何をどうして、どこ経由なのかさっぱり思い出せんけど(きっと酔っぱらってたんだろうな)何故か「もやしもん」という漫画にたどり着いた。後日、娘に「お前、もやしなんとかって漫画知ってるか?」って聞いたら「『もやしもん』でしょ?知ってるよ。友達に借りて読んだもん。割と面白いよ」ちゅうわけで、ウチのヤツに頼んで、買い物ついでに買ってきてもらった。(石川雅之:作・とりあえず既刊の5巻を全部)
東京の、ある農大に入学した「細菌が目視できる」という特殊能力を有する主人公が巻き込まれる「学園モノ」だと思うんだが、確かに「割と(っていうか意外に?)」面白い。この作者「発酵」とか「酒造り」とか、食い物・飲み物に対する細菌や微生物の役割みたいな分野に異常に詳しいらしく、「樹(いつき)教授」(←かなり曲者とみた)や「日吉酒店のご隠居」とか「諸先輩」のセリフをとおして語られる話は「へ〜なるほどねぇ」と感心してしまうよ。かわいくキャラクター化された細菌たちもユニーク。彼ら(?)の常套句「かもす(醸す)ぞ」ってのも良いね。使えるフレーズだ。用例としては「いい加減にしねぇと...かもしちまうぞ」とか。
ただし主人公が「細菌」や「酵母」が見えるのは良いとして「インフルエンザウイルス」まで見えちゃうのは素人考えでも「?」だぞ(笑)「ウイルス」って「細菌」じゃないし、生物と言えるのかどうかも微妙だと思うんだがな・・・というツッコミは言いっこなしか。でもまぁ、そもそも日本酒が苦手な私としては、一般的に流通している日本酒とは丸で別世界の日本酒が存在するって事を知っただけでも勉強になったね。是非一口飲んでみたい...そう思いつつ、こうして打込みながらラッパ飲みしてんのは『バーボン』だけど。それから「微生物が有機物を分解する時、人に役立つなら『発酵』違うなら『腐敗』と言う」んだってさ。ふ〜ん...知らんかったけど、言われてみりゃそうだよな。
時折紹介される世界各国の「乳酸発酵食物(とでもいうのか?)」のくだりは、読むからに「おえっ」とか「くっさそ〜」とかいう感じ。「アザラシの漬け物」とか「スウェーデンのニシンの缶詰」とかね。でもそんな話ばっかりじゃなくて、「学園青春モノ」風な展開もあるし(特に「春祭」とか「収穫祭」のくだりは笑える)ディープでコアでマニアックな世界とのブレンド具合(?)は絶妙だと思う。
思うにマニアックな世界を背景にした漫画って「ヒカルの碁」くらいしか読んだ事が無いけど、あれは「囲碁」の世界の雰囲気は伝わるけど「棋譜」が出てくるわけじゃないから、碁打ちの端くれとしては何となく物足りなかったんだな。連載誌が少年少女向けの雑誌だからしゃぁないとは思うけど。とはいえ特に「塔矢名人」対「藤原佐為」つまり「今をときめく現代囲碁界の帝王」対「不世出の天才棋士本因坊秀策(にとりついていた霊)」の、後世に語り継がれるであろうインターネット対局は是非並べてみたかった(笑)でも、あれはあれで充分面白い漫画ではあったけどね。だからそのへんのところになると「もやしもん」は微生物学者のみなさんにはどう映るのか聞いてみたいもんだなぁと。
ま、なんだかんだ言って私は気に入りましたよ「もやしもん」
読んだ後「無性に手が洗いたくなる」のか「顔なんざ2〜3日洗わなくたって、ど〜ってこたぁねぇじゃん」と思うようになるのかは、あなた次第です。