「センスないな、日本人て。」
何年か前の出来事、建築関係で知り合ったフィンランド人が、その席が和んできたときにぼそりと切り出した。
前段階の会話で探りを入れておいて、こいつなら分かるだろうという合間にフィンランド人はその言葉を放った。
「私は日本のヘビーティンバーを始めて見た時に全身が震える様な感動を受けたんだ。だってそうだろう?あの完成度の高さ、力強さ。」
「イギリスにもティンバーフレームがあるが、アレより上だよ。他に見ないよ、こんなフレームは。」
「それを平気で取り壊すんだ、日本人は。信じられないよ。」
「そして、その後に建てられる家は新しいだけというもの。ホント、センスないよ。」
その席では日本人代表の私であるが反論は出来ずに相槌を打ちながら聞き流した。