「あれ?この部屋はオスがいないんですね。」
農場に入ってすぐの鶏小屋にはオスがいない。
お客様がこれに気がつく。
ええ、ここは育ててる間の事故でオスが死んじゃったんですよね。
「オスがいないとどうなんですか?あれ?たまごって・・?あれ?」
交尾しなくても排卵はしますのでタマゴを産みます。
でもそれは有精卵ではないので、温めてもヒヨコにはなりません。
ま、市販のタマゴは無精卵ってことです。
栄養学的にも差はないです。
「そっか。じゃどうしてオスを・・?」
それはオスがいた方が飼いやすいんですよね。
オスがいないニワトリの群は、何となく落ち着きません。
ちょっとした物音にざわついたり、カラスの姿に過剰に反応したり。
バタバタざわざわガチャガチャしています。
ニワトリってのは群れて暮らす動物で、どうやら群を統率するオスがいないと、どうにも落ち着かない、治まりが悪いみたいです。
だからオスがいないと、メス同士で交尾の格好をしたり、エサのバケツを持って小屋に入る俺に交尾の姿勢をとったりするようになります。
以前雑誌のインタビューで有機農業に明るいとされる女優さんが、このメス同士の交尾を指して「異常だ。(だからオスメスいっしょに飼っている平飼い養鶏こそ自然だ)」と言っていました。
だけどそれは、群の精神的安定を作りだそうと、必死になってあれこれやっている「正常な」行動だと俺は思います。(順位付けの行為だと思われます。)
より効率的にタマゴを生産するためにケージに入れて飼ってしまえば、関係のない事柄になってしまいますが、ニワトリの動物としての習性です。
私達はこういう動物なんだぞ、と主張しているようにも思えます。
オスとかメスとか・・
原始的で根が深くて・・
まったくねー・・・