「パワーダウン」
あわや、コースアウト寸前の状態から立ち直りショートカットをクリアする。次のデグナー1つ目のブレーキングでもブレーキペダルが奥に入ってしまう。(レース終了後、クルマを確認したところ、リア側のマスターシリンダーの劣化が確認された。ブレーキを踏む度に劣化部分からエアーが入った事が原因だった)これでは、ペースを維持する事すら難しくなって来た。ヘアピンを抜け、マッチャンコーナーを走行中、エンジンパワーが、著しく低下しはじめた。水温計を確認すると針が80度近くを指していた。万事休す・・・ブレーキトラブル&エンジンのパワーダウン。さぁ、どうする? ミラーで後方を確認すると、チームメイトの#7M本選手と#8小菅選手が、テールツゥノーズで接近してきた。このまま#18を追撃する事は不可能と判断。そうすると、後方から迫り来る2台の3位争いに吸収される事になる。残り周回数は3周、2位を死守する事も考えたが、いや待て・・・
「レースは、自分だけのものではない」
2007年シリーズから、常にレースにエントリーしている5人のドライバーの総意で、一人ずつ資金を出し合いネオヒスシリーズ賞設定したのだ。第二戦が台風で中止になった事で、第一戦のポイントは、1位#18A部選手、2位#7M本選手の順、その差1ポイントで第三戦を迎えた。ここは、ランキング2位のチームメイト#7を2位に繰り上げ1点でもポイントを加算して貰う事だ。そう判断した私は、#18の追撃を諦め、一旦、ペースダウンをした。

ペースを落とす事で、後方の2台に2周で吸収される。それまでの間、少しでも水温を下げる努力をし、エンジンパワーを回復させるのだ。スプーン2つ目を立ち上がると後方から2台が接近してきた。ファイナルラップに入った! 上手く#7だけを先行させ#8は押さえ込まなければならない。130R進入で、ペースを落した私の後方に2台がテールツゥノーズに。続くショートカットで#8に先行さすわけには行かない。ヘアピンまで、3台のテールツゥノーズは続く、ヘアピン進入時、#7を前に出すチャンスが到来した。ヘアピン進入時に少しイン側を開ける。そこに#7が上手く入って来た。サイドバイサイドの状態でクリッピングポイントを通過。立ち上がり区間ですぐさま、私は#7のテールに張り付く。これにより#8の行く手を遮る事が出来た。ヘアピン立ち上がりから意識的なアクセルワークでマッチャンに入る。ミラーに大映しになった#8が、右に左に揺さぶりをかけて来る。続く、スプーン1つ目の進入時にインに飛び込まれなければ、#8を押さえ込めるはずだ。奥に入るブレーキペダルを細心の注意をはらいながらペダルに踏力をかけて行く。ペダルは奥に奥にと入り込んで行く。しかし、強い制動はかからない事を利用し、ブレーキをかけた状態でスプーン1つ目をクリアした。続く、2つ目のアプローチで、最後の攻撃とばかり現役F4ドライバーの意地をかけて#8が、私のインへノーズをねじ込ん来た!

「納得のレース」
私のクルマの状況は、リアタイヤのスライドが収まるかどうかのタイミングだった。それでもすかさず、#8のノーズを押さえ込むようにイン側にステアリングを切り込んだ。この瞬間、一瞬アクセルを弱めた#8を押さえ込む事に成功した。しかし、チェッカーを受けるまで、あと数百メートルのストレートが残っている。#8は、最後の力を振り絞って私のテールに張り付いたものの、私を交わせずチェッカーを受ける事になった。
クルマが仕上がった以降、順調にクルマのセットアップが進んだ訳ではなかった。レース中にトラブルも出たが、私としては納得と反省が入り交じったレースだった。
次戦、12月の最終戦まで1か月・・・次こそは! トップを狙いたい。