治ったと思ったアイドリング不調のRX-7(FD3S)ですが、一度納車するも途中で不調になりお預かりいたしました。
お時間を戴き徹底的に今回調べました。
最終的な結論として問題は履歴の怪しいエンジン・・。
結論に至った経緯は・・。
・問題を起こしそうな該当センサー類等は全て新品したが症状の改善は見られない。
・最初の入庫時の依頼がエンジンオイルがインテークに回っている。(量が尋常ではない)
・オーバーホール後の走行距離が26000kmくらいなのに圧縮圧力がフロント250rpm補正時に8.1/8.3/8.5、リアは250rpm補正時8.5/8.6/8.9と低くバラバラ。
・完全に暖気終了後及び外気温が高いとアイドリングでバラつく。
・リアのステーショナリーのOリングを交換した直後からアイドリングが不安定。
・過去にエアポンプを一度中古に載せ替えている。
エンジンをオーバーホールしてからおかしいと言うのは、正直オーナーさんは認める事は出来なかったろうと思います。
しかし、既にその該当店舗が閉店している事、またその後ステーショナリーのOリングを交換した店舗が曰くつき(当店にご相談に来られるお客様から見て)である事からオーナーさんと良くお話をした結果、オーナーさんも覚悟を決めてエンジンをオーバーホールする事になりました。
オーバーホール後、26000kmと言うエンジンですが・・。
エンジンを降ろして判った事は・・。
・エアポンプの配管の途中に盲栓がしてある。

写真中央付近のパイプ接続部のフランジの間にメクラ栓がしてあった。
クラッチマスターのフルード滲みもある事から交換しました。(以前オーバーホールしたと言う事ですがシリンダー側が摩耗している考えられます)

そのメクラ栓。(ここは盲点でした。まさか間に挟み込んでいるとは・・。)
このメクラ栓はエアポンプを無効にし触媒が無い車両もしくはエアポンプレス触媒が付いてる場合に使用するパーツです。
エンジンをオーバーホールし、エアポンプも純正触媒も生かしているなら本来付いていないはず。
過去履歴に中古エアポンプを載せ替えたのはこれが原因の可能性があり?
と言う事はこのエンジン??
中古?
・ステーショナリーギアの歯当たりが前後ともおかしい。(いつの?とても26000kmの物では無い?)

フロント
・リアのステーショナリーはOリングを組み替えているので、そのせいかも知れませんが・・。
(それでも20000kmぐらいでOリングからオイルが漏れるのは可笑しい?)

問題のリアのOリング部

リアのギア部
・リア側のローターのコーナーシールとサイドシール間のクリアランスでは一箇所特に狭い箇所がありました

狭いと言うか入らない??
サイドシールコーナーシール間のクリアランスでは
フロントローターのサイドシール部の番号から
#1〜0.28
#3〜0.22
#5〜0.21
#2〜0.14
#4〜0.42
#6〜0.37
リヤローターのサイドシール部の番号で
#1〜0.15
#3〜0.24
#5〜0.01× (0.01のシクネスゲージ入らず)
#2〜0.18
#4〜0.17
#6〜0.26
・ローター、ローターハウジングは新品では無い。
(オーナーさんは新品だと報告されています。また見せて頂いた伝票でも新品表記が・・)
・ローターは重量の違う物が使用されています。
新品を頼んだであれば普通は揃っているはず。
組み込まれていましたローターの重量番号は、フロントがB、リヤがAでした

問題の新品?と言われるローター

リアに使われていたA

フロントに使われていたB
補修部品としてローターを入手する場合、新品では重量番号はCのみですので、A、Bと言う番号は新品使用ではありません
・ボルトコネクターの先、ローターハウジング側のオイルを供給される穴(メタポンジェット)が詰まっていた。(昨日今日の詰まりでは無い)

この角度からと見えませんが・・。

リヤは正常でしたが、フロントが不通〜通気がほぼゼロ。
フロント側〜燃焼室に供給されるオイル量がかなり少なかったか、0に近かったと思います。
一応、清掃にて正常状態の通気に回復出来ました。
・低中速を向上させる為、インタメポートを削ったと言われたらしいですが・・。

サイドハウジングはフロント、リヤはポート研磨無しのノーマル状態でインタメに削った様子がありますが・・・?。
バリ取り?・・。
・サーモスタット不良。

いつのサーモ?

未交換?
以上の状況から、オーナーさんからお聞きした報告通りだとしたら、とても新品部品を使用してオーバーホールされたエンジンとは思えません。
むしろ中古で寄せ集めた組み上げたエンジンか、もしくは素性の知れない中古エンジンかも知れません。
この車の当店での過去履歴
http://air.ap.teacup.com/ifeelin1/287.html

リビルドエンジン搭載直後

クーラントのエア抜き
ラッピング中
ラッピング後、試乗をして無事に納車いたしました。
ここまでの経緯の中で当初エンジンも疑いましたが、オーナーさんからエンジンがオーバーホールがされているという事(他店作業を信用をした)でエンジンに問題がある事は頭の隅に追いやっていました。
しかし、点検、部品交換等しながら考えていくとどうしてもエンジンに辿り付いてしまいました。オーナーさんにとっては交換されていない部品を交換するのとは訳が違い、エンジンはオーバーホールをされている事からエンジン本体は調子の良い状態と思っているので正直、決断して頂くに当たり、かなりの葛藤があるだろうと思っていました。
しかし、都度の状況報告からオーナーさんは既にエンジンをもう一度開けると言う決断を既にされており、今回エンジンを開けてチェックし、おかしな部品は使用しないと言う事で、作業を承りました。
結果、エンジンを開けた状況は既に報告した通りです。
仮に開けなかっとしてもエンジン部品の状況からそう長くは持たなかっと推測出来ます。
今回既に作業した店舗は無く(閉店)、お客様の高い勉強代となってしまいました。
また、当店に辿り着くまでの間に、各有名店にも行かれたそうですが、最後にたどり着いたのが当店だったそうです。
何とか、直して欲しい。
調子よく乗りたい。
オーナーさんは、7にはお金ではなくプライスレスの(思い)に変わっていたのだろうと思います。
だから今回の大英断をされたのだろうと思います。
今回、オーナーさんのその思いを叶えてあげるお手伝いが出来た事は良かったと思います。
素晴らしいオーナーさんに恵まれて、このRX-7はとても幸せです。
80年、90年、2000代の車両は既にどのメーカーどの車種であってもさまざまなトラブルが出ております。
それを放置しないで調子よく乗るには修理ノウハウや時間や料金はかかります。
その点だけ理解しておけば個性の強い車達はまだまだ輝き続けます。
これからも色々なオーナーさん達と一緒に調子の良い車にしていきたいと思います。

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