「デビルのほほえみ」を早々に断念した我々は、小積中央稜をアブミなしで登るか、比叡へ転進するか、などなど協議。結果、陳内、荒巻、執行パーティーによって2006年に拓かれた大崩山米塚の「晩秋の風」を登ることに決定しました。
「ナチュラルプロテクション主体の緊張感が絶えないルートであり」という文句に大いなる不安を抱いたものの、物量(キャメ3番×3、4番×3、5番×2、6番×2)にものを言わせる作戦を展開しました。3ピッチ、わずか38m、そして5.9、5.8、5.8という低グレード、エイドを駆使すればはまることはないだろう、と。
取り付きは以前確認しておいたので、すぐにわかりました。1ピッチ目がグレード上の核心で5.9、18m。出だしのスクイズチムニーのサイズがとても悪くて、パートナーは1度フォールしましたが、無難に抜けることができました。
2ピッチ目は5.8なので安心していましたが、見上げた瞬間「敗退」の二文字が浮かんでしまいました。チムニーをずり上がり、一旦背部の岩に上がりこみます。2mほどクライムダウンしたのち、前面のフレークに乗り移ります。足元は深く狭い割れ目になっており、万一落ちてはまりこんだら抜け出せないかもしれません。なんとかフレークに移ってもこれがとんでもない代物。チムニー登りができずやむなくレイバックになってしまい、カムをセットできません。渾身の力で耐えてセットしすぐさまテンションを繰り返し、なんとかビレイ点にたどり着くありさまでした。
3ピッチ目も5.8でしたが、2ピッチ目ほどの怖さはありませんでした。パートナーはフリーで行こうと果敢にトライしますが、岩が風化しておりスメアの効きがいまひとつであえなくスリップ。そうこうしているうちにキャメ6番を落っことしてしまい、大ショック^^;。それでもなんとか抜けることができました。米塚の頂上まで行く余裕は残っていませんでしたが、すばらしい景色は堪能できました。
ある程度予測できていたことでしたが、あまりの不甲斐なさに愕然としてしまいました。もう伸び代のほとんど残っていない中高年クライマー、これから何をすべきなのか考えさせられた週末でした。
1p目のスクイズチムニー、5.9。サイズ悪いし、足はすべるし・・。
2p目。ビレイ点からチムニーをあがり、
背後の岩に上り込んで、少しクライムダウン。
そしてフレークをつかんで前面の壁に移ります。
レイバックだったらそう難しくないのですが(フォローの場合)・・

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