2007/7/31 | 投稿者: losthouse
聴いたことの無い方。
今やっている仕事の手を休めて、とりあえず聴いて頂きたい。
野坂昭如「ダニアースの唄(Drum'n'Bass Mix)」
今やっている仕事の手を休めて、とりあえず聴いて頂きたい。
野坂昭如「ダニアースの唄(Drum'n'Bass Mix)」
2007/7/29 | 投稿者: losthouse
アジトのなかは無音。
通りに面した窓を一日中開け放して、路行くひとたちの会話を盗み聞いては、世界の仕組みについて考えている。
AM2:00
(近付いて来るカラカラという自転車の走行音と、路の反対側からは女ものらしい硬い靴音)
男の声(自転車を急停止させる金属音とともに)「あの、すいません、すいません、すいません」
若い女の声「はい?」
男「あの、ちょっとお聞きしたいんですけど、ちょっと失礼かもしれないんですけど、160ありますか?」
若い女「はい?」
男「160ないですよね、あるんですか?」
若い女「162です…」
男「えっ?あ、そうですか…すいません、いや、ちょっと気になったものですから、すいません」
(男が自転車のペダルを踏み込む音。女の靴音が、自転車と逆方向へ遠ざかって行く。この間約20秒)
AM4:00
子供(女)の怒鳴る声「じゃあ幾らもらったら殺す?幾らなら殺す?」
子供(男)の怒鳴る声「12万!」
(「じゅうにまん〜っ?」「じゅうにまーん!」「じゅうにまんかーっ」って叫びながら遠ざかるふたつの声。十代前半と思われる、まだ混じり気の無い奇麗な声。鴉が鳴き、夜明けが近付く)
通りに面した窓を一日中開け放して、路行くひとたちの会話を盗み聞いては、世界の仕組みについて考えている。
AM2:00
(近付いて来るカラカラという自転車の走行音と、路の反対側からは女ものらしい硬い靴音)
男の声(自転車を急停止させる金属音とともに)「あの、すいません、すいません、すいません」
若い女の声「はい?」
男「あの、ちょっとお聞きしたいんですけど、ちょっと失礼かもしれないんですけど、160ありますか?」
若い女「はい?」
男「160ないですよね、あるんですか?」
若い女「162です…」
男「えっ?あ、そうですか…すいません、いや、ちょっと気になったものですから、すいません」
(男が自転車のペダルを踏み込む音。女の靴音が、自転車と逆方向へ遠ざかって行く。この間約20秒)
AM4:00
子供(女)の怒鳴る声「じゃあ幾らもらったら殺す?幾らなら殺す?」
子供(男)の怒鳴る声「12万!」
(「じゅうにまん〜っ?」「じゅうにまーん!」「じゅうにまんかーっ」って叫びながら遠ざかるふたつの声。十代前半と思われる、まだ混じり気の無い奇麗な声。鴉が鳴き、夜明けが近付く)
2007/7/25 | 投稿者: losthouse
色々と悩んだり迷ったり困っているひとたちの話を聞いて、ふむふむ、そうですか、って共感するふりをしたりもするが、悪魔くんが地上天国の夢を果たせば、彼等もしあわせになれるのだろうか。
悪魔くん山田真吾版 再発
↑僕はこのページをみただけでちょっと幸せになれたものですが。
悪魔くん山田真吾版 再発
↑僕はこのページをみただけでちょっと幸せになれたものですが。
2007/7/16 | 投稿者: losthouse
出た。遂に出た。まだかまだかと思っていたら、いきなり書店で平積みしてた。偉いぞ国書刊行会。まさか生きて読めるとは思わなかった。
アルフレッド・ベスター「ゴーレム100」
80年の作品なのに本邦初訳。買って一気に読み耽る。
SFファン、なかでも奇想と変態を愛する偏ったSF読みにとっては、ベスターの名前は聖者のように語られる。というのも50年代に書かれた「分解された男」「虎よ、虎よ」の名作2冊があるからで、ベスター、っていうと怪獣の名前みたいで格好良いのもまた発音欲をそそるのである。
「分解された男」にしても「虎よ、虎よ」にしても、当時としてはかなりアバンギャルドな小説なのだろうけど、どんな実験的な手法もすべて面白さに直結しているところがベスター作品の素晴らしさ。
この「ゴーレム100」でも、物語がぐいぐい進んで、ページを繰る手が止まらなくって一気に読んでしまう、そんなベスターらしさは健在である。
あるが、50年代の作品よりも更に残酷で悪趣味なムードが全編を支配していて、暴力的にとっ散らかってぶん投げるのかと思いきや、意外に明晰で計算ずくだったりで、僕はこの小説によく似ている日本の芸術作品をひとつ知っていて、それは楳図かずおの「14歳」だ。
暴力とセックスと科学と進化と人類と宇宙と昆虫と精神世界と…考えれば考えるほどそっくり。ワイドスクリーン・バロックとしての「14歳」再評価も面白いかも知れない。
あなたも是非書店に行って手に取って、ぱらぱらとページをめくってみて欲しい。
イラストとタイポグラフィが乱舞する500ページ弱を一瞥しただけで、どんなにトチ狂った面白そうな小説かが解る筈。
ベスターには未訳の長編がまだあるし、サンリオから出てた「コンピュータ・コネクション」も復刊されないままなので、「ゴーレム100」が売れてくれればひょっとしてそれらも出版されるんじゃないか、という淡い期待をこめて、僕はあなたに購入をお薦めする。どうか買ってください。
アルフレッド・ベスター「ゴーレム100」
80年の作品なのに本邦初訳。買って一気に読み耽る。
SFファン、なかでも奇想と変態を愛する偏ったSF読みにとっては、ベスターの名前は聖者のように語られる。というのも50年代に書かれた「分解された男」「虎よ、虎よ」の名作2冊があるからで、ベスター、っていうと怪獣の名前みたいで格好良いのもまた発音欲をそそるのである。
「分解された男」にしても「虎よ、虎よ」にしても、当時としてはかなりアバンギャルドな小説なのだろうけど、どんな実験的な手法もすべて面白さに直結しているところがベスター作品の素晴らしさ。
この「ゴーレム100」でも、物語がぐいぐい進んで、ページを繰る手が止まらなくって一気に読んでしまう、そんなベスターらしさは健在である。
あるが、50年代の作品よりも更に残酷で悪趣味なムードが全編を支配していて、暴力的にとっ散らかってぶん投げるのかと思いきや、意外に明晰で計算ずくだったりで、僕はこの小説によく似ている日本の芸術作品をひとつ知っていて、それは楳図かずおの「14歳」だ。
暴力とセックスと科学と進化と人類と宇宙と昆虫と精神世界と…考えれば考えるほどそっくり。ワイドスクリーン・バロックとしての「14歳」再評価も面白いかも知れない。
あなたも是非書店に行って手に取って、ぱらぱらとページをめくってみて欲しい。
イラストとタイポグラフィが乱舞する500ページ弱を一瞥しただけで、どんなにトチ狂った面白そうな小説かが解る筈。
ベスターには未訳の長編がまだあるし、サンリオから出てた「コンピュータ・コネクション」も復刊されないままなので、「ゴーレム100」が売れてくれればひょっとしてそれらも出版されるんじゃないか、という淡い期待をこめて、僕はあなたに購入をお薦めする。どうか買ってください。
2007/7/13 | 投稿者: losthouse
2007/7/8 | 投稿者: losthouse
デヴィッド・フィンチャー「ゾディアック」を観る。
観ていないひとの為に、中身のことは書かないけれど、非情で冷酷なつくりが実に良い。
約2時間半の上映が終わったあと、うしろで観ていたカップルが「わかんね。わかんねがった。おれには理解できない」「もーだからパイレーツオブカリビアンが良いって言ったのにぃ」ってお互いに愚痴りながら、がっかりして劇場をあとにするくらい非情な映画なのである。
月並みだけど、観ていてやっぱりキューブリックの事とかを思い起こさせて僕は大変面白かったけど、がっかりされると困るから観に行くようにお薦めはしない。
観ていないひとの為に、中身のことは書かないけれど、非情で冷酷なつくりが実に良い。
約2時間半の上映が終わったあと、うしろで観ていたカップルが「わかんね。わかんねがった。おれには理解できない」「もーだからパイレーツオブカリビアンが良いって言ったのにぃ」ってお互いに愚痴りながら、がっかりして劇場をあとにするくらい非情な映画なのである。
月並みだけど、観ていてやっぱりキューブリックの事とかを思い起こさせて僕は大変面白かったけど、がっかりされると困るから観に行くようにお薦めはしない。
2007/7/1 | 投稿者: losthouse