
清家清氏の設計です。
同氏の他の設計と同様、シンプルさっぱりな外観です。
客室の外に面するほとんどの面積をピクチャーウィンドゥに使用されています。
部屋の中に入ったときは圧巻でしょうね。裏側の廊下からドアを開けて入った瞬間、壁一面が窓でその先の整備されきったゴルフ場が目に飛び込んで来る仕掛けでありますから。
これはドラマチックな設計がひとつ。
もうひとつ、ニクイ設計がひとつ。
大抵のホテルやマンションにありがちなのですが、建物の良い面に部屋を取りますとその反対面が共有の廊下となります。
廊下側はプライバシー確保の面から開口を設け難くなります。公団などプライバシーは何処吹く風と窓を設けている建物もありますが、ホテルはそうは行きませんね。
そのような理由で大概のホテルの場合は廊下側は完全密封となるのです。
そうなると、風通しの悪い室内は、高原の軽井沢でもエアコンに頼りっきりとなってしまいます。
部屋を締めっきりでエアコンでは東京でも軽井沢でも何の変わりがなくなってしまいます。面白くないですね。
「部屋に高原の涼風を!」
そこで巨匠は考えたのですね。
開かないピクチャーウィンドゥの上に換気のための窓を。
そこまでは割とありがち。
それから、廊下側に、それを通り越し外部まで伸ばした通気ダクトを設えたのです。
部屋の中の音も臭いも廊下には響きません。通過して外部へと通り過ぎます。
プライベートを保ちつつ、換気を両立させたのです。
となれば風が気持ちよく室内を通る訳ですね。
ドカン!と来る設計と静かに涼を楽しむ設計、その辺のバランスも面白いですね。