で、ずっとちょこちょこたまごの破損があったのでダンボール箱の上、荷札の横にマジックで
「ドライバー各位 このところこちらのお店への荷で破損が多くなっています。タマゴです。取り扱い注意をお願いします。」
と書いておいた。
そしたらピタリと割れがなくなったそうだ。
宅配便というやつ。
夕方トラックに載せると翌朝にはもう東京のお店に届いている。
いやまったくすごいシステムだ、といつも思う。
でね、このすごいシステムを動かしてるのが「人」なんだよなぁ、っていつも思う。
ドライバーさんがちょっと気持ちを動かしてくれれば、割れはなくなる。
システムが、正確に円滑に動く。
高度な文明・システムの中で、気持ちを持ち続けることは大変なことなんだろうと想像する。
でも逆に、気持ち・感情を大事にして居続けることが、自我・自分を肯定することなんじゃないのかな?とも考える。
「どんなタマゴを食べればいいんですか?」
っていうお客様の質問も同じだと思う。
どんなタマゴを食べたいんだ、私?っていう自分探しがあってもいい、と思う。
「私はコレ!」
っていう誰かの、背中を押してさしあげられるような、そんなタマゴが作れたら、楽しいな。
感情をぶるぶるさせている誰かに、これっ!って選んでもらえるような、そうだよ!って言ってあげられるような、そんなタマゴ・農場・農夫になれないかな?
まったくね。
田舎の宅配便は大変なんだよ。
担当範囲はやたら広いし、道は狭いし悪いし、このごろはすんごいところに別荘建ってるもんね。
さて、温めなおすのもめんどくさいか。このままかきこんで、午後の仕事仕事。