書痴日記 その2

2007/5/13 | 投稿者: losthouse

いろいろと文句は有るが、出てしまったものは仕方が無いので、講談社文庫版「ゲゲゲの鬼太郎」をまとめ買い。

不完全では有るけれど、やっぱり雑誌掲載順に読めるというのは気分が良いし、単行本収録時に紙数の都合で削除されたページが復活しているのは嬉しい。

「妖怪獣」で、第二の月が現れた後で鬼太郎が『これは妖怪のしわざである』と看破するのに、集まった群衆に笑われてしまう場面。子供の頃から繰返し読んでいる単行本では、人々は特に騒がず鬼太郎の言う事を大人しく聞いている印象なんだけど、68年のアニメ版では鬼太郎が人々にげらげら嘲笑されていて、てっきりアニメ版オリジナルの演出かと思っていた。
だけど今回の文庫版では削除された嘲笑シーンが丸々1ページ復元されていて、ああ、あれはやっぱり原作にもあったくだりなんだな、ということがわかって嬉しかった。

しかし惜しむらくは、というより最低なのは、というより最悪なのは台詞の改竄/自主規制で、まぁ百歩譲って差別語関連、『のうまくえん』とか『つんぼ』とか『人食い人種』とかは仕方が無い(本当は仕方無くない)にしても、なんで『ネタにつまった漫画家と全学連には近よらないほうがいいぜ』の『全学連』を削除する?
「妖怪ラリー」の毛沢東語録がらみの処理も謎で、中国代表の水虎は『毛沢東語録どおりにレースをすればそれで満足』って台詞はそのまま残ってるのに、『毛沢東語録にはグレムリン(ソ連代表)にだけは負けるなとありますので おたがいにじゃまし合いは必死です』って部分は『グレムリンにだけは負けるなと おたがいにじゃまし合いは必死です』に変更されていて、これはどういうこと?毛沢東語録には本当はそんなこと書いてないから削除したの?阿呆か。

名作「オベベ沼の妖怪」もひどい。この作品は冒頭のねずみ男とかわうその掛け合い漫才が素晴らしくって、子供の頃よくひとりで真似して喋っていたので個人的に思い入れの深い作品である。
その台詞の掛け合い、リズム感こそは水木しげるの真骨頂なんだけれども、『母子家庭の子ではふつうの子どものように遊ぶこともゆるされないからね』ってかわうその台詞は『いっとくけど決して遊んでるわけではないよ 生活のために働いているのさ』に変更。『母が病気のため働けず生活保護受けてんの』は『母が病気のため働けず 父はこの世に もういない』なんて妙に辿々しい台詞になっていて、リズミカルな掛け合いが台無し。跡形も無く粉砕されている。

ちゃんとオリジナル版の単行本を持っていて、台詞を全部覚えるまで読んでいて削除部分を脳内で補完できる人のみが持つ事を許される、そんな講談社文庫版の鬼太郎だった。



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