2008/10/31 | 投稿者: losthouse

アントニーという歌手を初めて目の当たりにしたのは、2003年に行われたルー・リード新宿厚生年金会館公演でのことだった。
コーラス担当としてツアー・バンドに参加していたアントニーが、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「キャンディ・セッズ」を切々とうたいあげる様をみて、僕は「うわっ」と思ったものだった。

何がどう「うわっ」だったかというのを、みていないひとに説明するのは難しい。もしくは簡単なのかも知れないが、説明するとやけに陳腐になってしまいそうなので、ここでは「うわっ」に留めておきたい僕がいる。

その「うわっ」は随分あとを引いていて、その後2005年に出た「アイ・アム・ア・バード・ナウ」というアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのレコードを僕は買った。

「キャンディ・セッズ」にうたわれたキャンディ・ダーリングの肖像写真がカバーになっているそのレコードは、とてつもなく素晴らしくって、ステージ上でうたう様を目の当たりにした時とはまた別の、もっと静かな「うわっ」がそこにはあった。

男性の肉体に乙女の魂をもって生まれて来たひとの、悲しみと祈り。それがとても真っ直ぐな言葉で綴られるから、涙が出そうになった。

そして今夜新宿で、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズの新しいシングル「アナザー・ワールド」を買った。

キャンディ・ダーリングに次ぐアイコンとして、そのカバーを飾っているのは大野一雄である。
収められている5曲はどれも、やはりとても素晴らしい。
今度も僕は「うわっ」って思って、またアントニーがうたっている様を目の当たりにして、「うわっ」ってなりたいなぁ、と思っている。

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2008/10/18 | 投稿者: losthouse

Bossa Nova Expressの次回ライブが決まりました。

11月16日 日曜日 

高円寺ペンギンハウス
http://www3.plala.or.jp/FREEDOM/PENGUIN.htm

「高円寺のヘルメスたち3〜環七メトロ建設計画」

出演:Bossa Nova Express
   アネットへブン
   電気醤油
   男のマロンズ

¥2000 (+Drink)

18:30 Open 19:00 Start
(Bossa Nova Expressの出演は19:00を予定しています)


Bossa Nova Express
榎本隆幸:ベースギター
濱崎浩司:ドラムス
福田光紀:ギター、ボーカル

どうぞよろしくお願いします。

2008/10/15 | 投稿者: losthouse

ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズ第8集「テル・テイル・サインズ」を聴く。

89年から06年までのアウトテイクやレア曲がごっそり収録されていて、通して聴くと、ここ10年でボブ・ディランがその長いキャリアの中でも何度目か(そろそろ最後か?)の黄金時代を迎えていることがはっきりと理解できる。

収められているのはすべて歴史的な名演だから、近年のディランをあまりまともに聴いてない、ってひとにはベスト盤代わりにもなるかも知れない。

または、まったくディランを知らない、何から聴いて良いのかわからない、ってひとへの入門編としても最適かも知れない。
実際僕は、「ブートレッグ・シリーズ1-3集」を聴いて本格的にディランにのめりこんだのだった。
アルバムを1枚聴いただけではわからない大きな渦や流れのようなものが、編年体で並べて順を追って聴いて行くと、みえるようなこともある。

ところで、今回の「テル・テイル・サインズ」にはマニヤ度別に各種のパッケージが用意されていて、CD1枚の普及版、CD2枚組の通常版、更にはCD3枚+豪華ブックレット付のコレクター向けパッケージとあるので、各々自分のマニヤ度にあわせた選択が可能なのだけれども、僕が買ったのはもちろんCD3枚+豪華ブックレット付のコレクター向けパッケージで、これがふつうに2万円くらいして流石にまいった。
なんでCD3枚に2万も払わにゃならんのか。って言いながらも買うんだけれども。


↑が「テル・テイル・サインズ」からのプロモ、"Dreamin' of you"という曲。
ハリー・ディーン・スタントン演ずるブートレッガーが悲しくて良い。

2008/10/10 | 投稿者: losthouse

「グーグーだって猫である」という映画を観る。

素晴らしい映画だった。
本当に良い映画だと思った。

タイトルこそ「グーグーだって猫である」なんだけど、本編はその原作漫画とはあまり関係が無い。

犬童一心による、大島弓子へ捧げたオマージュといった趣。
それは大島弓子を論ずる、でも無く、大島弓子の世界観を表現する、でも無く、大島弓子の漫画が好きで好きでたまらないひとが、ただその好きで好きでたまらない、って感情を叩き付けた、といった印象でしか無い。
そこが素晴らしいと思った。

そう、本当に好きなものを描くときには、こうしてシンプルに好きで好きでたまらない、って言うだけのほうがひとに伝わるのだな、と思う。

上野樹里演ずるアシスタントが、中学生時代に漫画雑誌でたまたま「四月怪談」を読んで号泣してしまう。そんな場面があって僕もたまらずもらい泣きしてしまって、あれは大島弓子の漫画が好きなひとなら皆一度は体験する、「一気に歳をとってしまう感じ」。
あれをやってしまったひとはもう元には戻れない。
「この世界で泥まみれになるまで遊んでいいんだ」と、気がついたところから何もかもがはじまっている。

2008/10/3 | 投稿者: losthouse

渋谷にある若者向けファッション・ビルの最上階。
「ルー・リード/ベルリン」という映画を観る。

ルー・リードのファンなら勿論観ておかなくてはいけない名演の記録。

でも映画だから、歌詞に字幕がつくのだ。
字幕がつくと、「ベルリン」の陰惨な内容が字面で目に入って来るもんだから、ふだん耳から拙いヒヤリング能力でもって歌詞を聴いているときよりも更に陰惨さを増してしまって、観終わる頃にはいくらファンの僕でも、人間の暗い淵ばかりを覗いた地獄めぐりの数々に、流石にぐったりしてしまうのだった。

この映画で初めてルー・リードの音楽にふれる、というひとには、それが結構苦痛かも知れないな、と思った。

でも、「ほかの誰もがうたわないことをうたう」ルー・リードの作詞に臨む姿勢は十二分に伝わるし、観たものをぐったりさせる程に「ベルリン」の陰惨さが表現されているのであれば、やっぱりそれは良いことなのだ。

「ベルリン」の全曲が演奏された後、疲れきった頭脳を浄化するように始まるアンコール。
アントニーとルー・リードがデュエットする「キャンディ・セッズ」が素晴らしかった。ほっとした。




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