さて、遅くなりましたが、我が相棒の質問にお答えしましょう。
問い「あんたの弾いているのはバイオリンなのか、フィドルなのか?」
答え「フィドルとしておきましょう。ただし、条件付きでね。」
バイオリンとフィドル、この二つの言葉の関係はなかなかふくざつなのである、らしい。
使われる楽器自体は(まあ、値段や性能はともかく、少なくともその構造は)全く同じ。違うのは使われるジャンルとそれに伴う奏法。
相棒も書いている通り、クラシックなど「高貴」で「優雅」な音楽に使われる時はバイオリン、庶民がワイワイやってるとフィドル。ちょっと乱暴すぎるが(私の整理がですよ)、大雑把に言うとそんな区別になる。
そしてこうなると容易に想像がつくように、「高貴」で「優雅」な方々からは、フィドルはサゲスマレて来たという流れがある。
もとは全く同じ家の生まれだった。
しかし片方は「クラシック」という社交界の花形となった。一方のフィドルは飲んだくれやあばずれや、お人好しや泣き虫たちと昔のように陽気にやっていた。
ある日二人はご対面。あか抜けない顔でニカッと笑うフィドルに、バイオリン嬢は言い放った。
「もう、昔の私じゃないの。二度と私の前に姿を見せないでちょうだい!」
成り上がるって、悲しいなあ。
そんな歴史はさておき。
極めて単純な話として、僕はフィドル奏者達に大きな感動をもらい、大いに憧れた。だから、この楽器を持って、フィドルを目指す!
と、これだけならばヒジョーにわかりやすいのだが。
「条件付き」と書いたのには訳がある。
バイオリンとフィドルの二分化は、実は主に英語圏だけの「文化」なのである(例えばフランス語にはヴィオロンという単語はあってもフィドルにあたる単語はない)。
だから、「フィドルをやります」という宣言は、ある限られた音楽しかやりませんという意味を持ちかねない・・・
読者はもう充分、メンドクサくなっているはずである。
大丈夫。これ以上深入りする必要はミジンもありません。
ワタクシ鈴木こうは、バイオリンと呼ばれる楽器を持って、あか抜けない顔でニカッと笑いながら、やりたい事をやるために、出来る事の幅を少しずつ拡げて行く所存であります。
どうぞよろしく!

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