九州の秘湯といったら、この地を挙げないわけにはいかない。まさしく西日本の雄である。
宿の玄関前には温泉の効能やら硫化水素ガス事故のことやら、いろいろなスクラップが張り出されている。
この湯は、明治初期に「砒素燃の湯」として発見され、その後湯治場として利用されるようになったこと。昭和29年(1954)地滑りによって一時壊滅。平成元年3月には湯治客が硫化水素ガス中毒によって死亡する事故が発生して、一時営業もできなくなっていた時期もあったこと。その後、宿の経営者が一念奮起して努力を重ね、今日があること、などが読み取れる。
宿は民営国民宿舎「霧島新燃荘」の一軒のみ。霧島山中の山峡にある。皮膚病に効能があり、湯治客の急増や秘湯ブームなどで利用客は年間延べ5万人を越えている。
泉質は硫化水素を含んだ乳白色。脱衣所には「30分以上は入浴しないこと。子供ひとりでの入浴は禁止」とか「入湯は一回30分以内。決して一人で入らないよう、二人以上で連れ立ってはいること。」とかの張り紙が至る所に見られる。
湯は男女別の内湯もあるが、玄関前には混浴の大きな露天風呂が・・・。しかも、独り占め状態である!シメシメ、ここまで来たら、有名なこの湯に入らないわけにはいかないと、急いで飛び込んだ。その直後、若いカップルが入ってきた。先に内湯に入っていたのだが、そこからわざわざ露天にやってきたのだ。幸い濃い乳白色なので入ってしまえば気にならないとはいうものの、私は風呂から出るタイミングを計りかね、湯のせいではなく汗をかいてしまった。






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