思いもかけぬところで、蒸気機関車の復活運転が行われることになった。名古屋市が観光政策の一環として、名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)とJR貨物・名古屋貨物ターミナル駅との間で蒸気機関車の実験走行を行うという。SLはJR西日本のC56が使われた。2月16〜17日の2日間、1日当たり3往復の運転が行なわれた。
名古屋貨物ターミナル駅で行われたSL撮影会(2/17、SLあおなみ3号)。
しかし、私の関心事はSLなどは二の次である。この列車はあおなみ線名古屋駅を発車すると、小本駅の先から普段は貨物列車しか走らないJR貨物・名古屋貨物ターミナル駅へ乗り入れてゆくのだ。全線完乗ファンとしては、普段は乗れない貨物線に乗車することが主目的である。
乗車は往復はがきによる抽選制で、報道によると全国各地から5万通を越える応募があり、競争率は100倍を超えたとのこと。私は各日の1〜3号に応募したが、100倍と聞いて諦めていた。ところが1月23日、郵便受けに多数の「落選」通知に混じって、1通だけ「当選」葉書が戻ってきた。なんとも幸運なことだ。
(SLあおなみ1号) 名古屋駅 9:50発 → 名古屋駅貨物ターミナル駅 10:11頃着 → 名古屋貨物ターミナル駅 10:57頃発 → 名古屋駅 11:18着
(SLあおなみ2号) 名古屋駅 11:37発 → 名古屋駅貨物ターミナル駅 11:58頃着 → 名古屋貨物ターミナル駅 12:42頃発 → 名古屋駅 13:03着
(SLあおなみ3号) 名古屋駅 13:22発 → 名古屋駅貨物ターミナル駅 13:43頃着 → 名古屋貨物ターミナル駅 14:27頃発 → 名古屋駅 14:48着
どんなルートで行くかを考えていたところ、この日はJR東海・浜松工場敷地内に戦時中落ちた不発弾の処理のため、8時30分から新幹線、在来線とも運転中止となることが解った。昼ごろまでに適当な新幹線で行けばいいという気軽な行程は採れないのだ。少なくとも浜松付近を8時半前に通り過ぎてしまわないと名古屋にたどり着けない。というわけで、東京を6時台の新幹線で出発することにした。
帰路は久しく訪ねていないセントレアー(中部国際空港)から、JAL成田便で帰って来た。それならついでに名鉄1日乗車券が利用できないか調べてみたところ、豊川稲荷ないしセントレアーと抱き合わせの1day乗車券が発売されていることが解った。豊川稲荷+1dayきっぷは豊川稲荷の門前で使える金券や稲荷ずしが付いているが、朝9時前から店が開いているのか不安である。他方、セントレアー+1dayきっぷは、空港ビル内の食事券がセットになっている。そこでこちらを利用することにした。1dayなので、時間の許す限り、名鉄岐阜や各務原線にも乗って来た。
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不発弾処理前に名古屋へ
6時台の新幹線に乗るべく、京成線を始発で出かける。東京駅に着くと、まだ駅弁屋2軒が開いているだけで、他の店はまだ開店準備中だった。6:26分発の「ひかり」501号は、既にホームへ横付けされドアーが開いていた。いやま希少価値となりつつある700系での運行だ。2年前にもこの列車を利用しているが、その時は300系だった。
車内にはいると700系らしいインテリアだ。いつもの通り、EX−ICのIC早得で乗車。自分で選んだ11号車に乗りこむ。極めつきに空いており、身障者用座席の利用はなく、一般発売されていた。
ホームのJR東海売店でサンドウイッチ+コーヒーを購入。朝だけ500円だが、車内販売でも同じメニューがある。東京を発車すると直ぐに車内販売がやってきた。11号車のグリーン車寄りに車販基地があるのでいの一番にやってきたわけだ。品川と横浜からも相当な乗車があったが、隣席は現れなかった。小田原停車中に後続の「のぞみ」号に抜かれた。
熱海を通過。初島どころか大島までが見えた。丹那トンネルを抜けると、富士山がきれいに現われた。静岡を猛スピードで通過。きょうはJR浜松工場内で見つかった不発弾の処理のため、8:30分から新幹線、在来線とも運転中止して処理が行われる。その浜松で先行の「こだま」号を抜いた。豊橋には定刻に着いた。11号車から降りたところに階段があった。ICカードをかざして出場した。コンコースには係員がたくさん出て、不発弾処理の運休対応に追われていた。
・八千代台4:58(京成普通)→5:14船橋 *3000系6連(3005-1に乗車)
・船橋5:21(総武快速線)→5:44東京 *E217系15連(サハE217-23に乗車)
・東京6:26(ひかり501号)→7:59豊橋 *700系16連(726-735に乗車)

往路はIC早得で豊橋まで乗ることにした。「ひかり」501号は700系での運行だ。

新幹線の11号車には身障者席が用意され、東京寄りの12〜13番席は車椅子利用に備えて2−2の座席配置だ。この日は利用がなく、一般売りされていた。

デッキ側は多目的室(右)と車椅子格納庫(左)、画像手前には車椅子用のトイレがある。

きょうは富士山がきれいに見えた。富士川越しの眺めだが、早すぎて携帯では流れてしまう。
1Dayきっぷで名鉄乗り歩き
豊橋からはJR飯田線で豊川へ行く。停車していた電車は、2扉転換シートの213系。関西本線から転用された電車だ。豊橋をでるとしばらく名鉄との線路共用区間を走る。平井信号所あらため小坂井駅構内で名鉄線を分岐してあっと言う間に豊川に着いた。
豊川稲荷の門前町はまだ眠っており、数軒を除いて商店は閉まったままだ。豊川稲荷は曹洞宗のお寺であるが、境内には大きな鳥居がある。神仏混合時代の寺社なのだ。ここの所要時間は1時間余を見込んでいたが、あっと言う間に見学が終わり、名鉄の豊川稲荷駅から名古屋へ向かうことにした。
豊川稲荷駅で、これから使用する「セントレア・グルメきっぷ(3,000円)」を購入する。名鉄全線の1日乗車券のほかに、セントレアで使える食事券、展望風呂割引券が付いている。名鉄だけの1日乗車券もあるが、値段は3000円と変わらない。それなら食事券が付いているグルメきっぷの方が断然お得である。きっぷは特急券発売システムのインパツから発券された。4枚構成である。
ホームに入るとずいぶんと長い編成が止まっている。一宮行きの準急である。運転台かぶりつき乗車とする。運転台では停車駅予告装置がしつこいくらいに停車駅失念を叫んで!いた。諏訪駅停車中に列車無線が9時の時報を受信した。こんなしかけがあったのか。八幡では対向電車と交換。
国府(こう)では5番線に停車。ここから名古屋本線に入る。豊川線からポイントを渡って下り本線に入る。本線に入ると俄然スピードが出て、速度計は120キロを指していた。このまま準急で名古屋まで行ってもいいのだが、途中の堀田で後続の特急に抜かれる。そこで東岡崎で乗り換えることにした。東岡崎ではいったん外へ出てみる。ホームへ戻ると、上り線に特急車が進入している真っ最中だった。ピポピポー・・・とミュジックサイレンを鳴らしながら入線してきた。かっこいい!!
名鉄岐阜行き特急は8両だった。前寄り2両が銀色、後6両が赤。そのうち最後部2両がミューチケット席である。東岡崎で満席になった。運転台背後の席は空いていなかったので運転台かぶりつき乗車とする。発車すると、電車は120キロを出す。愛電時代と思われる架線柱の鉄柱などを眺める。京成と同じ形だ。神宮前で乗務員が交替した。金山では車椅子利用の親子が乗ってきた。
名古屋で乗客が入れ替わったので、運転台背後の席に座る。名鉄には完乗しているが、夜間乗った区間もあり、景色は新鮮かつ懐かしい。一宮で駅務員が車椅子乗車用の渡り板を持って乗ってきた。先ほど金山から乗った親子は、この先の木曽川堤まで乗るようで、この駅は無人駅のため駅務員が同行しているのだ。
岐阜の手前でいったん単線になる。すぐさま複線の岐阜駅構内に入ってゆく。終点に停車すると、前より2両の切り離し作業に取り掛かった。折り返しの豊橋行きは、赤い電車6両だけで運行されるのだ。
新岐阜、じゃなかった名鉄岐阜でいったん下車。コンコースを数分眺めて、各務原線ホームへ下りた。かつては軌道線用の低床ホームが置かれていたが、美濃町線廃止とともになくなっていた。停車中の犬山行き電車はまたしても銀色の電車。準急だが途中の新那加から急行に変わる名鉄独特の変幻自在の運行方法である。
一番前はアベックが座っていたので2両目に乗車。発車するとどこからともなく、車掌の戸閉め完了ブザーが聞こえてきた。2両目には運転台はないが、車掌が車内を巡回して最中でも、中間車からドアー扱いが出来るように車掌スイッチとブザーが取り付けられている。
新鵜沼のJR連絡線跡は、かつてはレールが残っていたが、アスファルトでかためられていた。犬山遊園駅のモノレールのホーム跡も最後の撤去作業中のようであった。犬山でいったん下車するも直ぐにホームに舞い戻り、急行・河和行きに乗り換える。途中で鉄道ファンと思しきオジサングループ数名が乗車。ロケハンしながらの乗車のようで岩倉で下車していった。SL撮影のついでに名鉄を撮っておられるようだ。
名古屋に着いた。相変わらず名鉄名古屋はひっきりなしに電車がやってきて飽きない。ここで名鉄乗り歩きは休止して、本来のあおなみ線SL乗車に向かった。
・豊橋8:11(飯田線511M)→8:23豊川 *213系2連(クハ212-5009に乗車)
*豊川稲荷見学
・豊川稲荷8:54(準急一宮行)→9:30東岡崎 *6917他6連
・東岡崎9:36(特急岐阜行)→10:37名鉄岐阜 *3265他8連
・名鉄岐阜10:45(準急犬山行急)→犬山 *5063他4連
・犬山11:24(急行河和行)→11:56名鉄名古屋 *3513他6連

豊橋駅は名鉄とJRとの共用だが、ラッチはないのでIC乗車券のタッチ装置だけが置かれていた。

豊橋から豊川まで飯田線に乗車。途中の旧・平井信号所までは全国でも珍しいJR−名鉄の線路共用区間である。ここのポイントで、右のJR線、左の名鉄線に分かれる。

豊川稲荷を参拝後、名鉄の豊川稲荷駅から名古屋へ向かう。きっぷは、「セントレアー・グルメきっぷ」を利用した。

乗った電車は準急・一宮行きで、6両もつないでいた。運転台かぶりつきじょうしゃが楽しめた。

豊川稲荷線は単線。途中の八幡で対向電車と交換した。駅前にはスズキ自動車の広大な工場が広がっていた。

準急を東岡崎で捨て、その後は特急で一気に岐阜まで乗り通した。岐阜駅構内の直前は単線になっている。

岐阜に到着した特急は岐阜寄り2両を開放する。前寄り6両が豊橋に向かって折り返してゆく。作業員が作業を開始した。

各務原線の準急は4両だが、途中から種別が急行に変わる。名鉄らしいお家芸的運用だ。

名鉄岐阜の各務原線構内。かつて右側には美濃町線・路面電車用の低床ホームがあった。お隣の田神駅同様、痕跡はほとんど残っていなかった。

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