とある日、現場に行ったところ、大工さんが、
「通り掛ったといって、見学に来た人がいたよ。古い軽トラックに乗って、ひげ面の・・・」
「それがさ、只者ではないんだよ。靴を脱いだときの身のこなしから、入ってくる雰囲気、素人ではない感じだったよ。」
「話の内容も良い、分かっていたな。見えているんだよ。そういう内容だった。」
「建物にも共鳴してくれた。地場材を使って、手作業で。随分と褒めて貰ったよ。」
「それがさぁ、通りすがりというけれど、前の道は行き止まりみたいなものだからな?通らないよな。」
「名も名乗って行ったよ。」
「庭師でワクイと。平和のワに、ヒサしい、井戸のイと。」