2020年7月1日からレジ袋が有料化となります。
レジ袋は、買い物のときに買った物を入れる袋という役目だけでなく、ごみ出しに使ったり、荷物の小分けに使ったり、様々な用途して活用され、生活の中で浸透してきました。
レジ袋を有料化とする流れの発端には、クジラやウミガメなどの死骸の胃袋から、レジ袋が見つかるという事案が近年相次ぎ、海に流れ出たレジ袋が環境破壊につながるからとされたからです。
2019年、大阪市で開催されたG20(世界20か国・地域)の首脳会議で、2050年までに廃プラの海洋放出をゼロにするという目標が掲げられました。
環境保全、環境保護のために高い目標を掲げることは良いことだと思いますが、ここで気になるのは、海洋ごみの内訳。
海と日本プロジェクト日本財団によると、プラスチックゴミが65.8%、続いて自然ごみが15.9%、木材7.3%とあり、それ以外の紙類、布類、金属類、ガラス・陶器類等は、全て4%以下となっています。
プラごみが圧倒的に多く、一度、海に流れてしまうと半永久的に分解されることはありません。
そして、5mm以下になったプラスチックを「マイクロプラスチック」といい、それを誤って食べた魚が死んでしまったり、また捕獲した魚を人間がたべたりすることで、回りまわって人間への健康被害も懸念されるようになりました。
では、海に流れ出たプラごみは全てレジ袋なのか。
海洋ごみの映像や写真を見る限り、袋だけでなく、ペットボトル、コンテナ、包装類、その他資材など様々。
そう考えると、マイクロプラスチックの原因となっているのは、レジ袋だけではないことは明らか。
そもそも論になりますが、レジ袋を有料化にすれば、海洋ごみが減るのか。
買い物時に受け取るレジ袋を、多くの人が放置しているかといえばそうではなく、逆にリサイクルの意識により、ごみの分類を正しくしている人の方が多いのではないかと思います。
海洋ごみが発生する原因は、レジ袋が無料だから捨てるというよりも、プラごみに限らずごみを捨てる人のモラルのなさだと思います。
レジ袋有料化を進める際、2020年7月に東京オリンピック・パラリンピックの開催タイミングも背景にあったと思います。
オリンピック開催時、世界に対し、日本の環境対策について絶好のPRチャンスと捉えたからではないでしょうか。
小市民感覚でいえば、環境対策のPRチャンスを消費者への負担によって成立させようとしていることにも疑問を感じます。
余談ですが、日本のプラごみのリサイクル率は、86%がリサイクルされ、残り14%は焼却・埋め立て処理されています。
リサイクル率が8割を超える数字はかなり優秀だと思いますが、実はそのうち7割が「サーマルリサイクル」(ゴミを燃やして発生した熱を回収し、発電や熱源に利用)です。
国際的にリサイクルとされるのは、廃プラを新たなプラスチック製品として再利用するマテリアルリサイクルと、資源として再利用するケミカルリサイクルとされていて、焼却は含まれていません。
家庭ごみでいえば、ペットボトルなどは分別・回収率が良いため、再びペットボトルや繊維、成形品として再利用されていますが、インスタント食品の容器、弁当容器、総菜容器、その他包装容器などはサーマルリサイクルされています。
ハッキリ言って、家庭ごみ単位では、レジ袋よりもペットボトルを除くその他のプラごみの方が圧倒的に多く、その多くが焼却処理です。
レジ袋有料化が、直接、海洋ごみ問題を根本解決できると思えませんし、環境破壊を防ぐこともできないと思います。
レジ袋有料化をきっかけとして、一人ひとりが地球の環境のことについて考えることの方が大事なことではないかと思います。
経済のために、大量生産、大量消費、大量廃棄を繰り返してきたツケを棚上げにして小手先に走るのではなく、子どもの頃からごみに関する正しい教育を行うことと、ルールを守れない人間にはシンガポールのように罰金という方が、シンプルで効果があるように私は思います。

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