GRANITE

　古い岳人（1992年？）のクロニクルに「樅木川支流・アクソ谷遡行、ハシノ谷下降」の記事が載っていました。伐採が進んだこの界隈で自然林が残る谷があると書いてあり、いつか遡行してみたいと思っていました。

　先週に引き続き、沢グルメ宗匠に連れて行ってもらいました。四方田付近の林道脇に駐車、適当な所から樅木本谷へ強引に下降。樅木本谷を少し下って「アクソ谷」へ入渓しました。後からおもえば、樅木本谷の下降が一番楽しかったかもしれません。

　「アクソ谷」は確かに自然林が残っていましたが、長い距離にわたって残るワイヤーがすべてをぶち壊し。いくらきれいな滝でも、ワイヤが無様に垂れ下がっているようでは興ざめというものです。楽しく登ることができる連瀑帯がすぎると、あっという間に源頭のおもむき。途中から左の尾根に這い上がりましたが、藪漕ぎがちょっと大変でした。

　下降は平家山に向かう縦走路をたどり、旧登山道の先の小ピークから明瞭な切り分け道を下降。出だしはしっかりと整備されていましたが、途中の作業小屋跡を過ぎたあたりでロストしてしまいました。最後は急峻な斜面を強引に下降、本谷で水浴びをしてから林道へ這い上がりました。

　梅雨が明けた週末、沢グルメ宗匠に沢へ連れていってもらいました。

　見立鉱山へ至る「見立谷」。「嘉納谷」、「洞岳谷」の並びにあるのでさぞかし見事な谷だろうと期待をもっていきました。出だしから水がかなり濁っておりまして、前日の夕立の影響かとおもいつつ遡行を続けていきましたが、濁りがとれる気配はなし。そのうちに河床が赤茶色になってきて、やっと過去の採鉱の影響だとわかりました。550尺坑を過ぎると水は見事に澄んで、日之影の沢らしくなってきましたが、それもつかの間で間もなく水が涸れてしまいました。その後は登山道を辿り兜巾山へ、暑さでバテてしまいました。

　沢登りとしてはいまひとつでしたが、旧跡めぐりとしてとらえたらかなりランクが高い山行でした。朽ち落ちた神社の参道や、冷気を放つ坑口、素掘りのトンネル、放置されたトロッコ貨車などなど、マニア垂涎の景観がこれでもかというくらいに現れてくれました。たまにはこんな山行も良いものです。


　　　　　朽ち落ちた神社の参道。灯篭は安政年間のものでした。
　　　　　　　　　　　おどろおどろしい最奥の坑口。

　長かった旅行も最終日。コルマールへ向かう前に美しい村のユナヴィールに少しだけ立ち寄ってみました。静まりかえった村で、ここまで人気がないのもどうかと思いながら村を散策しました。

　最後の観光地はコルマール。ここはまた「ハウルの動く城」の舞台となった街だそうですが、見たことないのでよくわからず・・。中世の街並みが見事に保存されており、多くの観光客でにぎわっていました。
　　　　　　　　　　　　　　ユナヴィールの教会
　　　　　　典型的なアルザスの木枠組みの家屋

　　　　　　　　　　　　　　コルマールの教会。
　　　　　　　プチ・ヴェニスといわれる運河（どぶ川でした・・）。

　アルザスにリボーヴィレという小さな村があります。ここには屋根の上にコウノトリ（正確にはシュバシコウ？）が巣を作っています。コウノトリが住み着いた家には幸せが訪れるといわれており、大切に保護されているのでしょう。

　我が国ではとっくの昔に絶滅してしまったというのに、ここアルザスは素晴らしいところだと思いました。コウノトリを守れないような国では、少子化が進むのは当然です？？



　　　

　この日も天気はいまひとつ。もう山に登る気も失せてしまったので、世界遺産を巡りながらフランスのアルザス地方まで足をのばしてみることにしました。

　メーアスブルグを出て、Pfahlbauの湖上住居跡を横目で眺めて、ライヒェナウの修道院へ。聖ゲオルク教会が閉まっており、壁絵を見れなかったのがちょっと残念でした。ついで、フライブルグへ立ち寄り大聖堂を見物。ここも尖塔が工事中でがっかりでした。国境を越えてアルザス地方へ入り、美しい村に認定されているリクヴィールへ。人気のあるところだけあってすごい人出でしたが、美しい村は静かな方が好感がもてます。すこし離れたベルグハイムという小さな村に泊まりましたが、全くと言ってよいほど観光地化されておらず、ここを選んで正解でした。

　　　　ライヒェナウ最奥の教会。雰囲気がとてもよかったです。
　　　　　　ここに限らず、お墓はお花がいっぱいでした。

　　　　　　　 フライブルグの大聖堂。ここもでかい。

　　　　　　　　　　　　　ベルグハイムの入り口。　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　ベルグハイムの広場にて。
　　　　　　　　連泊したくなるような素敵なホテルでした。

10日も経ったというのに登れたのは2本だけ。何しにここまで来たんだと思いながらも、天候には勝てません。予報はいまひとつでしたが、朝にはうっすらと青空が見えていましたので、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンの背後に聳えるアルプスピッツェという山を登りにいきました。

　ここはロープウェーを利用できるのでアクセスがかなり楽です。一気に1300ｍの標高を稼いだものの、上部は濃いガスの中でした。取りつきへと向かいましたが、壁は濡れていてクライミングできそうにありません。ここまできたのだから、ヴィアフェラータで頂上まで行ってみようということになりました。が、四分の一も登ったところで、ヴィアフェラータの単調さにうんざりしてしまい撤退しました。せめて展望でもきけばもう少し頑張れたのですが・・。

　昼過ぎに下山、この日はボーデン湖畔のメーアスブルグという素敵な村に宿泊しました。ワインと魚料理が絶品でした。

　　　　　　　　　　青空も覗いていたのですが。
　　　　　　　　　ヴィアフェラータの取り付きで。
　　　　　　　　　　　これじゃ楽しくありません・・。

　　　　　　　　　メーアスブルグのシンボルの古城。
　　　

　この日もときおり激しい雨が降るあいにくの天気・・。三澤御大のたっての希望でミュンヘン郊外のダッハウにある強制収容所跡に行ってきました。

　雨の中でしたが多くの人、とくに子供が見学に訪れていました。ドイツでは「アウシュヴィッツ（収容所）はある日突然できたわけではない。」というようなことが反省として語られているそうですが、ひるがえって我が国（の教育）は大丈夫なのかと、ついつい憂いてしまいます。





　　Unsere letzte Hoffnung（私たちの最後の希望）は、・・・。

　Weltenburg修道院に行く途中でみた、ある意味で衝撃を受けた光景です。両岸にワイヤーが張ってあって、それを伝って船が行き来していました。日本だったら当然のごとく橋が架けられているているような場所ですが、ここでは人力の渡しで車まで運んでいました。

　同じ経済大国であっても日本とは大きな違いを感じました。脱原発を即決できる土壌はこのようなところにもあるのでしょうか・・。

　ガルミッシュ・パルテンキルヒェンは、ナチス時代に冬季オリンピックが開かれたところで、一大リゾート地となっています。また、ドイツの最高峰であるツークシュピッツェの登山基地でもあります。

　アルプスピッツェの北壁を登りたいがためにガルミッシュ・パルテンキルヒェンで天候待ちをすることにしましたが、この日は朝からすごい雨でした。山麓から少しでも離れようと、レーゲンスブルクまで足をのばすことにしました。ここは大聖堂を中心とした旧市街が世界遺産になっています。かの十字軍も渡ったという有名な石橋は工事中で残念でしたが、Wurstkuchl(ドイツ最古のソーセージ屋さん）で食事もできたしおおいに満足できました。

　時間があったので、ドナウ川沿いに建つWeltenburg修道院に立ち寄ってみました。修道院自体はどうでもよかったのですが、ここには1050年創業という「世界最古の修道院ビール醸造所」が併設してあり、ここでつくられるビールを飲んでみたかったのです。

　　　　レーゲンスブルクの大聖堂。とにかくでかい・・。
　　　　　　　　　　　　Weltenburg修道院の内部。
　　　　　　　　　Weltenburg修道院のビール醸造所
　　　　　　　　　　　　味はまあまあでした・・。

　本ツアーの最大目標であったガイゼルシュタインを登ったので、精神的に余裕がでてきました。この日も天気はまずまずでしたが、次の目的地であるガルミッシュ・パルテンキルヒェンへ移動しました。

　この日のお目当ては「リンダーホーフ城」。この城も「ノイシュヴァンシュタイン城」を作ったルートヴィヒ2世が建てたそうです。豪華絢爛な内装も目を見張るものがありましたが、お花が咲き乱れる庭園もそれ以上に印象に残りました。

　ガルミッシュ・パルテンキルヒェンの手前にはこれまた豪華絢爛な内装で有名な「エッタール修道院」があります。突然の雷雨のおかげで外に出ることができず、心ゆくまでみることができました。