コソボ:「独立は合法」 国際司法裁が勧告的意見
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【ブリュッセル福島良典】オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は22日、旧ユーゴスラビアのコソボが08年2月にセルビアからの独立を一方的に宣言したことについて、国際法違反にはあたらないとして合法との判断を下した。法的拘束力はないが、ICJが独立を追認する解釈を示したことで、コソボ承認の動きが国際社会で広がる見通しだ。一方、今回の判断が、分離独立を目指す各地の民族運動を「刺激」する可能性もある。
国際法廷がコソボ独立の合法性について判断を下すのは初。セルビアは独立宣言が主権と領土の一体性の侵害であり、国際法に違反していると主張。セルビアの要請を受け、国連総会がICJに法的解釈である「勧告的意見」を求めていた。
ICJは22日、一般論として「国際法には独立宣言の禁止は含まれていない」と指摘し、「08年2月17日の(コソボ)独立宣言は国際法に違反しなかった」との判断を下した。
コソボを巡っては、独立支持派の米国などが承認している一方で、セルビア寄りのロシアなどが独立に反対し、国際社会の対応が割れている。これまでに独立を承認したのは、国連加盟192カ国中69カ国だ。ICJの合法判断により、数十カ国が承認に動くとみられており、コソボにとっては国連加盟に向けての一歩となる。
だが、コソボが加盟を目指す欧州連合(EU)では、加盟27カ国中、バスク地方に分離独立派を擁するスペインなど5カ国が未承認だ。欧州では「ICJの決定を受け、国内に分離独立運動を抱える国々が懸念を強めそうだ」(仏テレビ)との見方も出ている。
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経緯や概略は上記の通り。
・・もう、お話にならないというか「国連ビルの半分が吹き飛んでも何も困らない」とか暴言吐いてたボルトンは、正しかったですね。(元々あったかどうか知りませんが)ICJの信頼は完全に地に落ちました。NATOで空爆して潰してもいいかと思います(笑)
ただ、まあ
勧告内容も読まずに、結論だけ取り出してあれこれ言うのはフェアじゃないだろということで・・気を取りなおして、やっとこさざっと目を通してみましたが・・もう完全に結論ありきの論理展開・・もう死んでしまえばいいのに(笑)
とりあえず、セルビアがICJに求めた勧告の内容は
“Is the unilateral declaration of independence by the Provisional Institutions of Self-Government of Kosovo in accordance with international law?”
で、勧告の結論は
V. GENERAL CONCLUSION
122. The Court has concluded above that
the adoption of the declaration of independence of 17 February 2008
did not violate general international law, Security Council resolution 1244 (1999) or the Constitutional Framework. Consequently the adoption of that declaration did not violate any applicable rule of international law.
となっています。
ここで言ってることは、あくまで
「コソボの独立"宣言"は国際法違反ではない(宣言すること自体は禁止されてはいない)」
であって、
「コソボ独立は国際法上も合法である」
ではないし、そんなコトは一言も言ってません。
これが何故か「国際司法裁判所がコソボ独立を支持」とかのヘッドラインになっている親米奴隷のような日経とかは・・もう死んでしまえばいいのに(笑)
独立宣言ではなく、独立自体の是非やコソボに独立する権利があるかについては、ICJは下記のように逃げていて判断していません。
IV. THE QUESTION WHETHER THE DECLARATION OF INDEPENDENCE IS IN ACCORDANCE WITH INTERNATIONAL LAW
83. The Court considers that it is not necessary to resolve...Debates regarding
the extent of the right of self-determination and the existence of any right of “remedial secession”, however, concern the right to separate from a State...
that issue is beyond the scope of the question posed by the General Assembly..
そもそも、これ、セルビアの外相が(チトー用に昔購入したオンボロジェットで)せっせと世界を跳び回って各国にロビーイングをして、国連総会にICJ勧告を求める決議を持ち込んだのは、下記2点で十分勝算があると踏んだからだと思いますし、私もイケるんじゃないかと思ってましたが・・
・独立国の主権・領土保全は国連憲章に定められた権利であり尊重されるべき
・
安保理決議1244は、あくまでコソボの暫定統治を定めたもので、独立までは認めていない(枠組みを変えるなら、当事者間の合意か、新しい決議が必要)
前者について何を言ってると思ったら、
IV. THE QUESTION WHETHER THE DECLARATION OF INDEPENDENCE IS IN ACCORDANCE WITH INTERNATIONAL LAW
A. General international law
80. Several participants in the proceedings before the Court have contended that a prohibition of unilateral declarations of independence is implicit in the principle of territorial integrity...Thus,
the scope of the principle of territorial integrity is confined to the sphere of relations between States.
領土保全の原則を順守する必要があるのは、あくまで独立国同士の関係においてである(つまり、コソボは暫定自治政府だったから関係ない)ですよ、奥さん!これにはたまげました(笑)
後者については、
B. Security Council resolution 1244 (1999) and the UNMIK
Constitutional Framework created thereunder
2. The question whether the declaration of independence is in accordance with Security Council resolution 1244 (1999) and the measures adopted thereunder
(b) The question whether the authors of the declaration of independence acted in violation of Security Council resolution 1244 (1999) or the measures adopted thereunder
の後で、まず両論併記した後に、UNSC 1244 の "careful reading" が必要とか言い出して、最終的なコソボの地位を決める条件は特に定めが無いが、同時期のキプロスへの決議には書いてあるから、コソボん時は安保理が決める気がなかっただけだろうとか勝手な憶測を言い始めて、コソボは国連加盟国じゃないから安保理決議の遵守の義務は無いとか、
しまいには、コソボの独立宣言は、(自治政府の議会で声明出したのに)大統領が署名してて通常のプロセスと異なるから、国連の暫定統治の枠外のコソボ人民のアクションであり、逸脱してるからこそオーバーライトが許されるんだとか、
現地の国連の代表が何も言わなかったから問題とは認識してなかったんだろうとか、その後の国連のUNMIK報告はあったけど、ただの報告で、暫定統治の枠組みが維持されてた訳ではないんだ・・とか、もう勝手なことを言いたい放題(笑)
118. Bearing this in mind,
the Court cannot accept the argument that Security Council resolution 1244 (1999) contains a prohibition, binding on the authors of the declaration of independence, against declaring independence;
で、禁止はしていないと。
“main responsibilities of the international civil presence will include . . . [o]rganizing and overseeing the development of provisional institutions for democratic and autonomous self-government
pending a political settlement” (para. 11 (c) of the resolution; emphasis added).
UNSC 1244 に記載されている上記 "political settlement" に独立は含まれてないという主張に対しては
The phrase “political settlement”, often cited in the present proceedings, does not modify this conclusion... Secondly, as the diverging views presented to the Court on this matter illustrate,
the term“political settlement”is subject to various interpretations. The Court therefore concludes that this part of Security Council resolution 1244 (1999) cannot be construed to include a prohibition,
「まあいろんな解釈があるよね」でバックレ(笑)
とまあ、こんな感じでした・・もう死んでしまえばいいのに(笑)
(3) By ten votes to four,
Is of the opinion that the declaration of independence of Kosovo adopted on 17 February 2008 did not violate international law.
IN FAVOUR: President Owada; Judges Al-Khasawneh, Buergenthal, Simma, Abraham, Keith, Sepúlveda-Amor, Cançado Trindade, Yusuf, Greenwood;
AGAINST: Vice-President Tomka; Judges Koroma, Bennouna, Skotnikov.
「独立宣言は国際法違反でない」という勧告については、全会一致ではなく賛成10、反対4で判断が割れています。(反対意見が書いてないのでどういう意見、理由での反対かは不明ですが)この漢たる4人(副所長1人、判事3人)の名前は覚えておくべきかもしれません。
・・・
全体的にコソボ支持国の圧力、意向に屈した形での無理やり感があって、本当にしょうもないというかガッカリの勧告ですけど、ただ、まあ、
独立を「宣言する」行為自体は、単に政治的な意思表明であって(宣言に至るプロセスで紛争だの虐殺だのやってない限りは)国際法で制限されるいわれは無く、自由であっていい。独立宣言後に実際に独立国足り得るかは、その後の政治的プロセス次第であって、別に独立宣言自体には実効性は無いんだから・・
というストーリーも、一方では確かにそれはその通りだな・・とも思うので、結果だけ見れば「独立宣言」自体の国際法への準拠を問いただしたセルビアの戦術ミスだったのかもしれません。
これが「独立宣言」でなく「独立」自体の是非についての勧告を求めていれば、全然違っていたのかもしれないけど・・ただ、セルビアが「独立の是非は」何て言ったら、コソボの独立を既成事実として認めたことになるから、「独立宣言」がギリギリの文言だったんでしょうね・・。
・・・
国際司法裁判所(ICJ)「コソボ独立宣言の国際法上の合法性事件」に関する日本の陳述書提出について
日本も、陳述書出してたみたいですが、チラ見したところ、歴史的経緯うんぬんから独立も合法と言い切っちゃってる部分を除くと、これを参考にICJは勧告を書いたんじゃないかと思えるくらいの驚くべき一致でした(笑)
小賢しいというか、腐っても官僚というか(外務省が陳述書を提出する前に、日本の中央政府たる米国務省に見せて添削してもらったのでなければ)結論、立場が決まっている教授から「優」をもらえるような、意向に沿った模範解答を書くのは流石に上手いということですかね・・私は、そこで敢えて自分の意見を書いて「可」に終わるタイプだと思います・・たぶん(笑)

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