夜、小麦の散歩にゆくと、近所の店はクーラーを切ってドアが開いているところが増えて来た。そのなかでも古びた日本旅館。両開きの引き戸と暖簾のかげから、ちらっと靴が見える。
泊まっているお客さんがいるんだな。
夕べは、踵の厚ぼったい古めかしい、白いエナメルのサンダルが見えた。
旅館の風情と相まって、私の頭の中には、寅さんとりりーが出現。
どんな服を着ている人だろう。旅を続ける人かな。なんて、散歩中楽しんでいた。
寅さん映画の新作が見られなくなって随分たつが、時が移っても、記憶のなかの、寅さんとりりーはいつも夏にある。

0