「原音イメージを忠実に再現することをモットーに、プロの世界で求められるクオリティーパフォーマンスを極限まで追及。エンジニアやミュージシャンからにフィードバックを徹底的に反映し、音創りへの情熱と感性をMIXさせて完結した妥協なき音質。クリアで解像度の高いサウンドとファーストクラスの快適性。業界の定番を覆す新スタンダードの登場です」(以上ウリ文句をまんまコピペ)と言われて、しかも価格が5,980円ときたら、誰だって「ほぉ〜そりゃスゴい。買ってみっかな?」って思うっしょ。それがこのヘッドホン(CLASSIC PRO製)
ちょっと前に小樽駅前「玉光堂」の佐々木氏のご好意で、氏の個人的に購入したものを借りる機会があって、渡された時に「返さなくても良いですよ」って言われたんだよね。「そうか、そんなもんなのか・・・まぁ、耳には個体差があるし、好みちゅうのもあるしな」と思いつつ持って帰って試してみたよ。
確かに・・・
ヒドい。私の貧弱なボキャブラリーでは、そのボロさ加減を表現できないかもね。それでもまぁ思いつくままに書いてみると、まず全体的にどんなソースを聴いても「蓄膿症系の音」だね。なんか鼻をつまんだような音。高い方はかなり痛い。けどまぁ100歩譲って値段相応だとしても「下がない」・・・MADDNNAのアルバムのウネりまくるシンベも、ただミョンミョン言ってるだけ。基音が聴こえない。キックもアタックのみ。「蓄膿系」で「下がない」から、石川さゆりの声のふくよかさ成分も全然伝わってこない。多分5弦ベースを使用していると思われる「津軽海峡冬景色」のサビで入るLowDも、5弦目特有のファンダメンタルが表現されてなくて貧弱。モーツァルト「ジュピター」の第4楽章、コントラバスの早いフレーズも、弦をこする音しか聴こえない。ティンパニもペラペラ・・・ひょっとしたらこのヘッドホンのユニット、逆相になってんじゃ?
メーカーの注意に「少なくとも100時間はエージングしないと本来の音がしない」とあったので、たぶん佐々木氏はそのへんはクリアしてくれているだろうとは思ったんだが、最初聴いた時にあんまりだったんで、念のため丸3昼夜iTunesのライブラリーを丸ごとループしてQuataFire610のヘッドホンレベルを8くらいにしてガンガン鳴らし続けた結果なんだよね。ヘッドホンの「エージング」って良く知らんけど、意味から言えば「劣化させる」ってことでしょ?違うのかな?そもそも、そういうことをユーザーにやらせるっていう姿勢はどうかな〜?
私のようなプロではない人間は「下の音さえ出ていれば良いヘッドホンに分類する」という傾向にある事は否定しないが、ちょっと前に紹介した「MDR-EX51SP」(インナーイヤー型)でさえちゃんと表現されているのに、このヘッドホンの表現力は如何なもんかな〜。逆を言うなら「MDR-EX51シリーズ」はこの世に存在するイヤホンの中で最高のコストパフォーマンスを誇る逸品であることがここでも証明できると思うワケ(ちと大げさか?)あるいは・・・このヘッドホンに対する正しい評価はプロの皆さんが1年後くらいに下すのかも知らんね。
あ、一つだけ良い点があった。それは装着感。私のような「エルフ耳」系の人には、パッドが厚くて快適ですよ(音は不快だけど)。
ヘッドホンの購入を検討中の、私のような「アマチュア日曜ミュージシャン」のみなさん、素直に「MDR-CD900ST」(SONY)を買いましょう。価格は2倍強でしょうが、その差は手間ひま含めて20倍はありそうですぞ。