2008/8/25 | 投稿者: losthouse

親切なひとの、「お兄ちゃん、ポニョ観たいかい?ポニョ。ポニョあるよポニョ」という怪しげな誘いに乗せられて、宮崎駿の新作「崖の上のポニョ」を観せてもらう。

観終わって茫然自失、あまりの衝撃的な内容に、しばらく気が遠くなる。

もうおはなしなんて、テーマなんてどうでもいいのか、全編に渡る奇怪なイメージの洪水、ただそれだけの映画。
構成も文法も、そんな瑣末なことはすべて無視して、ひたすらイメージだけを優先させる。とてつもなくアヴァンギャルドな映画だった。

まるで他人の夢を撮影したものを見せられているような、そんな気味の悪さと居心地の悪さが1時間半連続していたたまれなくなる。
実際、僕が子供の頃に繰返し見てうなされていた悪夢にそっくりなシーンがあって、観ているあいだも怖かったけど、いま思い出してもまだ怖い。

こんな前衛的な映画が、大劇場にかかるのは実に稀なことだと思うので、まだ観ていないひとは観に行ったほうが良い。
でも怖いのが苦手なひとは、止めておいたほうが良いかも知れない。

2008/8/12 | 投稿者: losthouse

電車を乗り継いで新木場。
スタジオ・コースト、というところで、セックス・ピストルズのライブを観る。

もちろん新曲は一切無し。「ネバーマインド・ザ・ボロックス」からの全曲と、「ノー・ファン」や「ロード・ランナー」等のカバー曲、果ては何故だかホークウィンドの「シルバー・マシン」まで演って、大サービスのセックス・ピストルズ。

90年代の再結成騒ぎの時には、その刹那的な様を美しく語られるかつての栄光や伝説を「金が欲しくてやる」とか何とか言って自ら破壊する、老いさらばえた姿をさらしてセックス・ピストルズというブランドを台無しにする、そんな捨て身の諧謔っぷりがまた実にらしいな、って思っていたものだけど、今回目の当たりにしてみると本人たちはただただ楽しそうに演奏しているだけで、何の衒いも無いように見える。

きっとセックス・ピストルズとしてツアーを回るのがメンバー全員楽しくて仕方が無くって、それ以上の意味は何も無いんだろうな、と思う。

観客側も、伝説のオリジナル・パンクを目撃する、というような気負いは今さら全然無くって、ただ名曲の数々を一緒にうたって馬鹿騒ぎ出来りゃそれでいーじゃん、って姿勢が素晴らしい。

ジョニー・ロットン役のジョン・ライドンも嬉々として踊りはしゃぎ、悪態をつき、尻を出す。うたも変わらずとても上手だ。
まだまだ元気そうで何より。というよりも、こんなにフル回転でこの人は大丈夫だろうか、と観ているこちらが心配になるくらいのはしゃぎっぷりで、まさかあんなに元気充分な姿は予想していなかったものだから、いちファンとしてその健在ぶりを歓び、暖かく幸せな気分になった。

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2008/8/10 | 投稿者: losthouse

真夏の夜の歌舞伎町。俺は真夏の夜の歌舞伎町が大好きだ。

クリストファー・ノーラン「ザ・ダーク・ナイト」を観る。

「プレステージ」が最高だったし、シリーズ第一作にあたる「バットマン・ビギンズ」も結構面白かったので、かなり期待して観てみたら、期待通り、どころか、期待を大幅に上回る傑作ぶりだった。

なんと言ってもヒース・レジャー演じるジョーカーが物凄くって、あんまり凄いので中盤くらいからは、あれ?この黒いの何だっけ?ああ、主役か、そういえばバットマンの映画だった、って、主役を喰うとはまさにこの事。ジョーカーの造型をあんなことにした、ってだけで、もうこの映画は傑作なのだと思う。
アメリカン・コミックの悪役にありがちな、幼い頃の心的外傷がきっかけで悪の道へ、とか、そんな薄っぺらいバックボーンは一切無し。ただただ殺す、ただただ脅す。とにかく悪い。
ひとは何故悪に手を染めるのか?知らん、ただ俺はお前を殺す、って空っぽな感じが実にリアリティが有って嫌らしい。

「アイム・ノット・ゼア」でも印象に残るディラン役を演じていたヒース・レジャーだけれども、何せ彼は死んでしまったから、3作目にはあのジョーカーがもう出て来ないのだと思うと残念で仕方が無い。惜しいひとをなくした。



ところで、チケット屋でチケットを買おうとしたら、どの店でも店員が「ピカデリーでしか使えませんけど良いですか?」「新宿ならピカデリーだけですけど良いですか?」って畳み掛けて来る。
「えっ、歌舞伎町では使えないんですか?」って言うと「ハイ」って言う。
シネコンは嫌だったので買うのを止めて、3軒目に入った店でやっと普通の共通チケットが買えた。

こんなところにもシネコンの圧力か。頑張れ歌舞伎町。俺は自由席が好きだ。

2008/8/8 | 投稿者: losthouse

新刊漫画まとめ買い。

諸星大二郎「未来歳時記・バイオの黙示録」

それにしても一番に感心するのが、諸星大二郎が2008年の現在になっても、変わらずコンスタントに新刊を出し続けている、という事で、「栞と紙魚子の百物語」に続いて、今年2冊目の新刊である。
70年代の短編にも似た印象を感じさせるスペキュレイティヴ・フィクション。ラストに僕は「生物都市」を思い出してしまう。

楳図かずお「赤んぼ少女」

また出た楳図パーフェクション最新刊。カラーページの再録と扉絵のために買う。
同じ漫画を何度も買う。それが大人になるということらしい。
でも久しぶりに読んだら、切なくて哀しくて号泣した。

山上たつひこ「光る風」

こちらも、単行本化の際に削除された扉絵やネームを復元した完全版。装丁が格好良い。
全1冊で一気に読み進められるのがとても良い。
同じ漫画を何度も買う。それが大人になるということらしい。

つげ義春「生きていた幽霊」

若木書房から出ていた貸本単行本の復刻版。
同じ漫画を何度も買う。それが大人になるということらしい。
それにしても小学館クリエイティブによる貸本復刻シリーズの充実ぶりは凄い。
今月末の刊行予定には、水木しげる「地獄の水」や楳図かずお「猫面」がラインアップされていて、以前出た「妄想の花園」に収録されていた「猫面」は後年の改稿版だったので、ついにオリジナルが復刻されるのだとすると楽しみで仕方が無い。

こうの史代「この世界の片隅に 中」

たまには最近のひとの漫画だって読む。
こうの史代の漫画は本当に素晴らしい。にこにこして和やかな生活のなかで、ふっと頭をもたげる絶望ややり切れなさを、何とか手なずけてそれでも生きてかなくちゃいかん、という意志のようなものが好きだ。

2008/8/3 | 投稿者: losthouse

名作だ、傑作だ、と色んなひとが言っていても、本屋に売ってないから読む事のできない本がある。

マイクル・コーニイ「ハローサマー、グッドバイ」も、むかしサンリオから出てそれっきりになっていたので、そうした「読めない名作」のひとつだった。

のだが。
その名作の誉れ高い「ハローサマー、グッドバイ」が、完全新訳版となって先月めでたく河出文庫から発売されたのだ。
漸く読むことが出来てうれしい。

ジュブナイルとしては全く非の打ちどころが無い完成度。
別に子供向けに書かれた本では無いのだけれど、例えば中学2年生の夏休みにこれを読んだら、一生ついてまわるような感激をするだろうな、ってふうに想像して、中学生のときにこの本を読みたかった、と心から思う。

希望と絶望がないまぜになるラスト・シーンから受ける印象は、そんじょそこいらのSFでは味わえない。希有な体験だった。

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2008/8/1 | 投稿者: losthouse

どうにも日本公演は実現しないようだけれども、映画の公開は決まったのでまぁそれでよしとすべきか。

ルー・リード/ベルリン(日本版サイト)

LOU REED'S BERLIN(本家公式サイト)

前売券を買うと先着でDVDがもらえる、ってんでわざわざ渋谷まで買いに行って、予告編でも入っているのかと思ってDVDを再生してみたらいきなり「キャロライン・セッズ 1」が始まってたまげた。

それを観てると早く全編を観たくて仕方無くなってしまうのだけれど、とりあえず映画の公開までは隠し撮りの動画でも観て我慢すると良い。

「キャロライン・セッズ 2」↓



ところで、マニヤ向けにはこんなものも売っている。↓
Lou Reed/Laurie Anderson/John Zorn "The Stone : Issue Three"

アングラ・セレブ3名によるフリーのインプロ。あまり面白い演奏では無いけれど、ルー・リードのギターを存分に堪能できる、という点において価値は高い。




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