昨年のクワンナイにいたく感動し、すっかり北海道での沢登りはまってしまいました。今年も無理にお願いして、美しいと評判の日高のヌビナイ川に連れていってもらいました。前情報として、水量は少ないけれど残雪が豊富で、みどころの七つ釜は雪の下かもしれない、とのことでした。
台風の影響でいつ降り出してもおかしくないどんより空模様の下、ヌビナイ川の右岸林道終点から出発。熊の沢を少し下降してヌビナイ川へ入ります。歩きにくいゴーロをひたすら歩くと507mの二股へ、この少し先から函がはじまります。大きなスノーブリッジがかかっていましたが、足早に下をくぐり抜けます。その後は右岸、左岸を高巻きながら進みますが、予想以上に危ういところがあって難渋しました。肝心の七ツ釜がどこにあったのかわからないまま通過、それでも所々に現れる釜やナメ滝の美しさに感動しました。
5時間ほどで上の二股のテン場へ到着。設営などしてひと休みした後、ピリカヌプリを目指して左股へ入ります。きれいな滝をいくつか越えると急峻なガラ沢となります。熊よけの笛を吹きながら黙々とのぼること2時間半ほどでピリカヌプリの頂へ。あいにくガスの中で眺望はききませんでしたが、三角点をなでながらひとり悦に入っていました。下山中パートナーが転倒し臀部を強打してしまいましたが、なんとかテン場まで戻ることができました。
翌日はソエマツ岳に登る予定でしたが負傷者がでたために断念、そのまま下ることになりました。覚悟していたよりも楽に下ることができましたが、半ばくずれかけた高巻き道はいやらしいものでした。この日は天気もよく、休み休みくだったので6時間弱かかりました。
数ある日高山脈の沢でも、その美しさにおいて1、2を争うといわれるヌビナイ川でしたが、本当にきれいな沢でした。念願のピリカの頂上にも立つことができて大満足でした。ただ高巻き道が非常に危険な状態になっているように感じました。所々フィックスが張ってありましたが、かなり慣れたパーティーでないと安全かつ速やかに通過できないでしょう。再訪することはまずないでしょうが、あの美しい景観をいつまでも留めておいてもらいたいと切に思います。
9月になろうというのに残雪が豊富でした。
ピリカヌプリからみたソエマツ岳

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