2007/3/28 | 投稿者: losthouse

朝から喉が激烈に痛くて、肩凝りもひどく、なんだか身体全体がふわふわする。
午後になって椅子から立ち上がれない程ふにゃふにゃになってしまって、病院へ行って検査をしたら、流行性感冒、所謂A型インフルエンザと診断されて、おまえはいま一個の病原体であり、街のなかを歩かれると皆が迷惑するからと、外出禁止を言い渡される。

外出禁止なんてなんかわくわくするね、スーパーマーケットでプリンとかケーキとかジュースとか、甘いものを沢山買い込んで、アジトの布団へ潜り込む。
医者からもらったオセルタミビル、商品名タミフルという薬を飲んで寝たんだけれど、おかしなことに飲んだ途端に症状がひどくなったような気がする。
熱に浮かされてうわ言を口走ったり、意識が混濁して不穏な夢やまぼろしに苛まれたりして、悪寒にがくがく震えながら煩悶して、きっとこれは症状の進行に対してタミフルの効果が追いついていないのだ、と割合冷静に考えて、おかわり、って言ってタミフルをもう一錠追加。
そこから意識は途切れ、つまり気絶して数時間、次に目覚めたときにはすっかり熱が下がり正気に戻っていたのだった。タミフルすげぇ。

高熱のなかで、僕はアジトに住み着く地縛霊とディスカッションするまぼろしを見ていて、「引っ越しも良いけど、私のことももう少し大切に考えなさい。キミが十年の記憶や想い出にあまりに無頓着なので、インフルエンザに感染させて反省を促したのだよ」と地縛霊に言われて、ああ、そうだったのかぁ、霊に悪いことをしたなぁ、反省しなきゃ、と思ったことを覚えている。

2007/3/25 | 投稿者: losthouse

大量のオーディオ・テープやビデオ・テープを廃棄/整理しながらずっと考えているのだが、そういえばむかし「クレクレタコラ」のチョンボが転ぶシーンとか、気持ち悪い場面の断片ばかりを編集して一本のVHSテープに保存していた筈なんだけれども、あれは何処へ消えてしまったのだろうか。

丸尾末広の漫画のなかで「夢のQ-SAKU」だけ見当たらないし、「風と木の詩」の7巻だけ無かったりして、放ったらかしている間に何処かへ消えて行ってしまったモノたち。
風が強くなる。

2007/3/23 | 投稿者: losthouse

妻が自宅で病死してから早や三年。
朝は死体に服を着せたり化粧をしたり、夜は着せた服を脱がしたり化粧を落としたりして、江戸川乱歩や横溝正史の小説みたいにネクロフィリーと洒落こんで淋しく幸福な生活を送ってきたわけだけれども、不思議で仕方が無いのは三年も経っているのに妻の死体はちっとも腐敗が進行しない、ということで、その横顔には今もなお生きていた頃の面影が鮮やかに残っている。
といってもやっぱり最近ちょっと劣化して来たかな、と思うのは、夜寝床に入るときに顔を間近に見ると頬の辺りが一寸膨れたような印象が有り、水死体なんかが陸に上がると体全体がぶくぶくと膨らんでいて生前の面影は微塵も無いというような話を何処かで聞いたことがあるので、妻の死体もこのまま膨張して腐ってしまうのだろうか、とも思うのだが、その膨れた顔面は死んだ人間のそれでは無く、むしろ生きている人間が一生懸命呼吸を止めようとして頑張っているような感じで、ひょっとしたら本当は妻はまだ生きていて、息を止めて死んだふりをしているだけなんじゃないか、と思った僕は、ある夜蒲団のなかで妻の死体にいつものようにキスをして、そのまま死体の口に息を大量に吹き込んで悪戯してやったのだが、すると妻の死体はぶぷっ、と言って、息を喘がせながら蒲団の上に起き直ってけらけら笑い出したのだった。

妻の死体が笑い止むのをしばらく待っていた後で、笑うことが出来るのなら言葉も話せるのかな、と思って、「死んでなかったの?」と聞いたら「妹なんです」と答える。
どうやら妻には僕の知らない双子の妹が居たようで、彼女は妻が死んですぐに僕の家へ忍び込み、僕の目を盗んで妻の死体を埋葬したあとで代わりに自分が死体の役を引き受けることで、僕にその事実を知られないようにしていたらしい。
食事や排泄は僕がアルバイトに出掛けている間に全て済ませていたようで、三年もの間よくもそんな生活に耐えられたものだと思うが、そんなことよりも三年もの間僕がすっかり騙されていたことのほうが僕にとっては悔しくて堪らず、妻の妹は快活な口調で以上の経緯を語った挙句、「余計なことをしたのなら謝ります」と言ったのだけれど、いたたまれなくなって僕は彼女に一言も口をきかず、黙ってわざと向こうのほうを向いてやったり煙草を吸ったりしていても僕の気持ちはちっとも晴れずに、僕が愛していた妻の死体は、いや僕が愛していたと思った妻の死体と思ったものは実際には最初から存在すらしておらず、僕がみた幸福で淋しい風景はすべてまぼろし、大事にしまっていた物はすべてガラクタ、語った言葉はすべてうわごと、僕はすっかりセンチメンタルな気分になって、これが僕の青春の終わりだと考えた。

かつて部屋のなかに充満していた青春の大気は空虚な風に吹き流されて、リサイクル不能な不燃ごみだけが今僕の周囲に堆く積まれている。

想い出はすべてニセモノだった。

2007/3/18 | 投稿者: losthouse

本を捨てるのはなんか悪い。
一生懸命書いたりつくったりした人が居るのに、簡単に捨ててしまっては申し訳ないような気がして、だからせめてほかの誰かに読んでもらえれば、と思って、段ボール3箱ぶんの書物の山を古本屋に売りに行く。

これが結構お金になってしまって、捨てるつもりだった本を売ってお金がもらえるなんて、これもまた申し訳ない気持ちになる。

次はおもちゃ。これもまた思い出が染み付いていて、簡単に捨ててしまっては申し訳ないような気がする。だから怪獣のソフビ人形やぬいぐるみの山を、中野のおもちゃ屋に売りに行く。

「買い取り願います」つって人形の山を袋から出してカウンターの上に置くと、お店のひとの表情が一変。「おおっ、これは」って色めき立って、僕がカウンターに置いたばかりのブースカ人形を大事そうに捧げ持って、「お客様、ちょっと明るいところで見たいのでこちらへお願いします」なんて別室へ案内しようとする。
僕はその時点でああ、このひとは誤解しているんだな、と気がついたのだけれど、「あの、それは、ああ」ってまごまごしてる間に彼は既に別室へ。仕方無く僕もついて行く。

僕のブースカは形こそマルサン/ブルマァクなんだけれども、イヌクマ製の復刻版なので、価値など無いに等しい。それをこのひとは、数十万円単位で取引されているオリジナル版だと勘違いしているのだ。

「お客様、こちらはどなたか親戚の方の家から出て来たんですか?」なんて完璧に誤解モードの彼、両目をきらきらさせてブースカを上から下まで舐め回すように見つめて、足の裏の刻印を見てそこにイヌクマの四文字が印されていることに気付き、「あれ?あれっ?ああ…あ、ああ…」

がっくり肩を落とした彼は言葉も無い。先程のきらきらは両の目から消え失せ、鉛のような眼球が淀んでいる。

僕は落ち込んだ彼が忍びなく、何とか励まそうと思って、「すいません。オリジナルだと思われたんですよね。僕が短期間にそんなに汚したのがいけないんです。そんなに何十年も経過したようなヤケやシミだらけで無ければ、まさかプロの人が見てオリジナルだと見間違える事も無かったでしょう。申し訳ありません、それはタダで差し上げます」
と言ったのだけれど、彼は目に涙を浮かべつつ、「700円」と一言だけつぶやいた。

2007/3/12 | 投稿者: losthouse

機は熟し、アジト移転計画を遂に実行に移す。

周旋屋との度重なる交渉の末、移転先物件を確保。運送屋に電話して移転の日取りを決めて、さて、とりあえずは狭いアジトに溜まったガラクタの山を90リットルのごみ袋にがんがんぶち込んで、廃棄、廃棄、廃棄。

こういうのは勢いが大事だな、何かスピード感のある音楽を、ってんで、キング・クリムゾン「アブセント・ラヴァーズ」を聴きながら鳴らしながらひたすら作業。

84年、「スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー」ツアー最終日、つまりは80年代クリムゾン最後のライブを収録したCD2枚組なんだけど、これが実に格好良い。
どの曲もスタジオ盤とは比べ物にならない程のテンションの高さで、特にビル・ブラッフォードのドラムがイっちゃってて凄い。とことことことこだかだかだかだかぶるぶるぶるぶるぼぼぼぼぼぼぼ、オカズ、とかそういう問題じゃない、もうおかずと主食の区別がつかない。気狂いだ。
80年代のクリムゾンはどうもいまいち、なんて人も、これを聴いたらきっと認識を改めるでしょう。名盤。

とかどうでもいいことを書いているのはこれも勢いで書いているからで、キーボードをとことことことこだかだかだかだかぶるぶるぶるぶるぼぼぼぼぼぼぼ、ごみをごみ袋にとことことことこだかだかだかだかぶるぶるぶるぶるぼぼぼぼぼぼぼ、大事なのはスピード。勢い。

2007/3/9 | 投稿者: losthouse

ザ・ストゥージス、37年振りのサード・アルバム「ザ・ウィアードネス」を聴く。
(ロー・パワーがサードじゃないのか、って声は無視。あれは飽くまでもイギー・アンド・ザ・ストゥージス、という別バンドの1枚きりのアルバムという見解に基づく)

スティーヴ・アルビニ録音、ってところが期待させるし、ドラムの音なんかは正にアルビニ印で非常に格好良いんだけれど、いかんせん曲がタルくってつまらん。

やっぱり昔の「T.V.アイ」とか「ノー・ファン」なんかの、シンプルなリフ一発なんだけどスピード感もあって、一緒にうたえるキャッチーさもあって、って奇跡的に格好良い楽曲群はまさしく奇跡だったんだろうなぁ、と思って、思いながらも退屈で、聴きながら途中で寝た。

頑張れイギー。レコードがつまらなくっても、ライブに来たら行くよ。

2007/3/4 | 投稿者: losthouse

渋谷区恵比寿へ行って、平沢進のライブを堪能。

今回はインタラクティブ・ライブとかじゃなくて、ただただフツーに曲を演奏するだけのライブ、との触れ込みで、みんなフツーのライブが観たかったんだね、チケットは完売、千人くらい入るんであろうリキッドルームは超満員だった。

選曲も最高。恐らくライブでやるのは15年ぶりくらいじゃないか?って往年の名曲が次から次へと。
「嵐の海」「サイボーグ」「死のない男」「山頂晴れて」「ハルディン・ホテル」「QUIT」「フローズン・ビーチ」…おなかいっぱいの大サービスぶり。

しかしバンド嫌い、ギターを弾くのも嫌い、普通のライブなんて興味ない、って公言して憚らない平沢進も、トシもトシだし、「もう二度とライブなんかやらん、CDだけ出す」とかいつ言い出してもおかしくないと思うのだけれど、まだまだノリノリでライブをやってくれているそのことだけで妙に感激してしまう。

2007/3/1 | 投稿者: losthouse

うーん、これはつまらなそうだ。

「怪奇大作戦セカンドファイル」新番組予告

しかし「実相寺昭雄、最後の作品」って一体いくつ出て来るんだろうか。




AutoPage最新お知らせ