2009/3/31 | 投稿者: losthouse

もう出ることは無いだろうと思っていたのに、出た。

もう出ないんじゃないかとたかをくくっていたから、今月の初めにはもう出ていたというのに、すっかり油断して見逃していた。

ついに出た。

安部公房全集 第30巻が。
http://www.shinchosha.co.jp/book/640150/

当初「全29巻+別巻1」と予告され、全集が刊行開始されたのが、安部公房が死んでから4年後の1997年のことだった。

当時の僕は仕事も無かったくせに、どっかからお金を工面してきて、2ヶ月に1度発売される安部公房全集だけはこつこつ買い集めていた。
文庫本で読み親しんだ作品も、編年体で順を追って読むことで(更に執筆当時のインタビューや対談記事などを併せて読むことで)、まったく違うように読めて楽しかった。

だけど、途中から何度か2ヶ月に1度の刊行が遅れるようになり、編集の苦労が読む側にもひしひしと感じられたものだが、遂に第29巻が刊行されて一応の完結をみたのが西暦2000年。

以来、出る筈の「別巻1」が出ないまま、もう9年の月日が経っていたのだ。

それが突然に「第30巻」と銘打って出版されたのだからびっくりする。
索引代わりのCD-ROMも付いていて楽しそうだ。

長年完成させることの出来なかったパズルがやっと完成したようで、実に嬉しい。

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参考リンク:
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090324/acd0903240806002-n1.htm
http://www.asahi.com/culture/update/0117/TKY200901170211.html

2009/3/15 | 投稿者: losthouse

ほんとは劇場で観なくちゃいけなかったんだけど、何のかんのとダラダラしている間に終わってしまって観る機会を失っていたものだから。

押井守「スカイ・クロラ」をDVDで観る。

世間での評判がすこぶる悪くて、それならきっと面白いに違いないと思って期待して観てみたら、期待通り、いやいや期待以上の面白さだった。
僕はそれほど熱心な押井守ファン、というわけでは無いけれど、「ビューティフル・ドリーマー」以来、やっと心の底から絶賛できる押井守作品に出会えたな、と思って嬉しかった。

特になんでもない話が、なんでもなく語られて、なんでもない印象を残して終わるんだけど、これは「なんでもないことのどこが悪い」と言っている映画なので、そこが実に素敵だし、青春SFとして非常に完成度が高いと思う。

静謐な演出も物語の世界観に実にマッチしていて、自然音のSEにこだわりまくった音響デザインが、その静謐さをより一層際立たせる。
きちんとしたオーディオで、大音量で観たらやたら気持ち良いんじゃ無いだろうか。劇場で観なかったことが、それにつけても悔やまれる。
大傑作。

ところで、例によってネット上では的外れなレビューが飛び交っているわけだが、中でも一番おかしかったのが、「煙草を賛美している」「主人公が煙草をポイ捨てするのがよくない」「嫌煙家には観ていられない」といった意見が、ひとりの、ってわけじゃなくて結構多数派の意見としてアップロードされていることで、こればっかりはいくら温厚な僕でも、本気で「おまえら全員死ねばいい」と思いましたとさ。


2009/3/10 | 投稿者: losthouse

吾妻ひでおの新刊「地を這う魚」を読む。

「新現実」と「コミックチャージ」に掲載されていたシリーズに、書き下ろしを加えた単行本。

板井れんたろうのアシスタントをしながら、プロデビューを目指していた自身の修業時代を描いた自伝漫画、ではあるが、強迫的なまでに緻密に描き込まれた画面からは、所謂「自伝」的であることから出来るだけ遠くへ離れようとする強い意志が感じられて、「自伝」そのものである物語とのギャップが異様におもしろい。

吾妻ひでお版「まんが道」という評も多い(というか帯に書いてある)ようだけど、「地を這う魚」には藤子不二雄の「まんが道」にあるような熱情もカタルシスもまるで無くって、当たり前だけど印象はずいぶん違う。

からっからに乾ききったギャグと無感情な語り口は、つげ義春の「西部田村事件」とか「庶民御宿」とかにむしろ近いものを感じるけれど、つまりそれは昔からの吾妻ひでおの芸風そのものである、ということでもある。
読みながら、僕はやっぱり吾妻ひでおのこの感じが好きなんだよなぁ、と再確認するとともに、幸せな気分になった。

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2009/3/7 | 投稿者: losthouse

なんか漫画のことばっかりで、てゆうか、古い、しかもベタな漫画のことばっかりで恐縮なんですが、このニュースはやっぱり捨て置けない。

藤子・F・不二雄大全集 刊行決定
http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/

「新オバQ」じゃなくて本当に「オバQ」が収録されるのか、とか、「ドラえもん」はやっぱりガチャ子のエピソードとかも入るのか、とか、「ジャングル黒べえ」はどうなんだ?とか、合作時代のものが収録されるんだったら「ユートピア」はどうなるのか、とか、色々と気になるところが多いニュースです。

しかし大人になればなるほど、藤子不二雄の天才っぷりがより理解できるようになるから面白いものです。

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2009/3/2 | 投稿者: losthouse

酒井七馬・手塚治虫 共著「新寳島」完全復刻版がついに届く。

熱烈な手塚マニヤってわけで無くても、オールド漫画ファンであれば誰もが待ち望んでいたであろう、漫画史上最も伝説的に語られてきた原本の復刻が、いよいよ小学館クリエイティブによって為されたわけである。

藤子不二雄の「まんが道」のなかで、あまりに情熱的な筆致で描かれる「新寳島」と主人公との運命的な出会いのシーンを読む度に、ぶわぁ、「新宝島」ってのはよっぽどすごい漫画なんだろうなぁ、読んでみたいなぁ、と、子供心に憧れた人間は僕だけではあるまい。

その後、たしか僕が小学校六年生くらいの頃、講談社の手塚全集についに「新寳島」が収録された、という噂を聞きつけて、喜び勇んで買って読んだら、随分と洗練されたタッチで書き直された全面リライト版だったんでがっかり、というのも今では良い思い出。

しかし、講談社全集版に書き残された手塚治虫による酒井七馬への恨み言の数々を考えると、もし手塚が存命であったならば、いまだに原本の復刻なんて決して有り得なかったのだろうと思う。
そう考えると複雑な気分だが、封印していた過去の仕事を死後掘り返されるのも、また大作家の宿命であろうか。

閑話休題。今回の復刻では、通常版と豪華限定版の2種類が流通していて、僕は迷わず豪華限定版を購入したのだけれど、これがかなり充実した内容で素晴らしい。

詳細は小学館クリエイティブのサイトで読んでもらうべきだが、
http://shogakukan-cr.jp/shintakarajima/index.html

↓こんな金ピカの箱に入っていて、
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↓開けるとこんなにお宝がざくざく。
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これで7980円なら安いとぼかぁ思う。




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